第5章 快適な生活環境の創造

最終更新日:2023年1月10日

現状と課題

新潟市の主な生活環境

大気環境

 市内の大気環境の測定結果は、光化学オキシダントを除いて、すべての測定局で環境基準を達成しており、良好な状況で推移しています。
 光化学オキシダントは、全国的に環境基準の達成率が極めて低い水準となっており、本市においても同様に、すべての測定局で非達成の状況が続いています。
 光化学スモッグの原因物質や微小粒子状物質(PM2.5)は、国外からの移流の影響も示唆されており、今後もモニタリングによる実態把握と工場・事業場からの排出抑制対策を継続していくことが必要です。

図表5−1 大気常時監視測定網
図表5−1 大気常時監視測定網

水環境

 市内の公共用水域の水質は概ね良好な状況ですが、一部の海域のCODについては環境基準非達成が続いています。
 信濃川と阿賀野川の2大河川をはじめ、佐潟、鳥屋野潟や福島潟などの湖沼や日本海といった多くの水面を有する本市は、古くから“水の都”と呼ばれていました。この豊かな水環境を守るため、継続的な水質監視や工場・事業場の排水規制、生活排水の施設整備を行うことが必要です。

音環境

 本市は、高速道路、国際空港及び新幹線など交通インフラが集積する都市です。市内の音環境の保全のため、自動車騒音をはじめとした騒音監視を実施しています。
 新幹線騒音など一部環境基準を超過している地点があることから、継続して道路管理者や鉄道事業者に対して改善を求めるなど、騒音等の対策を推進することが必要です。

土壌環境

 土壌や地下水については、事業場に起因する汚染や自然由来の要因などにより、本市においても重金属や揮発性有機化合物等の汚染事例が発生しています。
 汚染された土壌や地下水を経口摂取すると健康被害を生じるおそれがあります。汚染の未然防止を図るとともに、汚染が発見された場合は、住民への情報提供や健康被害防止措置のほか土地所有者等による適切な浄化措置や管理の徹底が必要です。

地盤環境

 新潟平野は昭和20年代より急激に広域的に地盤沈下が観測され、農業用排水施設等の機能障害が顕著に現れてきました。現在、地下水揚水規制等により、海岸部の一部を除き地盤沈下はほぼ沈静化していますが、地盤沈下対策として引き続き監視を続けることが必要です。

景観

 美しく個性的で魅力あるまちづくりを目指し、優れた景観を「まもり、そだて、つくり、つたえる」ため、平成19年4月に景観法に基づく「新潟市景観計画」と「新潟市景観条例」、平成8年4月に屋外広告物法に基づく「新潟市屋外広告物条例」を定め、総合的・計画的に景観形成を推進しています。
 さらに、市内各地域において、それぞれの歴史と文化を活かした「修景」や「きめ細かなルール作り」を市民・事業者と一体となって取り組んでいくことで、市民共通の資産である新潟らしい景観の形成に取り組んでいます。

歴史・文化

 市民が郷土に対する関心と理解を深めることができるように、地域の環境と人々の関わりあいを物語る貴重な歴史・文化遺産の調査研究を進め、その保存活用を図るための歴史・文化施設を整備し、管理運営しています。本市の歴史・文化を市内外に情報発信することで、本市の魅力をPRしていくとともに、地域の魅力の再発見に努めています。

防災対策

 地域防災力育成事業により、自主防災組織の結成と防災訓練の実施を促進しており、令和3年度末には、本市の自治会に加入する世帯の92.0パーセントで自主防災組織が結成されています。また、避難行動要支援者対策として、避難行動要支援者の名簿登録や、自治会、自主防災組織などの支援者に対する名簿配布を進めています。さらに、迅速かつ適切な災害対応を実施するため、災害対策センターを整備するなど、災害対応インフラの整備も進めています。

