第8回安吾賞授賞式が2014年1月16日、新潟市音楽文化会館ホールにて行われました。
【第1部】
■授与式
安吾賞:会田誠(美術家)
新潟市特別賞:大友良英(音楽家)
【第2部】
■会田誠:ライブペインティング
■大友良英:即興演奏(参加者 総勢63名)
授与式
安吾賞を会田誠さんへ、新潟市特別賞を大友良英さんへ授与。大友さんの受賞コメントに続き、会田誠さんの作品を鑑賞しながらのインタビュー。
写真右下:左から三潴末雄さん(ミズマアートギャラリー代表)、篠田昭新潟市長、大友良英さん(新潟市特別賞)、会田誠さん(安吾賞)、三枝成彰選考委員長、坂口綱男さん(安吾長男)
記念ライブ
今回の受賞者は揃ってアーティストということで、記念のライブバトルに挑戦して頂きました。
巾5.6メートルもある金屏風に見立てた巨大なキャンバスに向かう会田さんと、それを見守りながら63名のアマチュア楽団を指揮し音楽を作っていく大友さん。時折のアイコンタクトを取りながら展開される緊張の舞台上に、会田さんの迫力のある作品が姿をあらわします。
終始笑顔のお二人が印象的でした。
作品紹介
タイトル:ふるさとはNo Feeling(「みんなといっしょ」シリーズより) 2013
パネル、蝶番、金色の折り紙、木工用ボンド、水性ペイント、水性スプレー(四曲一隻屏風) 250×560cm
作品解説:会田誠
「ふるさとはNo Feeling」のことですが、もちろんそれは安吾の石碑(そのオリジナルは個人に宛てられた色紙)に僕が反応して出てきた言葉です。 安吾の色紙の言葉に、本人の解説は残っていません。読む人がそれぞれの想像力を働かせて解釈する、そういうものだと思います。
それに反応して、今回一部を変更した僕・会田誠は、文学者ではなく、美術家です。色紙というのはひとつの美術的平面作品ともとれますが、僕の場合、更に専門的に美術的平面作品の制作に長年携わっています。僕が公の場で平面に描かれた(書かれた)ものを発表する場合、そこに判読可能な文字が描かれていたとしても、それは絵画作品の一構成要素としてのみ扱うことにしてます。 僕は日常会話やエッセイ等で言葉を使うとき、その言葉の意味や意図を問われれば、それに対し普通に答えます。しかし絵画作品の中に、その一構成要素として書かれた(描かれた)言葉に対しては、一切、説明も解説もしないと決めています。それがプロとしての自分に課した絶対的ルールです。
ただし、他者に伝えられるいくつかの客観的事実はあります。 まず、「No Feeling」という言葉は、イギリスの伝説のパンクバンドSex Pistolsの「No Feelings」という曲から発想したものです。
「ふるさとはNo Feeling」という言葉は「僕、会田誠にとって、ふるさとはNo Feeling」とは決して言ってないことにも注目してください。
安吾の色紙からしてそうですが、長い散文ではないアフォリズムというものには、多義的な読み方が可能になる、そのようなメカニズムを書き手側が意図的に選択している場合がほとんどであることもご想像ください。
ありがとうございました。