食文化創造都市にいがたの概要

最終更新日:2016年3月16日

新潟市は食文化による創造都市づくりに取り組んでいます。食を活かした交流と人づくりを通じて持続的に発展する新潟市(食文化創造都市にいがた)を目指しています。

1 はじめに

 新潟市は暖流と寒流が交わる海域に面し、二つの大河(信濃川・阿賀野川)が造った肥沃な大地に築かれた人口81万人のまちです。また、日本一の水田面積を有した、都市部と農村部が共栄するまちで、農産物や水産物といった多様な食材に恵まれています。

 新潟の食文化は、主食であり日本酒の原料でもある米を中心に、港町の交易を通じて入り込んだ様々な文化が織りなして育まれました。

 都市部と農村部が共生する新潟市においては、新鮮でおいしい食材を生産する農漁業者、食材の良さを見極め、料理を通じてその魅力を表現する料理人などの人材が豊富です。

 今日では、食文化をテーマにした観光やコンベンションに多くの方々が訪れています。

2 食文化に関する歴史と資源

(1)多様性に満ちた自然の恵み

 米はアジアにおける食文化に欠かせないものです。日本の米であるコシヒカリは、世界でも有数のプレミアムライスと認められており、中でも新潟のコシヒカリは量・質ともにトップレベルです。

 新潟の食文化の背景には、豊かな自然環境と歴史的な特性があります。新潟は広大な平野の河口部に築かれたまちで、目の前には日本海が広がり、まちの中を二つの大河が流れ、遠くに日本列島の背骨となる山脈が連なっています。こうして新潟には、米を中心に農産物、水産物、畜産物といった豊かな恵みが多様な地形により供給されています。

 さらに、新潟の四季は雪融けの芽吹く春、濃緑の夏、紅葉の秋、白雪の冬と、くっきりとした変化が特徴です。この変化も自然の恵みを多様で豊かなものにしています。

(2)多様な文化交流舞台としての港町

 新潟市は17世紀頃(江戸時代)から港町として発展してきました。新潟市を囲む新潟平野は日本で最大の米の生産地であったことから、江戸、大坂に米を運ぶ航路の拠点でした。このような交易を通じて、他地域から様々な文化が入り込み、新潟の創造性を刺激しました。また、外来の人々をもてなす料亭料理の文化も発達しました。

(3)水と土との闘い

 かつて、土地の豊穣をもたらす二つの大河はたびたび荒れ狂い広大な湿原を作りだし、農民は湿原の中で、腰までつかる米作りの過酷な農作業を強いられていました。このため新潟は、不屈の精神と創造性を発揮しながら、世界レベルの排水技術により、泥田を日本有数の美田へと変貌させるとともに、米の品種改良を進めてきました。また、このような農業技術は海外へも伝えられ、食糧の生産に貢献しています。

(4)新潟の豊かな食材と伝統的料理

 新潟では、米を中心に地元の素材を活かした様々な料理や日本酒、米菓をはじめ多様な食品が開発され、農村での郷土料理や都市部での 料亭料理が発展してきました。中でも、その郷土料理の多彩な展開が新潟の食文化の魅力です。

 また、19世紀頃の新潟の料亭料理は、鮭と地元の食材をふんだんに使った料理であり、二の膳が付く形態でした。現在も、鮭をはじめとする四季折々の豊富な食材と伝統の技を用いて、訪れる人を楽しませています。さらに、新潟の食文化において飲食店の果たしている役割は大きく、日常において専門的な料理とコミュニケーションを提供する場となっています。

 新潟市には300年以上の歴史を持つ料亭や身近に獲れる豊かで多様な海産物を活かした寿司屋など、多様な飲食産業が集積しています。特に、地元の食材を伝統の調理法と板前の技で磨き上げた料理を提供する料亭では、住み込みでの修業を通じて料理人を育成しています。また、各料亭で修業をした料理人の親睦団体などの料理人のコミュニティがあり、情報交換や郷土料理の普及啓発など、活気溢れた活動を展開しています。

(5)新潟の食関連産業

 新潟の食関連産業は、酒づくりや米菓、米粉を使用したパスタ・スイーツ、医療・健康食品といった多様な食品開発への活用など、創造的な発展を遂げてきました。

 米を素材とする日本酒製造業は「食文化創造都市にいがた」を代表する産業です。「淡麗辛口」の特徴を持つ新潟産の日本酒の60パーセント以上が特定名称酒と言われる高品質なもの(全国平均は約30パーセント)であり、特定名称酒の出荷量と県民1人当たりの日本酒消費量は都道府県別で全国第1位です。公立では国内で唯一の日本酒専門の試験場があり、酒造場の指導や酒造技能者の育成など、新潟の酒造業の振興に貢献しています。

 また、新潟市には古くから味噌、醤油、納豆、漬物など、発酵食品関係の工場や蔵、店舗が数多くあります。さらに、米菓、切餅・包装餅の出荷額は都道府県別で全国ランキング1位であり、日本を代表する企業が新潟に集積しています。

