(7-16)障がい福祉関係事業所へのハラスメント対応

最終更新日:2026年5月28日

(7-16)障がい福祉関係事業所へのハラスメント対応

令和8年1月13日 苦情申立書受理

申立ての趣旨(要約)

 令和7年12月11日に新規指定事業所訪問として、障がい福祉課指定係のA様、B様が来所されました。その際の講評において、B様より「私は4年間この仕事をしていますが、はっきり言ってここが一番最低です。」との発言がありました。また、指定を受ける際の事前の電話連絡においても、当事業所の運営規程に対し、「あんな運営規程」との発言があったと記憶しています。
 当事業所は開所から5か月の新規事業所であり、重症心身障害児という高度な専門性を要する支援を行っております。ご指摘いただいた点については真摯に受け止め、改善に向けて取り組んでおりますが、上記のような言動は、行政指導の場において適切とは言えず、当法人の、この事案の担当者が相当に心身ともに耗弱状態に陥りました。社会通念からすると、ハラスメントは受け取る側が不快に感じたり苦痛を感じたりする場合です。この場面での言い方では威圧的、当法人格を否定する発言と捉えられます。懇切丁寧な指導を心掛けなければいけない指導の場で、新潟市の今回の言動は明らかに行政のパワーハラスメントとも取れます。
 本件における、新規指定事業所訪問時の発言内容について事実確認を行っていただき、同様の事案が今後発生しないよう、指定・指導業務における職員対応の在り方について改善及び再発防止を求めます。
 当事業所が安心して行政と連携し、適正な運営改善に取り組める環境の確保をお願いします。

所管部署

福祉部障がい福祉課(以下「所管課」という。)

調査の結果の要旨

 申立人の主張及び所管課の説明と双方から提出のあった資料に基づき、当審査会では以下のとおり判断し調査結果とします。

第1 事実関係
(1) 令和7年4月3日 申立人から所管課への新規指定に向けた事前相談の連絡
(2) 同年4月30日 申立人による事業実施計画書の提出
(3) 同年5月8日 所管課から申立人に対する事業実施計画書の修正指示
(4) 同年5月20日 所管課から申立人に対する事業実施計画書内容の承認連絡
(5) 同年6月24日 申立人による指定申請書の提出及び所管課との面談の実施
(6) 同年7月4日、同月14日及び同月15日 所管課から申立人に対する指定申請書の修正指示(計3回)
(7) 同年7月22日 所管課から新潟県への同意書提出
(8) 同年7月23日 申立人担当者から所管課への問合せ及び所管課からの電話回答
(9) 同年7月31日 所管課が新潟県の同意承認を収受し、申立人に対し指定通知書を発行
(10) 同年8月8日 申立人による変更届出書の提出並びに同月21日及び同月25日の所管課からの修正指示
(11) 同年11月20日 所管課から申立人への事業所訪問日時及び準備資料の連絡
(12) 同年11月26日 申立人により事業所訪問を承知した旨の連絡
(13) 同年12月11日 所管課職員による申立人事業所への新規指定事業所訪問の実施

第2 当審査会の判断
1 申立人は、令和7年12月11日の新規指定事業所訪問において、所管課職員から「ここが一番最低です」との発言があったほか、これに先立つ電話連絡においても運営規程に関する不適切な発言があったとしています。
 申立人は、これらの発言が行政指導の場において威圧的かつ人格否定的なものであり不適切であると指摘し、当該発言により担当者が精神的苦痛を受けたとして、発言内容の事実確認及び再発防止を求めています。

