国指定名勝 旧齋藤氏別邸庭園

最終更新日:2019年4月22日

平成27年3月10日、官報告示されました。

所在地など

所在地

〒951-8104
新潟市中央区西大畑町576番地

所有者

新潟市 (中央区役所地域課)

連絡先

電話:025-210-8350
FAX:025-210-8360

休館日・入館料等

旧齋藤氏別邸庭園について

立地と来歴

 旧齋藤氏別邸庭園は、日本海に沿って発達した新潟砂丘の東南部に当たる新潟市中央区西大畑町にあります。

 江戸時代、この一帯には飛砂防止のために植えられたマツ林が広がっていましたが、明治時代には料理屋(堀田楼・島清館)、医院と移り変わりました。

 銀行家の4代齋藤喜十郎(庫吉、1864~1941)がこの地に別荘を造営したのは、大正6(1917)年から同9年にかけてのことです。

 齋藤家は江戸時代、新潟町で清酒問屋を営んでいましたが、幕末維新期に北前船経営に乗り出します。その後、海運業・銀行業・化学工業を中心に事業を展開して、新潟の三大財閥の一つに数えられました。また、4代喜十郎は衆議院議員・貴族院議員を歴任しています。

 開放的な和風建築を中心に砂丘地形を利用した独特の意匠・構成による庭園の築造には、東京根岸の庭師で、飛鳥山の渋沢栄一邸の庭園をも手掛けた第2代松本幾次郎(1858~1936)と弟の松本亀吉(1877~1925)が関わりました。

 その後、この別邸は敗戦後の進駐軍(連合国軍)による接収を経て、昭和28(1953)年に建設会社(株式会社加賀田組)の社長であった2代加賀田勘一郎(1900~1978)の手に渡りました。彼は、新潟市議会議員・同議長を歴任するとともに、囲碁や骨董収集をたしなむ文化人でもあり、新潟県文化財保護連盟会長を長年務めた人物でした。

 この別邸は50年余りの間、加賀田家の自邸として利用されましたが、平成17(2005)年にその手を離れます。これを契機とする市民有志の保存運動を経て、同21年に新潟市がこの別邸を公有化しました。そして、今後の公開活用についての検討とそれに必要な整備(建物の耐震補強等)を経て、平成24年に新潟市は文化観光交流施設「新潟市旧齋藤家別邸」として公開を開始し、活用を進めています。

庭園の構成

 庭園は、門から玄関にかけての格式高い玄関庭、敷地南西の井筒を中心とした中庭、池泉を中心とする広大な主庭の三つが建物を中心に配置され、園路で結ばれています。また、砂丘の頂部である高台には茶室「松鼓庵」を中心とする茶庭が設けられています。
 主庭は回遊式庭園で、高低差のある斜面を利用した総高約3.8メートルの石組み大滝(池の中にあるポンプから水をくみ上げています)から流れる水は、敷地中央にある池泉に注いでいます。その石組みの多くは、阿賀野川上流で採取されたという海老ヶ折石です。また、主屋縁先のつくばいには佐渡赤玉石を据え、飛び石に佐渡金銀山で使用された石臼を使うなど、地域に固有の石材を多く用いています。
 植栽は自然主義的で、砂防林のマツをはじめとする常緑樹が7割以上を占めます。茶庭には根が露出した「根上がり松」が見られます。落葉樹の6割はモミジ類で晩秋の紅葉が印象的です。
 市街地にありながら、山間の深い渓谷の風致を醸し出しており、全体として優れた意匠・構成となっています。

評価

 旧齋藤氏別邸庭園は、所有者が移り変わりながら現在に至っています。しかし、それぞれの時代の所有者が手を入れながら、庭園としての景観・機能が続いてきました。そういった連続性と重層性とを現地でたどることができます。
 また、明治時代中期から確立される自然主義の庭園様式が、大正時代には新潟に波及していたことを確認できます。
 その上、東京を中心に活躍しながら、代表作がほとんど現存していない2代松本幾次郎と松本亀吉が関わった作品がほぼ完全な形で残っています。
 さらに、植栽や庭石などには新潟の地域性が色濃く発揮されています。
 以上のような価値を有する旧齋藤氏別邸庭園は、大正時代における港町・商都新潟の繁栄ぶりを物語っており、造園文化の発展に寄与しているものと評価されています。

報告書等

名勝 旧齋藤氏別邸庭園整備基本計画(平成31年3月、発行:新潟市教育委員会〔新潟市文化スポーツ部 歴史文化課〕)

平成29年3月に策定した「旧齋藤氏別邸庭園保存活用計画」を踏まえ、その内容をさらに具体化するために、整備活用事業の内容及びその実現の方法、課題等について詳しく示した計画書

名勝 旧齋藤氏別邸庭園保存活用計画(平成29年3月、発行:新潟市教育委員会〔新潟市文化スポーツ部 歴史文化課〕)

平成28年度に新潟市が学識経験者らからなる検討委員会の検討を踏まえ、現状と課題を見直すとともに、活用と建造物に関する内容を追加して再策定した計画書

旧齋藤氏別邸庭園保存管理・整備基本計画報告書(平成25年3月、編集:東京農業大学国際日本庭園研究センター)

平成24年度に新潟市が東京農業大学に委託した庭園の保存管理と整備に関する技術的研究の成果と学識経験者の意見を踏まえて策定した保存管理・整備基本計画の報告書

旧齋藤家別邸庭園調査報告書(平成24年3月、編集:東京農業大学国際日本庭園研究センター)

平成23年度に新潟市が東京農業大学に委託した庭園の保全に関する調査研究の報告書

旧齋藤家別邸整備活用計画(平成23年3月、旧齋藤家別邸活用等検討委員会)

平成21・22年度に学識経験者・市民代表・公募委員からなる検討委員会で検討した、今後の公開活用とそれに必要な整備についての計画の報告書

関連リンク

PDF形式のファイルを開くには、Adobe Acrobat Reader が必要です。
お持ちでない方は、Adobe社から無償でダウンロードできます。
Get Adobe Acrobat Reader DC

このページの作成担当

文化スポーツ部 歴史文化課

〒951-8554 新潟市中央区古町通7番町1010番地(古町ルフル5階)
文化財、歴史文化施設に関すること 電話:025-226-2575 FAX:025-226-0013
史跡、埋蔵文化財に関すること 電話:025-226-2580 FAX:025-226-0013
歴史資料、市史に関すること 電話:025-278-3260 FAX:025-278-3328
新津鉄道資料館に関すること 電話:0250-24-5700 FAX:0250-25-7808

このページの作成担当にメールを送る

本文ここまで

サブナビゲーションここから

注目情報

    サブナビゲーションここまで