施策展開

1 環境負荷の抑制

(1) 大気環境の保全

環境大気常時監視

 令和3年度の大気汚染物質(環境基準が定められている6物質)の環境基準達成状況は図表5-2のとおりでした。光化学オキシダントのみ環境基準を達成しませんでしたが、「新潟県光化学スモッグ緊急時対策要綱」に定められている光化学スモッグ注意報の発令基準(1時間値0.12ppm)を超えませんでした。
 本市では光化学オキシダントなどの大気汚染物質の濃度が注意報発令基準を超えた場合に備え、市民に情報を迅速に伝えられるように体制を整備しています。

図表5−2 測定局環境基準達成状況
  二酸化硫黄 二酸化窒素 光化学オキシダント 浮遊粒子状物質 微小粒子状物質 一酸化炭素
長期的評価 短期的評価 長期的評価 短期的評価 長期的評価 短期的評価 長期的評価 短期的評価
一般環境大気測定局 豊栄 適合 不適合
太郎代 適合 適合 適合 不適合 適合 適合 適合
松浜 適合 適合 適合 不適合 適合 適合 適合
大山 適合 適合 適合 不適合 適合 適合 適合
山木戸 適合 適合 適合 不適合 適合 適合 適合
亀田 適合 不適合 適合 適合 適合
新津 適合 不適合 適合
坂井輪 適合 不適合 適合
適合 不適合 適合
自動車排出ガス測定局 東山の下 適合 適合 適合 適合 適合 適合
市役所 適合 不適合 適合
白根 −※2 不適合 適合 適合 適合 適合 適合

(注) 短期的評価とは、1日平均値または1時間値について、環境基準と照らして評価したものをいう。
 長期的評価とは、1日平均値を年間にわたり観察し、環境基準と照らして評価したものをいう。
 ※1 二酸化硫黄、浮遊粒子状物質、一酸化炭素については、1日平均値につき測定値の高い方から2パーセントの範囲にあるものを除外した後の日平均値を評価し、また、二酸化窒素については、1日平均値の低い方から98パーセントに相当するものによって評価を行う。
 ※2 白根測定局の二酸化窒素は、国が規定する測定時間数に満たないため評価の対象にしない。

工場・事業場における発生源対策

 ばい煙や粉じんによる大気汚染を防止するため、大気汚染防止法や新潟市生活環境の保全等に関する条例(以下「市生活環境保全条例」という。)に基づき、工場・事業場に対する立入検査を44件実施し、施設の稼働状況、ばい煙等の濃度や排出量を確認し、適宜指導を行いました。
 また、特にばい煙等の排出量が多い工場については、市生活環境保全条例に基づき、公害防止協定を13社13工場と締結し、法律や条例の規制よりも厳しい公害防止措置を取り決めています。

有害大気汚染物質

 濃度が低くても継続的に摂取することにより、人の健康を損なう恐れのある有害大気汚染物質について、健康被害の未然防止の観点から大気中の有害大気汚染物質の調査を実施しています。
 令和3年度は、松浜(北区)、大山(東区)、東山の下(東区)及び新津(秋葉区)の4地点で調査を実施しました。
 その結果、環境基準が設定されている4物質(ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン)は基準を達成しました。

(2) 水環境の保全

河川・湖沼及び海域の水質測定

 本市内の公共用水域(23水域(河川17水域、湖沼1水域、海域5水域))について、水質汚濁防止法に基づき新潟県が作成した測定計画により、水質を測定しています。令和3年度の生活環境項目(BOD又はCOD)については、全水域の87.0パーセントで環境基準を達成しました。この内訳は、河川17水域、湖沼1水域、海域2水域となります。

図表5−3 水質調査地点位置及び測定結果
図表5−3 水質調査地点位置及び測定結果

工場・事業場排水対策

 水質汚濁防止法、新潟県生活環境の保全等に関する条例(以下「県生活環境保全条例」という)及び市生活環境保全条例に基づき148事業場について延べ194回の立入検査を実施し、施設の稼働や排水の状況を確認し、必要な指導を行いました。

