(6-18)能登半島地震に係る被災家屋の自費撤去費用償還について

最終更新日:2025年7月7日

(6-18)能登半島地震に係る被災家屋の自費撤去費用償還について

令和7年3月24日 苦情申立書受理

申立ての趣旨(要約)

 令和6年1月に発生した能登半島地震における被災家屋の自費解体について、市が設置した被災相談窓口で事前に相談した際、公費解体非対象分は償還されないが、それ以外は全額償還するとの説明を受け、自費も公費も変わらないので、すぐに解体しても構わないとのことであった。また、その時点では、解体に対する判断基準、細かな作業費用の目安、消費税の扱いの説明はなかった。
 解体業者と実際に契約した金額は4,730,000円であったが、市から示された償還額は2,286,324円であった。当該箇所は旗竿地で、重機などが一部使えない、人手による解体であることが考慮されていない杜撰な内容であった。
 その後、解体業者が工事の詳細について市に資料を提出したところ、担当職員から「勝手に自費解体を行ったのだから公費解体を待てばよかった。」旨の発言があったとともに、後日2回目の償還額が示され3,018,930円に増額となった。
 それでもまだ契約額との差が大きく納得できないため、以下のことについて担当課に相談、質問した。
(1)公費解体非対象経費以外は全額償還とし、見積書の項目で算定してほしい。
(2)公費解体対象経費について、項目ごとにいくらで計算しているのか詳細を示してほしい。
(3)償還費の内訳で消費税分も計上されているならば、自費解体分の消費税は返還すべきではないか。
 上記3点の質問に対しては、それぞれに納得のいく回答ではなかったこと。被災相談窓口での事前相談時には、自費解体、公費解体のどちらを選択するかの判断を行うため、きちんとした説明をするべきではなかったのか。

所管部署

環境部廃棄物t対策課
環境部循環社会推進課(以下、2課をまとめて「所管課」という。)

調査の結果の要旨

令和7年7月4日決定

 申立人の主張及び所管課の説明と所管課から提出のあった資料に基づき、当審査会では以下のとおり判断し調査結果とします。


第1 事実経過
(1)令和6年1月1日、令和6年能登半島地震により、申立人が所有する住宅が被害を受け、その後の調査により半壊の判定を受ける。
(2)令和6年1月下旬から2月上旬頃、申立人が、被災者相談窓口で自費撤去に関する相談を行う。
(3)令和6年2月2日、申立人が、解体業者2社から見積書を取得し、金額が安価であったA社と契約(金額4,730,000円、税込)した。
(4)令和6年3月下旬から4月初旬、申立人が、A社に依頼して自宅の解体工事を実施させた。工事は旗竿地であったため、手壊しによって行われた。
(5)令和6年5月31日、申立人が、所管課に対し、自費撤去に係る費用償還申請書及び償還申請に係る申出及び同意書を提出。提出された同意書には、「償還額は公費解体費用を上限とする」旨の記載があった。
(6)令和6年8月30日、所管課が、上記申請内容に基づき償還額を2,286,324円と算定。
(7)令和6年10月7日、所管課が、申立人に対し、償還額決定通知書を送付した。
(8)令和6年10月中旬以降、申立人が、償還額の内容について、A社に相談したところ、A社が、所管課に対して工事内容に関する詳細資料及び現場写真を提出した。
(9)令和6年12月頃、所管課が、上記提出資料をもとに手壊し解体の実態を確認し、償還額を3,018,930円に変更した。
(10)令和7年3月4日、申立人が、新潟市環境対策課に電話連絡を行い、所管課の対応に関する不満を申し出る。

第2 審査会の判断
1 上記のとおり、申立人は、令和6年1月に発生した能登半島地震における被災家屋の自費撤去について、被災相談窓口で事前に相談した際、公費解体非対象分は償還されないが、それ以外は全額償還するとの説明を受け、自費も公費も変わらないので、すぐに解体しても構わないとのことであった。また、その時点では、解体に対する判断基準、細かな作業費用の目安、消費税の扱いの説明はなかったと述べた上、(1)公費解体非対象経費以外は全額償還とし、見積書の項目で算定してほしい、(2)公費解体対象経費について、項目ごとにいくらで計算しているのか詳細を示してほしい、(3)償還費の内訳で消費税分も計上されているならば、自費撤去分の消費税は返還すべきではないかと苦情を述べています。

