市報にいがた 令和4年11月6日 2778号 5面

最終更新日:2022年11月6日

連載 心温まる1冊(4)

 図書館司書がお薦めする本を紹介します。

問い合わせ 新津図書館(電話:0250-22-0097)

銀二貫

著者:髙田郁
発行元:幻冬舎
発行年:2009年(文庫は2010年刊)
市内図書館所蔵数:単行本6冊、文庫本7冊
※大活字本あり(発行元:埼玉福祉会、上下巻各3冊)

銀二貫

あらすじ

 安永7年(1778年)、大阪の寒天問屋の主人・和助(わすけ)は、あだ討ち事件に遭遇。瀕死(ひんし)の父をかばう10歳余りの少年を見かね、懐の銀2貫を相手に渡し、少年を助けます。
 少年はやがて和助の下ででっちの松吉(まつきち)として働くことに。商人の振る舞いや心得を学んだ松吉は、料理屋の主人・嘉平(かへい)やその娘との出会いをきっかけに寒天の魅力に気づいた矢先、火事で嘉平を失います。夢を託された松吉は、新たな寒天作りに挑戦します。

おすすめポイント

 銀2貫(金33両)は大火で焼けた天神天満宮の再建のための大切なお金でした。大阪商人たちのあつい信仰心、そのつつましい暮らしぶりと人情に心が和みます。
 寒天は今も身近な素材。「味がないからこそ大事だ」という料理人の言葉に、なるほどとうなずけます。松吉が試行錯誤の末に新たな寒天を作り出し、料理の幅をさらに広げようと一心に励む姿や、嘉平の娘・真帆(まほ)へのままならない思いが切なく、胸が熱くなります。

 市の図書館で所蔵している資料は、ウェブ予約で希望する館に取り寄せて借りることができます。
※図書館の窓口で事前登録が必要

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