生活排水対策

 公共用水域における水質の汚濁は、工場等からの産業排水に対する規制が強化され排水処理対策の進んだ今日、台所や風呂・トイレなど日常生活に起因する生活排水が水の汚れの大きな原因となっています。

1. 下水道の整備

 快適で衛生的な市民生活を実現し、河川などの水環境を保全するため、管渠やポンプ場・下水処理場の整備を推進します。令和3年度は、38ヘクタールを整備し、下水道普及率は87.0パーセントとなりました。
 また、下水道への接続を促進するため、助成制度や改造資金の融資制度などを設けています。令和3年度は、152件の助成・融資制度の申請がありました。

図表5−4 し尿処理方法別人口内訳の推移
図表5−4 し尿処理方法別人口内訳の推移

2. 浄化槽の適正維持管理及び普及

 令和3年度中に本市内に新たに設置された浄化槽は、479基でしたが、下水道への切り替えなどに伴う廃止が488基あり、令和3年度末現在で総設置数は51,097基となり、浄化槽使用人口は、全人口の17.8パーセントとなっています。
 本市では、浄化槽法などに基づき、設置者に対する啓発や浄化槽関連業者に対し適正な業務の実施指導などを行い生活環境の保全に努めるとともに、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換に係る補助制度を設け、その普及促進に努めています。令和3年度は、130基(5人槽30基、7人槽89基、10人槽11基)を補助しました。

(3) 音環境の保全

騒音の監視

 令和3年度の一般環境騒音測定結果では、全32測定地点で環境基準を達成していました。
 自動車騒音の面的評価は86評価区間で実施し、住居等の99.4パーセントが環境基準を達成しました。
 航空機騒音については、14測定地点全てで環境基準を達成しました。
 新幹線騒音については、全6測定地点で環境基準未達成でした。

自動車騒音対策

 自動車交通騒音・振動対策は、自動車本体の低騒音化、交通規制、道路構造改良のほか、公共交通機関の整備と利用促進、交通の渋滞及び通過車両の削減を目的とした環状道路整備の推進など、総合的な交通対策を進めていく必要があります。
 なお、当面の対策として、道路管理者に対して防音壁の設置及び低騒音舗装の採用などにより騒音・振動の低減を図るよう要望するとともに騒音・振動調査を継続的に実施し、生活環境の保全に努めていきます。
 さらに、道路整備に当たっては、騒音に係る環境基準を維持できるよう、道路管理者又は関係機関に働きかけています。

航空機騒音対策

 航空機の騒音による障害が著しいと認められる地域に所在する住宅に対しては、「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」に基づき、区域を指定して騒音防止工事の助成を行っています。そのほか、住宅騒音防止工事で設置された空調機のうち、老朽化したものを対象として、更新工事の助成を行っています。
 また、本市と新潟県では、住宅騒音防止工事で設置された空調機の稼働にかかる電気料及び防音サッシの修繕費の助成を行っています。
 本市としては、今後も空港周辺の航空機騒音測定を実施し、その調査結果を踏まえ、国に騒音対策の推進を図るよう働きかけていきます。

鉄道騒音・振動対策

 新幹線の騒音については、全6測定地点で環境基準未達成であることから、今後も監視調査を継続し、環境基準の達成状況の把握に努めるとともに、調査結果などをもとにJR東日本新潟支社に対して防音対策を講じるよう働きかけていきます。
 また、新幹線鉄道振動や在来線による騒音・振動についても、現状を把握するため測定を実施し、その結果に基づき必要に応じてJR東日本新潟支社に対して、防音・防振対策を講じるよう働きかけていきます。

図表5−5 騒音・振動調査地点位置
図表5−5 騒音・振動調査地点位置

工場・事業場等の騒音・振動対策

 騒音規制法、振動規制法及び市生活環境保全条例に基づき特定(指定)施設を有する工場について必要な規制を行い、生活環境等に影響を与えないよう、周辺の状況等を十分勘案し、施設の配置や防音対策など地域の実情に即して適切に行うよう指導しています。