2 これに対し、所管課は、本件の自費撤去費用償還制度について、公費解体と同様の基準に基づいて償還額を算定する制度であり、自費解体に要した実費を全額補填する制度ではないと説明しています。また、申立人が主張する「公費解体非対象分は償還されないが、それ以外は全額償還される」「自費でも公費でも償還額は変わらないので、すぐに解体しても構わない」といった説明については、そのような説明は行っていないと否定しています。申請時には、制度の概要を口頭で説明し、「償還額は公費解体に準じた金額が上限となる」旨を伝え、その内容を記載した同意書にも署名を得ていると述べています。償還額については、延床面積や構造に応じた標準単価に基づき、当初は2,286,324円と算定したが、その後、申立人から提出された工事資料や現場写真を踏まえ、本件が重機を使用できない旗竿地で手壊し解体であったことを確認し、再算定を行って3,018,930円に増額したと説明しています。また、消費税の取扱いについては、制度上、償還額の算定に消費税相当額を含める運用としており、自費撤去の場合も同様に対応していると述べています。その上で、所管課としては、本件について申請者の提出資料等に基づき必要な再検討を行い、制度の趣旨に沿ってできる限りの対応を行ったものと認識している旨説明しています。

3 審査会の判断は次のとおりです。
 本件は、令和6年1月の能登半島地震により、申立人が所有する住宅が半壊したことを受け、自費で家屋を解体し、その費用の償還申請を行ったところ、新潟市から提示された償還額が支出額を下回っていたことから、苦情を申し立てたものです。
 申立人は、被災直後に、相談窓口において職員に自費撤去について相談した際、「公費解体の対象外部分を除けば全額が償還される」「公費でも自費でも変わらないので、すぐに解体しても問題ない」との説明を受けたと主張しております。
 これに対し、所管課はそのような説明は一切行っておらず、申請時に「償還額は公費解体基準に基づき算定され、上限がある」と説明し、その旨が記載された同意書への署名も得ていると主張しております。
 この点については、償還制度の運用基準および同意書に明確に記載された内容に照らしても、申立人の主張する「全額償還される」との説明が実際に行われたと認めるに足る証拠は存在せず、その事実を認定することはできません。
 また、申立人は、重機の入らない旗竿地に所在する自宅を手作業で解体せざるを得なかったため、約473万円の費用がかかったと述べております。これに対し、市は制度で定められた単価に基づいて当初2,286,324円の償還額を算定し、申立人からの詳細資料および現場写真等を踏まえた再検討を経て、令和6年12月には償還額を3,018,930円に増額しております。
 更に、消費税の取扱いについて、公費解体も市が依頼した解体業者に対し工事費に消費税を加えて支払っており、自費撤去の場合も基準単価により算定した金額に消費税を加えた金額を償還費用としているため、公費解体と自費撤去において消費税の取扱いに相違はないと説明しており、その算定手続に不合理または整合性を欠く点は見受けられません。
 以上の事情から検討すると、所管課は制度の趣旨および運用基準に則り、適切な説明と算定手続を行っており、申立人からの申出に対しても柔軟かつ誠実な対応を重ねてきたことは明らかです。よって、所管課の対応は妥当かつ適切であり、行政機関として必要な措置を尽くしていると認められます。
 以上、当審査会は、本件苦情に係る所管課の対応について、不適切な点は認められず、新潟市行政苦情審査会規則第16条第1項に基づく市長等に対する意見の表明または提言を行う必要はないものと判断いたします。

規則第16条第1項
 審査会は、苦情等の調査の結果、必要があると認める場合は、市長等に対し、当該苦情等に係る市の業務について、是正その他の改善措置(以下「是正等」という。)を講ずるよう意見を表明し、又は制度の改善を求める提言をすることができる。

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