市報にいがた 令和7年7月20日 2843号 1面・2面
最終更新日:2025年7月20日
「おいしさDX」で広がる にいがたの“食”の未来
- 目標 9:産業と技術革新の基盤をつくろう
- 目標 17:パートナーシップで目標を達成しよう
今号は、産学官で連携してテクノロジーを活用し、新潟市の“食”の新しい価値や可能性を生み出す取り組みを紹介します。
問い合わせ 都市政策部(電話:025-226-2716)
企業×大学×行政で「おいしさ」の未来を変える
新潟市の“食”の強み
- 食料品製造業は市の基幹産業
製造品出荷額のうち、食料品製造業が24.7パーセントを占める(下図) - 食料品製造事業所数は国内最高レベル
人口当たりの食品製造事業所数が政令指定都市で第2位 - 食分野の研究に強い新潟大学が立地
研究者数と実績の両面で全国トップレベル - 全国有数の企業誘致数でIT企業も集積
令和3年度から延べ52社を市内に誘致
製造品出荷額などの産業分類別内訳
「おいしさDX」ってなんのこと?
「おいしさDX」は、企業(IT企業の株式会社メビウスや食関連企業)、大学(新潟大学)、行政(新潟市)の三者が連携して取り組む、地域の食に新たな価値を生み出すプロジェクトです。
味・香り・食感など、これまで個人の感覚だったものを、食とテクノロジーの融合によって「見える化」し、食品開発や観光、地域のブランドづくりに生かします。
DXとは
デジタル技術の導入により、新たな価値やサービスを提供すること
枝豆で実証実験 味の特性分析サービス
食品の味覚を数値化する同サービスで、枝豆の「塩ゆで」と「焼き」の調理方法で生じる違いを分析したところ、「焼き」の方が、旨味やコクが強いことが分かりました。(下表)
実証実験として、市内の飲食店でメニュー表に分析データを挟み、注文への影響を調査したところ、売り上げが2倍になり、半数の人が再注文したいと思ったことが分かりました。
表. 味覚センサーによる味推定値
Q. 焼き枝豆を知っていたか?
事業責任者に聞きました
産学官一体で新潟の“食”を盛り上げたい
株式会社メビウス 林 雅人(まさと)さん
「おいしさ DX」の取り組みには、これまでの産学官連携事業の実績を評価され、事業責任者として参画しています。私自身、進学や就職で新潟を離れた時に、改めて新潟の“食”の質の高さを再認識した一方で、県外の方にはお米とお酒以外の魅力が十分に伝わっていないことも実感しました。
この取り組みで、弊社が持つシステム開発やAIの技術力を活かして、“おいしさの見える化”による付加価値の向上や企業の商品開発を支援し、“食”を通じたまちづくりに貢献したいです。大阪・関西万博でも、 「おいしさ DX」を紹介し、先進的な取り組みとして国内外の方々から興味を持っていただきました。今後は、より多くの方に事業にご参加いただき、産学官一体となって新潟の“食”を盛り上げていけるよう挑戦を続けていきます。
大阪・関西万博の様子
実験に協力した企業に聞きました
おいしさを知ってもらうきっかけに
株式会社弁慶 代表取締役 小崎(こざき) 和彦さん
枝豆はゆでるものというイメージがありましたが、焼き枝豆を食べると香ばしさや旨味が感じられておいしかったです。お客様からの反響も大きく、焼き枝豆が新しい食べ方として定着すると面白いと思います。今まで感覚でしか分からなかったことが、データによって視覚的に分かりやすく伝えられるので、食べてみるきっかけになるのだと思います。弊社は魚が得意分野なので、今後、他の食材の分析が進み、魚のおいしさがデータでも明らかになることを楽しみにしています。
参加企業を募集
「おいしさDX共創コミュニティ」に参加する企業を募集しています。おいしさDXホームページから問い合わせてください。
対象 食に関連する事業に取り組む企業
参加のメリット
- 最新の事例や研究成果などの情報が得られる
- 食関連企業とのつながりが生まれる
- 自社製品の開発や分析をサポートしてもらえる(一部有料)