建設作業騒音・振動対策

 騒音規制法、振動規制法及び市生活環境保全条例に基づき、特定(指定)建設作業について必要な規制を行い、法令による届出時に工事を行う元請業者に対し低騒音・低振動型建設機械の使用、低騒音・低振動工法の採用、防音シート等の設置や周辺住民に対する工事の事前説明等の徹底を指導しています。

近隣騒音対策

 生活様式の変化や、都市の過密化などにより、近隣騒音の苦情が寄せられています。
 近隣騒音とは、カラオケによる深夜騒音、一般家庭生活におけるピアノの音、冷暖房といった設備機器類などが周辺の生活環境に影響を与えるものをいいます。
 本市では、市民からこれらの苦情が寄せられた場合、飲食店の冷凍機騒音などのように規制の対象となるものについては、基準の遵守について指導を行っていますが、生活騒音などの規制のないものについては、当事者間の理解を促すよう努めています。

(4) 土壌・地盤環境の保全

土壌環境の監視調査

 土壌汚染対策法や関連条例に基づき、有害物質による地盤環境について監視・調査を実施しています。26項目の環境基準が設定されており、一部の項目で汚染が確認されています。
 令和3年度末現在、土壌汚染対策法の指定区域は累計で35件であり、汚染が判明し県生活環境保全条例に基づいた届出数は累計で115件となっています。
 汚染が判明した場合は、速やかに周辺の地下水の利用状況を確認し、地下水を飲む際には水質検査の実施を啓発するとともに、汚染原因者に対しては汚染の除去等の対策を講じるよう指導しています。

図表5−6 新潟・新発田地域地盤変動図(令和元年9月1日~令和2年9月1日)
図表5−6 新潟・新発田地域地盤変動図(令和元年9月1日~令和2年9月1日)

地盤沈下対策

 令和3年度の水準測量の結果では、阿賀野川河口及び西蒲区の一部の地域で年間2センチメートル程度の沈下が見られました。昭和35年に科学技術庁資源調査会は「地盤沈下の主原因は、ガス・水の大量汲み上げである」ことを報告しています。その見解に基づいて、水溶性天然ガスや一般地下水の採取規制を行っています。その結果、地盤沈下はほぼ沈静化していますが、監視のため、国・新潟県と連携し、公共水準測量を実施します。また、監視に必要な観測所及び観測機器の維持管理を行います。

(5) 有害化学物質による環境汚染の防止

ダイオキシン類の監視

 ダイオキシン類対策特別措置法に基づく常時監視として調査を実施しています。この法律では、大気・水質(水底の底質を含む)・土壌の環境基準が設定されており、令和3年度は33地点で調査を行い、河川1地点を除き、環境基準を達成しました。

工場・事業場における発生源対策

 ダイオキシン類対策特別措置法に基づき、令和3年度は廃棄物焼却炉などの特定施設を有する5事業場(5施設)について立入検査を実施し、全施設で排出基準を達成していることを確認しました。

有害化学物質の排出量及び移動量の把握

 化学物質による環境汚染を防止するため、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に基づく、PRTR制度において、特定化学物質の使用状況を把握し、対象物質の排出量及び移動量について公表しています。
 令和3年度のPRTR制度の届出数は250事業所でした。

(6) 監視体制の充実

公害防止組織の整備

 公害防止のための組織を設置又は加入して、関係団体との連携を進めています。

新潟地区環境保全連絡協議会 環境保全のための知識や情報の交換
水質汚濁対策連絡協議会 信濃川・阿賀野川水系の水質保全
鳥屋野潟総合整備推進行政連絡会議等 鳥屋野潟・西川・新発田地区中小河川の水質保全
新潟東港背後地市町村環境対策協議会 新潟東港臨海工業地帯の公害防止
新潟県高速道路交通公害対策協議会等 高速道路や新幹線における騒音・振動の防止