2 これに対し所管課は、「ここが一番最低です」及び「あんな運営規程」との発言はいずれも行っていないと説明しています。
 訪問時の発言については、「ここまで書類管理ができていない事業所はなかった」旨の趣旨の発言をしたとし、これは、事前に準備を求めていた資料が十分に整っておらず、当日の現地確認においても資料の所在が不明確で提示に時間を要するなど、管理体制に課題が見受けられたことを踏まえたものであるとしています。
 また、指定申請段階においても、申請書類や運営規程について複数回の修正指示を要する状況が続いており、事業所として基準の理解や書類整備が十分とはいえない状況であったことから、事業運営に対する危機感を持ってもらう必要があるとの認識のもとで行った指摘であると説明しています。
 さらに、障がい福祉サービス事業所の指定は、公費を財源とする制度の適正な運営を確保するため、法令及び基準への適合性を審査した上で行うものであり、利用者保護の観点から厳格な確認が求められること、また、限られた人員で多数の事業所を所管する中、新規事業所については開設後早期に現地確認を行い、誤りを早期に是正することが重要であるとの考えのもとで対応している旨を述べています。
 その上で、当該発言の意図は、利用者の安全及び適正なサービス提供を確保する観点から、事業所に適切な運営を促すことにあったとしています。
 もっとも、当該発言が結果として相手方に不快感や精神的負担を与えた可能性については遺憾であるとし、発言の伝え方が適切であったかについては反省の意を示しています。また、当該職員に対する指導や課内での共有を行うとともに、関係部署を含めた接遇に関する研修の実施など、再発防止に努める旨を述べています。

3 以上を踏まえ、当審査会は次のとおり判断します。
 本件については、令和7年12月11日新規指定事業所訪問の際の発言の具体的文言について、当事者間で認識の相違があり、客観的資料も存在しないことから、申立人の主張する文言どおりの発言があったと認定することは困難です。
 一方で、所管課の説明からも明らかなとおり、事業所の書類管理等の不備を指摘する過程において、強い印象を与える表現が用いられたことは否定できず、その結果として申立人側に不快感や心理的負担を与えたことは否定できません。
 障がい福祉サービス事業所の指定については、公費を財源とする制度の適正な運営を確保するため、法令及び基準に適合しているかを審査した上で行うものであり、利用者保護の観点から厳格な確認が求められ、また、限られた人員で多数の事業所を所管している状況の下において、新規事業所については、開設後早期に現地確認を行い、誤りを早期に是正することが重要です。これらの事情に照らせば、本件における指導自体は、利用者保護及び制度の適正運用の観点から一定の合理性を有するものと認められます。
 もっとも、行政指導においては、その目的の正当性に加え、相手方の理解を得て適切な改善につなげる観点から、伝え方や表現方法について十分な配慮が求められます。本件においては、その過程における言動について、結果として相手方に過度な心理的負担を与え、指導の趣旨が適切に伝わらなかった可能性がある点で、配慮を欠く面があったことは否定できません。
 これについて、所管課においては、本件発生後、当該職員に対する複数回の聴き取りを実施し、発言の趣旨とともに、その伝え方が適切であったかについて検証を行っています。その過程において、当該職員自身も、意図はともかくとして、相手方に不適切に受け止められる表現となり得た点について反省の意を示していることが認められます。
 さらに、所管課は、本件を個別の職員の問題にとどめず、組織的課題として捉え、課内での共有及び指導を行うとともに、事業者への指導における伝達方法や接遇の在り方について見直しを図る方針を示しています。加えて、関係部署の職員を対象とした接遇・対応に関する研修を具体的に計画し、実施を予定しているなど、再発防止に向けた具体的措置に着手していることが認められます。
 これらの対応状況に照らせば、所管課は、本件により生じた問題点を踏まえ、今後の行政指導の在り方について改善に向けた取組を進めているものと評価することができます。
 以上、本件では、その過程における言動に配慮を欠く面があったものの、指導の目的自体に不合理な点があるとは認められないこと、所管課において既に具体的な再発防止措置が講じられつつあることから、現時点において、審査会として改めて是正その他の措置を求めるまでの必要性はないものと考えます。

4 以上、当審査会は、本件苦情に係る所管課の対応について、新潟市行政苦情審査会規則第16条第1項に基づく意見の表明又は提言を行う必要はないものと判断します。

規則第16条第1項
 審査会は、苦情等の調査の結果、必要があると認める場合は、市長等に対し、当該苦情等に係る市の業務について、是正その他の改善措置(以下「是正等」という。)を講ずるよう意見を表明し、又は制度の改善を求める提言をすることができる。

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