市報にいがた 令和8年9月6日 2870号 1面から3面

最終更新日:2026年9月6日

生誕120年 新潟が生んだ文豪 坂口安吾

生誕120年 新潟が生んだ文豪 坂口安吾 撮影:林忠彦

 今号は新潟市出身の作家「坂口安吾」と、その生誕120年を記念した関連イベントを紹介します。

問い合わせ 文化政策課(電話:025-226-2624)

市長より

新潟市長 中原八一

 今年、生誕120年を迎える坂口安吾は、新潟が誇る作家の一人です。自由な発想と鋭い洞察で人間や社会を見つめ、多くの作品を世に送り出しました。その言葉は時代を超えて、今なお、多くの人に新たな気づきや学びを与えています。

 安吾が生まれ育った新潟は、その感性や創作の原点となった大切な場所です。作品に込められた思いに触れることで、まちの文化や歴史、魅力を改めて感じていただければと思います。

 今号では、安吾の人物像やおすすめの作品、生誕120年関連イベントなどをご紹介します。この機会に、坂口安吾の世界に親しみ、本を手に取っていただければ幸いです。

 新潟市では、これからも地域の文化や歴史を大切に守り、その魅力を次の世代へつないでいけるよう取り組んでまいります。

新潟市長

中原八一

坂口 安吾って何者!?

坂口 安吾

新潟が生んだ作家・坂口安吾

 坂口安吾は1906年(明治39年)、新潟市西大畑町に生まれました。政治家の父の下に生まれ、元気で快活な少年でした。上京後は東洋大学で哲学や倫理学などを学び、1931年(昭和6年)に作家としてデビュー。その後、純文学や推理小説、歴史小説、随筆、評論、紀行文など多彩な作品を発表し、戦後の日本文学を代表する作家の一人となりました。幼い頃に過ごした新潟での風景や人々との出会いは、後の作品にも影響を与えたといわれています。

「人間の内面」を描き続けた

 安吾の作品は、人の弱さや強さ、ありのままの姿を見つめているのが特徴です。戦後に発表した「堕落論」では、戦争を経て価値観が大きく変わる世の中で人間の本質を見つめて大きな反響を呼びました。他にも、「白痴(はくち)」、「桜の森の満開の下」、「日本文化私観」など、時代を超えて人間とは何か、生きるとは何かを問いかける文学として、今も多くの読者を魅了し続けています。

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安吾ゆかりの地

市内のゆかりの地や石碑などをマップで紹介

寄居浜安吾碑(中央区西船見町)
寄居浜安吾碑(中央区西船見町)

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家族が知る「坂口 安吾」

坂口 綱男さん
長男 坂口 綱男さん

家庭での安吾

 父は私が2歳の時に亡くなったので、生前の記憶はほとんどありませんが、とても愛情を注いでくれたそうです。母をはじめ、父の友人や担当編集者から父のことをよく聞かされて育ちました。性格は非常にシャイで、注意深い人だったと聞いています。
 新聞などで派手な逸話が取り上げられることもあり、誤解されることも多いのですが、それはあくまで一面を取り上げているにすぎません。母も「文学の内容が真っ当なのだから変な人であるはずがない」と言っていました。

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凝り性な一面も

 さまざまなジャンルの作品を残しているので、あれもこれもというように見えますが、一つのジャンルを書き始めると納得するまで書き続け、たくさん書いたら、次に興味が向いたジャンル、というように探求心が強く、凝(こ)り性だったようです。

ふるさとを思う

 10代で新潟を離れてからも、新潟を舞台にしたものや、新潟での思い出を描いた作品を残したり、「ふるさと」という言葉を作中で何度も使ったりしています。新潟のことは自分のルーツとしてずっと心にあったのだと思います。

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綱男さんを抱く安吾と三千代夫人
綱男さんを抱く安吾と三千代夫人

初めての人に薦めたい作品3選

 評論、小説、幻想文学など幅広い作品を残しました。まずは、安吾らしさを感じられる3作品から読んでみませんか。

堕落論

戦後の混乱の中で、「人間らしく生きるとは何か」を問いかけた代表的な評論。発表から80年近くたった今も、多くの読者に読み継がれています。

白痴

戦争で荒れ果てた東京を舞台に、人間の弱さや愛情を描いた短編小説。安吾の小説の代表作として高く評価されています。

桜の森の満開の下

満開の桜が生み出す美しさと恐ろしさを描いた幻想小説。不気味で幻想的な世界観は、安吾の異なる魅力を味わえる一作です。

色々な作品があるので、タイトルから選ぶのも良し

コラム 本名は「炳五」!?

 実は安吾の本名は「坂口炳五(へいご)」です。暦の丙午(ひのえうま)の年に生まれた、坂口家の五男だったことから名付けられました。「炳」には「明るく輝く」という意味があります。新潟中学時代、先生に「己に暗いからアンゴと名乗れ」と言われ、「暗吾」と黒板に書かれました。以来、周りから「アンゴ」と呼ばれるようになり、自らも気に入り、「安護」→「安吾」と名乗るようになりました。

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市内図書館でも安吾作品を紹介

安吾の作品や関連本を紹介するコーナー

 現在、生誕120年にちなんで市内の図書館に安吾の作品や関連本を紹介するコーナーが設置されています。 ※期間は施設により異なる

場所 中央図書館、新津図書館、石山図書館、東区プラザ図書室、月潟図書館、生涯学習センター図書館、内野図書館、坂井輪図書館、岩室図書館、潟東図書館

生誕120年 関連イベントに行こう

 市内外を問わず、今年度は関連イベントが各地で開催されています。※そのほかのイベントなど、詳しくは坂口安吾生誕祭120特設サイトに掲載

Pick Up 11月3日(祝日)まで 初公開「信長」自筆原稿

安吾の最高傑作と評する人も多い作品「信長」の貴重な自筆原稿のほか、構想メモや関連資料を展示するなど、創作の軌跡や作品の魅力を紹介

時間 午前10時から午後8時 ※日曜・祝日は午後5時まで
場所 ほんぽーと中央図書館(中央区明石2)
料金 無料

「信長」の自筆原稿
「信長」の自筆原稿

Pick Up 10月16日(金曜)から20日(火曜) 企画展「処方箋文庫®」

安吾はもちろん、安吾や新潟にゆかりのある作品を“診療”に見立て、あなたの心の状態に合わせた“よみぐすり”として処方する新たな読書体験

時間 午前9時半から午後7時半
※19日・20日は午後5時半まで
場所 りゅーとぴあ(中央区一番堀通町)
料金 入場無料

Curation&Design:Tsuguko Kawasaki
Curation&Design:Tsuguko Kawasaki

Pick Up 10月18日(日曜) 環日本海・坂口安吾国際シンポジウム

記念講演と中国、ロシア、韓国などの安吾研究者による発表とパネルディスカッション

時間 午後1時から午後4時半
場所 りゅーとぴあ(中央区一番堀通町)
出演 藤沢周(作家)、斎藤真理子(翻訳家・作家)、ほか
定員 先着200人
料金 無料
申し込み 9月23日(祝日)から坂口安吾デジタルミュージアムで申し込み

藤沢 周さん
藤沢 周さん

斎藤 真理子さん
斎藤 真理子さん
撮影:増永彩子

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