(7) 移動しやすい交通環境の実現

 本施策は、「第2章 低炭素社会の創造(3 低炭素型交通への転換)」において定める施策を推進することにより、実現を図りました。

2 良好な景観の形成

(1) 地域固有の景観特性に応じた景観形成

景観計画、景観条例に基づくまちづくり

 新潟市景観計画、新潟市景観条例に基づき、良好な景観を形成するための方針や理念、行為の制限、建築物の形態や意匠など具体的な守るべき基準等を定めています。また、重点的に景観を保全する区域として景観特別区域を定めることで、それぞれの地域特性に応じた景観の形成を図っています。(二葉町1丁目1区地区、信濃川本川大橋下流沿岸地区、旧齋藤家別邸周辺地区、旧小澤家住宅周辺地区)
 また、建築物等の新築、増築、改築等及び外観の変更並びに土地の形質の変更等、景観計画区域内における行為の届出に対しては景観アドバイザー制度を活用し、指導・助言を行いながら、建築主や事業者に対する意識醸成を図り、良好な景観を形成しています。令和3年度の届出件数は118件でした。

(2) 市民等による良好な景観形成の支援

景観形成にかかる活動支援

 一定の地区における景観の形成を目的とする組織を「景観形成推進組織」として認定し、その組織の活動に対して、初年度は20万円以下、 2~5年度は10万円かつ2分の1以下の費用の助成を行っております。令和3年度の助成実績はありませんでした。

3 歴史・文化遺産の継承と活用

(1) 歴史・文化遺産の継承と活用

文化財の保存と活用

 市内各地域にある有形・無形の文化財など、先人が残した貴重な遺産を良好な状態で後世に引き継いでいくため、計画的な文化財調査を実施しています。国指定名勝「旧齋藤氏別邸庭園」(中央区)や国指定重要文化財「旧笹川家住宅」(南区)など、文化財の保存整備や管理運営を行うほか、毎年1月26日の文化財防火デー前後に全市で防火訓練を行うなど、文化財の保存・活用に努めています。また、新潟市文化財センター(西区)では、埋蔵文化財の発掘調査や出土遺物の整理・保管・劣化著しい遺物の保存処理を行うほか、出土遺物・民俗資料の展示、勾玉作りなどの体験学習や発掘調査現地説明会・速報会の開催を通じて、郷土の歴史により親しみを持てるよう情報発信を行っています。新潟市歴史博物館(中央区)では、本市の歴史に関わる常設展・企画展や、教育普及事業を行い、みなとまち新潟の歴史・文化の魅力を発信しています。

史跡等の整備と活用

 史跡や歴史的建造物などは、周辺の環境と一体となって歴史・文化を感じさせる風景を生み出しています。これらを整備することで、地域固有の風景を守っています。
 また、国指定史跡「古津八幡山遺跡」(秋葉区)を適切に保存・活用していくため、保存活用計画に従い、史跡周辺の試掘・確認調査を実施しています。

歴史的資料の保存と活用

 市政を検証するために後世に残すべき重要な公文書や寄贈を受けた文書を適切に保存し、市民に広く利用してもらう施設として、令和4年1月に「新潟市文書館」が開館しました。
 所蔵資料の利用提供のほか、展示や講座の開催などを通じて、新潟市の歴史に対する関心と理解を深めるよう努めています。

4 自然災害への適応

(1) 災害予防対策の充実

自主防災の促進

 地域防災力育成事業により、自主防災組織の結成促進と防災訓練の実施を促しました。令和3年度末時点で、自主防災組織の結成率は前年度から1.0パーセント増加し、新潟市の世帯の92.0パーセントとなりました。また、避難行動要支援者対策として、災害時に避難支援が必要な避難行動要支援者の名簿登録を進め、自治会、自主防災組織などの支援者に対して名簿を配付するとともに、避難行動要支援者一人ひとりに対する個別避難支援計画の策定を推進しています。令和3年度末時点では18,779人が登録し、個別避難支援計画の策定率は66.0パーセントとなりました。

