職員インタビュー

「チーム」で「思い」を実現する仕事

「チーム」で「思い」を実現する仕事

総務部 総務課 庁舎再編担当 課長

樋口 恭子(建築)

1996年度入庁。学校や保育園、市民病院など、様々な公共施設の建設・修繕に携わった後、建築確認申請審査や補助金を担当。2016年10月より現職。

女性の建築職として様々な公共施設の建設に携わり、2020年5月にオープンした「ふるまち庁舎」への庁舎移転等、庁舎再編の中心となって活躍してきた樋口課長に、技術職の魅力や女性のキャリアアップ、新庁舎の特徴について、インタビューしました。
(2020年1月取材)

技術職の職員として

技術職の職員として
まず始めに、なぜ新潟市役所に就職しようと思ったのか教えてください。

大学は県外で、大学院は新潟でしたが、これから先は地元の新潟で過ごしたいと思っていました。学生時代は、建築史、建築計画に興味があり、例えば学校であれば、1日の大半を過ごす学校の中で、児童や生徒が、もっと楽しく、伸びやかに過ごせるようにするには、どのような建築であればよいかといったことを考え、計画するということを学んでいました。そのため、将来は公務員かゼネコン、設計事務所が学びの延長線という漠然とした思いを持っていました。
大学院の研究室で、いくつかの市のお仕事を手伝う機会があって、接した市の職員のみなさんから業務への真剣な情熱を感じたのと同時に、とても明るく朗らかな職員だったので、そういった職員がいる職場で働きたいと思いました。

仕事をしていてやりがいを感じるのはどんなところですか?

23年間を思い返すと、多くの公共施設の整備に携わってきたと思います。それぞれの計画や工事の様々な段階で、良かった、楽しいと思えるときが多くありましたが、その建物を利用する方の楽しそうな様子を見ることや、自分で考えたものが形になることは喜びでした。
小学校のトイレ改修に携わったときの話ですが、当時、学校のトイレといえば小さな窓が1つあるだけのところが多く、子ども達には「怖い」というイメージがあったそうです。上司からは「好きにやっていいぞ」と言われていたので、他都市の先駆的なトイレを視察し、それまでと比べて、明るくて、広々としたトイレに改修しました。その後、利用者アンケートを実施したときに、子ども達から「トイレが怖かったけど、一人で行けるようになりました」とか、先生から「子ども達が自分から進んでトイレ掃除をしています」といった声を聞くことができて、とても嬉しかったです。そうした経験が、また次の仕事に前向きに取り組むことにつながったと思います。
当然のことながら、学校を卒業してすぐに求められる業務ができるわけではありません。知識や知恵を惜しみなく教えてくれる上司や先輩から、技術的なことはもちろん、公務員の役割、なぜ技師が必要なのかといったことを踏まえたうえで業務を行うことを学ばせてもらいました。この学びの環境で、ステップをひとつずつ上がるように、自分で判断し、取り組めることが増えていったことも、やりがいを感じることでした。

当時、上司からはどんなことを教えてもらったのですか?

上司から「私たちの仕事って何か分かる?それは、同じコストでいいものをつくることだよ。」と教えてもらったことがあります。それまでと同じものを作れば簡単なのですが、私たちには「いいものを作りたい」という気持ちがあります。建築技師の面白味は、それぞれの施設に求められている機能をクリアすることは当然で、利用する人やそこで働く人が「気持ちいいな」「愛着が持てるな」というものをつくっていくことだと思っています。愛着を持てるものをつくるためには色々な工夫が必要ですが、建築技師の仕事は、その工夫を周りに伝える仕事なのかなと思っています。

今までの仕事の中で、楽しかったエピソードはありますか?

保育園の建設が一番楽しかったですね。保育園の魅力は、1日の中での利用時間が長く、そこで過ごす子ども達や保育士の人数が多く、どの部屋もよく使われることだと思います。トイレも大人用と子ども用があったり、遊戯室や調理室があったり、多くの要素が入った建物なのでとても楽しかったです。

保育園を建設する際に大切にしていたポイントはありますか?

私自身子どもがいて、保育園にお世話になっていたので、保育士が働きやすい環境を作りたい、サポートをしたいという思いがありました。お迎えの時間に出退勤する保育士が、遠慮しながら出入りしている様子を見ながら、職員用の玄関があれば保育士の働く環境がよくなるなあと感じていましたので、保育士用の玄関を別につくったり、休憩時間にはしっかり休息できるように、専用の休憩室をつくったりと、働く人目線での環境づくりをしました。また、子どもの目線としては、子どもの体の大きさに合わせた小さな空間をつくり、絵本コーナーにしました。子ども用の小さなドアをつくったり、天井を低くしたり、カラフルにしたり、子どもがワクワクするような工夫をしました。実際、使われ始めてから見に行くと、すごく楽しそうに利用されていて、とても嬉しかったです。

新潟市役所の技術職の魅力とはどんな点だと思いますか?