 産業・技術発展の中でもこれらの日本酒や発酵食は、日本の伝統的な食習慣や調理法を持つとともに、地元で培われてきたノウハウを活かした産業です。

 新潟の食文化は自然環境の保全を前提にして成り立っています。新潟市では「環境保全」と「地元生産・地元消費」を柱にした持続的な取り組みを展開しています。

 新潟市は2006年に「新潟市農業構想」を策定し、その中で環境保全型農業の推進を明記して、化学肥料や農薬などの使用量を減らす取り組みを開始しました。

 その他、新潟では市民が参加する伝統的な食品市場が活発です。17世紀から続き「市民の台所」とも呼ばれる都心の本町市場をはじめ、毎日開かれる市場が多いです。

(6)新潟のおもてなし文化

 港町として発展してきた新潟は、格式の高い芸妓の舞とともに料亭などで来訪者を優しくもてなし、人々を魅了してきました。料亭は料理を提供するだけでなく、器や芸妓の舞、庭園といった日本文化の集大成といえます。新潟市内では300年以上の歴史を持つ料亭をはじめ多くの料亭で日本文化を楽しむことができます。

3 主な取り組み

(1)食に関するイベント

  • にいがた食の陣(主催:食の陣実行委員会)

 1992年から始まった市内最大の食のフェスティバルで、4カ月の間、料亭や寿司店で安心した料金で料理を楽しむことができます。特に2月の当日座では古町をはじめとした市内中心部が多数の屋台と人々で埋め尽くされます。2015年は、国内外から24万人以上が来場しました

  • にいがた酒の陣(主催:新潟淡麗にいがた酒の陣実行委員会(新潟県酒造組合・新潟県酒造協同組合))

 2004年から始まった日本酒のフェスティバルで、新潟県内の約90の酒蔵が500種類の日本酒を展示、販売します。2015年は国内外から2日間で約12万人の参加があり、参加者は、各酒蔵から話を聞き、酒を新潟の食とともに楽しみます。

(2)食育・教育ファームの推進

  • 食育・花育センター

 来場者が様々な体験や学習を通じて食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践できる場です。地元産品を使用した料理教室や農業体験講座、映像を活用した料理体験ゲームや食事バランスチェックなど、楽しみながら食を学ぶことができます。 ここを中心に様々な食育を推進しています。

  • アグリパーク

 宿泊施設を完備する日本初の公立教育ファームとして農業を学ぶ場を提供するとともに、農業の6次産業化を支援し、次世代の農業の担い手を育成する機能を有する施設として、2014年6月にオープンしました。

  • アグリ・スタディ・プログラム

 新潟市は、学校教育のカリキュラムと連動させた食と農業への理解を深める体験学習プログラム「アグリ・スタディ・プログラム」を独自に開発しました。市内の全小学校が取り組んでおり、生産現場や宿泊施設を完備するアグリパークなどで実施しています。

(3)国際交流

●食の新潟国際賞
 「食と生命」を基本テーマに、人々の生命を救い、暮らしを向上させ、尊厳の回復に大きく寄与した食の分野の業績を讃える国内初の食の顕彰事業「食の新潟国際賞」を通じて途上国に貢献しています。

食の新潟国際賞の詳細や過去の受賞者などをご確認いただけます。

●食文化都市ミーティング(平成27年5月25日開催)
 金沢市でのユネスコ創造都市ネットワーク総会の開催に合わせ、同制度の食文化認定都市を迎えて、各都市の取組みの紹介、各都市が連携した事業展開の可能性について討議しました。
 また、市長による新潟市の食文化に関するプレゼンテーションを行ったほか、各都市へ歓迎の意を表し、新潟市・鶴岡市・金沢市の郷土料理と地酒を振る舞う交流事業を実施しました。

●食文化創造都市にいがたシンポジウム(平成27年2月14日開催)
 新潟市が2015年の東アジア文化都市開催地に選定されたことを受け、日中韓の食文化をテーマに理解と交流を深めることを目的に開催しました。
 海外から2015年の東アジア文化都市である中国・青島市、韓国・清州市が参加しました。また、ユネスコ創造都市ネットワーク(食文化分野)加盟都市である中国・成都市、韓国・全州市、コロンビア・ポパヤン市(特別参加)が参加しました。
 新潟市食と花の総合アドバイザーであり、料理研究家の服部幸應氏による基調講演、海外都市の代表者を交えたパネルディスカッション、各国の食が振る舞われるディナーパーティーの3部構成で実施されました。

●食文化創造都市国際シンポジウム(平成24年10月16日開催)
 フードフォーカスinにいがた2012のコンパスセッション第1部として、「ガストロノミーによる持続可能な創造的まちづくり」と題したシンポジウムを開催しました。
 創造都市に造詣の深い大阪市立大学大学院創造都市研究科教授(現同志社大学経済学部特別客員教授)の佐々木雅幸氏をコーディネーターに迎え、ユネスコ創造都市ネットワーク(食文化分野)認定都市のコロンビア・ポパヤン市、韓国・全州市、候補都市(現認定都市)の山形県・鶴岡市より関係者をお招きし、先進的な取り組みの発表とパネルディスカッションを行いました。

(4)機能性食品の開発

 新潟大学などの研究機関や食品加工業者との連携による機能性食品の開発(糖尿病や腎臓病患者向けの米の開発など)や小麦アレルギーを持つ人に有効な米粉の開発を行っています。災害時においても、食べやすさやおいしさ、栄養に配慮した食を年代や健康状態にあわせて提供できる食品の開発を行っています。

(5)新潟市食文化創造都市推進会議


推進会議ロゴマーク

 新潟の食文化をさらに磨き上げ、交流や地域産業の発展を図り、市民、企業、団体が連携して取り組む活動を促進することを目的に、2014年に「新潟市食文化創造都市推進会議」が設立されました。

 推進会議の紹介や取り組みについてご確認いただけます。

4 関連リンク

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