(2) 災害応急対策の充実

災害時の情報発信

 迅速かつ的確に災害対応を実施するため、市役所本館3階に災害対策センターを整備し、災害時情報システムや防災ウェブ会議システムを運用しているほか、必要に応じて避難情報などを緊急速報メールやにいがた防災メールなどで発信しています。

(3) 災害に強い社会基盤整備

雨水貯留浸透対策推進事業

 雨水対策として、幹線管渠整備など雨水排除能力の増強に加え、雨水の貯留有効利用や地下浸透などの促進により、雨水流出の抑制を図るとともに、適正な水循環の維持・形成に努めます。
 学校などでは貯留浸透施設の整備を推進し、また、開発行為に対しては雨水流出抑制技術指針により、雨水流出抑制施設(貯留池などの貯留施設及び浸透ます、透水性舗装などの浸透施設)の設置を協議しています。

主な関連事業
令和3年度実績
海岸事業 新潟海岸直轄海岸保全施設整備事業
  • 金衛町工区
新潟海岸内野浜地区海岸侵食対策事業
巻海岸四ツ郷屋地区海岸環境整備事業
治水事業 阿賀野川河川改修事業
  • 小杉地区(堤防侵食対策)
信濃川河川改修事業
  • 大河津分水路改修
信濃川本川下流改修事業
  • やすらぎ堤
  • 天野地区河川防災ステーション
  • 小須戸橋架け替え
  • 戸石地区(河道掘削)
栗ノ木川広域連携(河川)事業
新井郷川広域河川改修事業(住宅特治)
  • 新井郷川排水機場~福島潟
大通川広域河川改修事業
鳥屋野潟流域治水対策河川事業
  • 長潟工区、上沼工区
福島潟流域治水対策河川事業(大規模)
中ノ口川広域河川改修事業
  • 大野大橋~新飯田橋

5 環境保全のための事前配慮の推進

(1) 環境保全のための事前配慮

環境影響評価制度

 環境影響評価制度(環境アセスメント制度)とは、道路建設や最終処分場の設置など、環境に影響を及ぼすおそれのある事業の内容を決めるにあたって、その事業が環境にどのような影響を及ぼすかについて、事業者自らが調査、予測及び評価を行い、その結果を公表し、住民や自治体などから意見を聴き、それらを踏まえて環境保全の観点からより良い事業計画を作り上げていこうとするものです。
 新潟市環境影響評価条例における対象事業は、道路、鉄道、空港、発電所など(法の対象事業を除く)の他、廃棄物処理施設やスポーツ施設の設置など17種類の事業で、市域で実施される可能性がありかつ環境影響の程度が著しいおそれがあるものを規定しています。

(2) 小規模開発における事前協議

指定開発事業事前届出制度

 開発行為や工場等の建築の際には、それぞれ法令等に基づき事前に審査が行われていますが、完成後に周辺の生活環境に影響を与えることがあり、公害苦情として問題化する場合も少なくありません。
 このため本市では、このような環境問題を未然に防止するため、市生活環境保全条例により指定開発事業の事前届出制度を設け、開発行為や工場等の建築を行う前に環境に与える影響について事前審査を行い、届出者に対して文書で助言、指導又は勧告することになっています。令和3年度における指定開発事業実施届出件数は37件でした。
 また、専用住宅以外のものを建築する場合には、建築確認申請の前に各区役所区民生活課(中央区は窓口サービス課)で事業内容の確認を行うことになっています。令和3年度の点検件数は343件でした。

(3) 環境情報の整備提供

自然環境保全資料の活用

 本市域内に生息及び生育する希少種の種類やその生息地を明らかにし、公共事業や各種開発行為の際の「自然環境配慮」「希少野生生物種の保護対策」の基礎資料とするため、平成21年度に作成した新潟市版レッドデータブックを活用しています。
 また、新潟市版レッドデータブックについては、令和3年度からリストの見直しを開始し、各分類ごとにリスト更新を行っていきます。