私は、「空間を想像しながら、新潟市の様々な施策や計画に加わることができること」だと思います。
また、新潟市の大きな財産である公共施設は、庁舎、学校、保育園、文化施設、スポーツ施設、清掃センターなど、種類が多く、利用者も様々です。建設費、維持管理費など建物の生涯にわたってのコスト、利用のしやすさ、心地よさなど、多くの条件を整理して、そのときの最適なバランスを考えることはとても面白いと思います。

「空間を想像しながら」とは?

その場所で、人がどういう風に過ごせるかと空間をイメージすることです。施設と施設がどうつながるかという大きな空間や、この窓の脇に座ると外の景色がこう見える、中の空間はこう見えるとかということをイメージして、計画全体を考えることです。それは、ディテールも含めた管理のしやすさを考え、施設の計画段階から、市民サービスやコストを意識して提案をしていくことができることだと思っています。私は、新潟市は公共建築物が多いという印象を持っていますが、様々な施設について計画段階から加われること、これは民間ではできないことだと思っています。

幅広いジャンルの施設に携われることは、技術職公務員の特徴ですね。

そうですね。様々な建物に携わる中で、「ここはこんな工夫がされているんだ」「こんな意図で作られたんだ」と気付くことができる面白味がありますし、他にも、例えば文化財の修繕に携われば、その道の仕事をしている人を知ることができたりと、建築以外のことについて知見を広げられるところはとても面白いと思います。設計事務所やゼネコンだと、商業ビルを専門としているところやマンションに特化しているところなどがあるかもしれませんが、市役所では様々な施設に携われるので、そういった点は非常に魅力的だと思います。

女性のキャリアアップについて

女性のキャリアアップについて
キャリアを重ねる中で、苦労したことはありますか?

私が採用された頃は、女性の技師も少なかったので、男性中心の組織の中で、何かと気にかけてもらえることをありがたく感じながら、建築技師の世界に馴染んでいきました。入庁当時は、まだお茶出しは女性という習慣はありましたが、業務では様々な機会をいただきましたし、「こうしたい」と相談すれば、周囲からバックアップしてもらえる環境でした。アイディアを実現するために一生懸命になることができましたし、利用者の笑顔を見ることで役に立てているという実感を持てましたので、設計担当のときに苦労を意識したことはなかったと思います。
努力したと思えるのは、一級建築士の資格取得のため、約半年間、残業をこなしながら仕事と勉強を両立したこと、総務・庶務関係の係長のときに、建築技師の仕事とは異なる一般事務の業務を学んだこと、課長補佐の職では、課の一人ひとりがやりがいをもって仕事に取り組んでもらえるような環境づくりに取り組んだことです。
新潟市役所は多くの女性職員が働いているので、様々な機会にお話を聞くことができ、働き続けるイメージを持つことができました。また、男性職員からも、子育ての苦労や生きるうえでの仕事の位置づけなど、アドバイスをいただいたり、相談にのってもらうことができたので、ここまで仕事を続けられたのだと思います。

男性が多い職場で苦労したことはありませんでしたか?

仕事をするうえで、「女性だから」という差別は一切なく、皆さん優しかったです。私が入庁する前の約10年間は、建築技師の採用自体が少ない時期だったので、久々の新規採用職員である私のことがとにかくめずらしく、自分の知識を教えたくてたまらない、という感じで可愛がってもらっていました(笑)。若い頃は「技術を持っていない」ということは事実としてありましたが、苦労したというより、頑張ったという気持ちが大きいですね。当時は苦労と思っていたかもしれませんが、今振り返ってみると、そんな風には感じていません。

なぜ一級建築士を取得しようと思ったのですか?

大学院の友人の多くが取得していたこともあり、働くうえでは必要だと思っていました。子どもが4歳のときに専門学校に通いましたが、忙しいときは、学校に週3日通って、週2日残業という生活で、とにかく必死でした。人生で一番努力したというぐらい頑張ったなあと思います。

資格は業務に役立ちましたか?

試験のために自分の不得意分野も勉強する必要があり、知識を得ることができたのはよかったと思います。また、設計事務所の方や工事の請負業者の方とお話をするときに、資格を持っているか持っていないかで相手の受け取りが違うと感じました。請負業者の方々は皆さん資格を持っていますから。若い頃は、「資格は持っているんですか?」とよく聞かれて、持っていると言うと「勉強大変ですよね。」と言っていただいたこともありました。

仕事と家庭の両立はどのようにしていましたか?

私の家族は夫と子ども2人の4人家族です。子どもが小学校を卒業するまでは、お互いの「仕事を頑張りたいという気持ち」を大切に、スケジュール調整をして、祖父母にもたくさん協力してもらいました。「今週、2日間は目一杯働いて、他の日は定時で帰ろう」といったようにメリハリをつけて仕事をしていた時期もあります。夫も忙しかった時期だったので一緒に頑張ったなあと思います。我が家の子どもは、保育園や祖父母など、たくさんの人の手で育ててもらったと思っています。
子育てだけではなく、自分の病気や親の介護など、家庭生活に重心を置かなくてはならない期間もあると思いますが、誰もが働きやすい職場づくりに取り組み、制度面や、職場の意識も変化していますので、新潟市役所は働き続けることができる環境にあると思います。

管理職として大切にしていることはありますか?

自分の知らないことを吸収すること、市全体のためになるアイディアかを判断してその実現のために情熱を注ぐことです。私の頭ひとつで考えられることは限界があると認識していますので、チーム内の意見をよく聞き、チームの一人ひとりの特長を生かせるような仕事分担とチームづくりに配慮しています。また、入庁から退職までは長いので、誰でも育児、子育て、病気、介護など家庭の問題で仕事に集中しづらい期間が当然あります。そのため、チームメンバーの働き方について、それらを踏まえて配慮するように心掛けています。

「チーム」という言葉が印象的です。

「チームをつくる」ということは重要な仕事のひとつだと思っています。建築の設計者は、まず人間関係をつくって、チームをまとめ、スケジュールをつくっていくのだと思っています。そんな風に、全体を見渡して、「空間をつくる」ことと一緒に「人との関係をつくる」ことが私には求められているのかなと思います。そうは言っても、「ああダメだ、失敗した」と思うこともあるんですけどね(笑)。

庁舎再編に携わって

庁舎再編に携わって
庁舎再編にあたって大変だったことはありますか?

現在の部署では、庁舎の防災拠点機能の強化を速やかに行うことを目指し、庁舎を新たに建設せず、民間のビルを取得して、庁舎を整備しています。具体的には、新庁舎として使用するフロアの財産取得や、これから長く使用する庁舎としての機能を考えること、職員の働きやすい環境づくり、職員約800人の引っ越しを着実に、そして効率的に行うための計画づくりなどに取り組んでいます。
これまでは、建築計画の業務が中心でしたが、庁舎再編担当になってからは、庁内の合意形成を図って様々な事務手続きをすること、多くの民間関係者に市の立場を説明して調整を行うこと、40課を超える部署と新庁舎のレイアウトや引越しの方向性の理解を深めて協力してもらうこと、議会に対し計画や実施方法についてしっかりと説明をすることなど、これまであまり経験のなかった業務が中心になり、しばらくの間は上司の後をついていくことで精一杯でした。井の中の蛙大海を知らずという言葉が思い浮かんで、私のできることは限られていると痛感しました。

庁舎再編担当課長の異動内示が発表されたとき、どう思いましたか?

内示をもらったものの、何をするのか全く分からず、内示から異動までの1週間、いろいろな人に話を聞きに行きました。異動後すぐに、様々な会議や委員会がありましたが、皆さんに温かい目で見ていただいて、大変でしたけれど、ありがたいとも感じ、とてもいい経験でした。
事業の全体像を把握するためのインプットが不足していると感じ、とにかく勉強もしました。例えば、「中央区役所が移転する影響」も最初は分からなかったんです。事務職であれば区役所などで窓口業務をする経験があるからイメージできるのかもしれませんが、技術職の私には分からなくて。ただ、上司がすごく前向きで、いつもリーダーシップを発揮してくれていたので、一人で困ることはありませんでしたし、チームのみなさんが一生懸命にやってくれて、「チームで仕事に取り組んでいる」という意識がありました。それが仕事の推進力になっていると思っています。

新しくオープンする「ふるまち庁舎」の特徴を教えてください。

ふるまち庁舎は、民間の複合ビル(古町ルフル)の3階から6階に位置し、新庁舎となるフロアについては、新潟市で管理を行います。
「変わるのは通勤先ではなく、働き方です。」をオフィスコンセプトとして、職員が能力を発揮しやすい環境を整備し、職場の非効率、手間をできるだけ排除していくように取り組んでいます。

新しくオープンする「ふるまち庁舎」 古町ルフル完成イメージ
素敵なコンセプトですね。

いい言葉ですよね。今の執務室は、自分の机が全てで、周りにいかに効率的に多くの書類を置くか、という形だと思いますが、これからはICTの革新的な技術や、働き手の減少など、労働環境が変わっていく中で、場所が変わるだけではなく、働き方が変わるという意識を持ってもらいたいなと思っています。ふるまち庁舎では、打ち合わせや面談など、様々な用途で使えるコミュニケーションスペースや、一人で仕事に集中して取り組める「集中スペース」を設ける予定です。職員により、また業務によっては、今までの方が良いと思う人もいると思いますので、全員にすぐに受け入れられるとは思っていません。それでも、「ここに行けば落ち着ける」「ここは気持ちがいい」という愛着が持てる場所がどこかにはあるのではないかと思っていますので、少しずつふるまち庁舎を認めてもらえたらいいなと思いますし、これから入庁する皆さんに「こんなところで働けたら嬉しい」と思ってもらえたらいいねと話しています。

最後に、新潟市職員採用試験の受験を考えている方にメッセージをお願いします

新潟市役所の仕事は多岐にわたっていますので、様々な経験ができると思います。変わりゆく市民ニーズに対応してサービスを提供するという目的のため、組織として進めていくところが面白いと思います。人事異動でメンバーが変わることも、新たな視点が得られるので魅力的だと思います。

新潟市職員の魅力を感じられるお話をたくさん伺うことができました!本日はありがとうございました。

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