(4) ユニバーサルデザインの推進

ユニバーサルデザインの導入

 個人のさまざまな状況にかかわらず、一人ひとりがお互いを理解・尊重し、協働しながら環境づくりに取り組めるよう、ユニバーサルデザインの考え方を導入しています。

評価指標の達成状況

新潟市環境基本計画での指標項目 計画策定時点(平成25年度) 実績(令和3年度) 目標(令和4年度)
生活環境における空気のきれいさ※1
沿道における空気のきれいさ※2
0.007ppm
0.009ppm
0.005ppm
0.006ppm
現状より低減
水がよりきれいなランク※3になった河川・湖沼の水域数 -1地点 3地点
食育・花育センターが実施する花育体験プログラム等の実施団体数 30団体 58団体 70団体
保育所、幼稚園、小学校の地域との連携による花育活動実施率 48パーセント 45パーセント 60パーセント
植栽やビオトープづくり等、美しい農村景観の形成を行う農地の割合※4 78パーセント※5 86.3パーセント 90パーセント

1 一般環境大気測定局における二酸化窒素濃度
2 自動車排ガス測定局における二酸化窒素濃度
3 ランクとは、河川・湖沼の類型(AA, A, B, C, D, E)に相当するようなきれいさとし、項目としてBOD75パーセント値/COD75パーセント値で評価
4 農地、水路、農道等の質的向上を図る共同活動を支援する「資源向上支払交付金(多面的機能支払交付金事業)」の対象農地の割合
5 当該項目のみ平成26年度の数値を記載

評価

生活環境及び沿道における空気のきれいさ

現時点でいずれも目標を達成しており、最終年度まで現状のまま推移するものと思われます。

水がよりきれいなランクになった河川・湖沼の水域数

現時点で基準となる平成25年度相当類型と比較し、ランクダウン1地点となっており、目標の達成には時間を要するものと思われます。

食育・花育センターが実施する花育体験プログラム等の実施団体数

コロナ禍前の令和元年度までは目標を概ね達成していましたが、令和2年度からはコロナ禍の影響で目標を下回っています。

保育所、幼稚園、小学校の地域との連携による花育活動実施率

新型コロナウイルス感染症の影響で地域との連携を控える傾向により、令和2年度に続き令和3年度も目標を下回りました。

美しい農村景観の形成を行う農地の割合

活動に取組む農地の割合は横ばいとなっていますが、集落・活動組織の高齢化やリーダーの不在、煩雑な事務処理などを理由に活動の継続を断念する組織もでてきています。

課題・方向性

  • “空気のきれいさ”は目標を達成しているものの、“水がよりきれいなランクになった河川・湖沼の水域数”は、現時点で未達成であることから、引き続き流域の自治体と連携するとともに、工場・事業場の排水規制や浄化槽の普及促進等による生活排水対策を進め、公共用水域の水質汚濁の防止を図ります。
  • 拠点施設である食育・花育センターにて、団体向けの体験プログラムの実施に加え、土日・祝日での親子など一般向けの花育体験を充実させて花育を推進していきます。また、地域との連携による花育活動について、特に保育所、幼稚園において、新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されるため、今後は、コロナ禍でも実施可能な花育活動のあり方を検討していきます。
  • 美しい農村景観の形成については、高齢化等により活動継続を不安視する組織への支援のほか、組織の広域化の推進に伴い、活動の効率化や組織力の強化、事務の省力化を図ることが求められています。取り組み率の増加を図るため、未取り組み地区への促進活動を強化するとともに、国・県と連携し、既存の活動組織のニーズに応じた支援を続けていきます。

このページの作成担当

環境部 環境政策課

〒951-8550 新潟市中央区学校町通1番町602番地1(市役所本館2階)
電話:025-226-1363 FAX:025-222-7031

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