市報にいがた 令和5年1月15日 2783号 1面から2面

最終更新日:2023年1月15日

住み慣れた場所で安心して暮らす

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  • 目標 8:働きがいも 経済成長も
  • 目標 10:人や国の不平等をなくそう

住み慣れた場所で安心して暮らす

 医療や介護が必要になったとき、住み慣れた自宅で暮らし続けるための選択肢があります。
 今号では「在宅療養」や、それを支える訪問看護師について紹介します。

問い合わせ 地域医療推進課(電話:025-212-8018)

訪問診療で在宅療養を支える医師に話を聞きました。

山の下クリニック院長 阿部 行宏さん
山の下クリニック(東区)院長
阿部 行宏(みちひろ)さん

入院だけではない療養場所

 療養が必要になったときは、入院のほか、自宅や施設で療養する選択肢があります。治療や処置などの内容によっては入院が必要な場合もありますが、超高齢社会の進展や現在のコロナ禍(か)で、自宅での療養を希望する人が増えています。
 入院生活では食事や消灯などの時間が決められており、病気を治すことに主眼が置かれます。一方、在宅療養は、住み慣れた家で家族やペットと共に、自分自身の生活を大切にしながら現在の状態を維持することが主な目的となります。
 自宅で療養を始めたら笑顔が増えた、最期を迎えるために家に帰ってきたら元気になったという例も珍しくありません。

在宅療養を支えるために

 在宅療養では、医療面で医師や訪問看護師、生活面でホームヘルパーなど、さまざまな専門職の人が関わります(下図)。特に、訪問看護師は医療従事者として日常的に患者と接するため、在宅療養をする上で、なくてはならない存在です。
 在宅療養で大切にするのは、「本人がどのような療養を望むか」ということです。医療・生活それぞれの視点から、患者さん一人一人の希望に合わせた支援体制が作られます。

在宅療養のモデル例

いざというときのために

 誰しも、いつ病気などで療養が必要になるか分かりません。自分はどこで療養をしたいのか、どのように過ごしたいのか、どのような医療や処置を受けたいのかなどを事前に考えておくことが大切です。また、それを家族と共有しておくことで、実際に療養が必要になったときにスムーズに療養を始めることができます。自分の病歴や生活背景などを理解しているかかりつけ医をつくっておくことも大切です。
 療養にはさまざまな選択肢があることを知ってもらいたいです。そして、自分に合った療養で、人生の大切な時間を過ごしてほしいと思います。

納得のいく療養生活

市内在住の訪問看護利用者に、在宅療養について聞きました。

家で一緒に過ごしたい

 現在1歳4カ月の次男は、出産時のトラブルによる脳性まひで、生まれてからずっと入院していました。退院後は施設に入所する選択肢もあったのですが、家で一緒に過ごしたいという思いが強かったので、自宅での療養を選びました。次男を迎えるための準備をし、本人の状態が安定してきた昨年10月、初めて家へ帰ってくることができました。
 病院では医師がいて安心でしたが、次男と会える時間は限られていました。一方、在宅療養では常に家族で一緒に過ごすことができ、自分のペースで世話をしています。在宅療養になって初めて弟に会った長男は、最初戸惑っていましたが、今ではすっかりなじんでいます。

訪問看護師と一緒に次男の体を拭く様子
訪問看護師と一緒に次男の体を拭く様子

心安らぐ看護師さんとの時間

 在宅療養を始める前は、多くの不安がありました。栄養をポンプで流し、たんの吸引を頻繁に行うなど、常に看護が必要な状態で、人工呼吸器や酸素のモニターなどの専門機器も扱わなければなりません。
 小児の訪問診療もなく困っていた中、訪問看護ステーションの看護師さんに来てもらえることになりました。週6回、次男の健康状態をチェックしてもらったり、体を拭いてもらったりするほか、さまざまな相談に乗ってもらい、時には子どものこと以外の話もしています。今でも不安はありますが、話を聞いてもらうことで本当に心が安らぎます。看護師さんに来てもらっている間に、買い物や長男の学校行事で外出ができるので、とても助かっています。

これからも一緒に

 先日、看護師さんの協力で自宅に帰ってきてから初めて次男をお風呂に入れることができ、とてもうれしかったです。家族で過ごす生活は、とても大切で大事な時間です。
 次男は常に人工呼吸器などが必要なので移動するのは大変ですが、暖かくなったら、少しずつ外出の練習もしていきたいです。

訪問看護師に聞きました

訪問看護ステーションよいとこ 花水 遥さん
訪問看護ステーションよいとこ
花水 遥(はなみず はるか)さん

訪問看護師になったきっかけは?

 以前病院に勤めていた時、本当は家へ帰りたいけどさまざまな理由で入院している方を見て、自宅などでできる看護について興味を持ちました。また、夜勤のあるシフトで定年まで働けるのか考えていたこともあり、知り合いの看護師に誘われて現在の勤務先に転職しました。

訪問看護と病院での看護の違いは?

 病院では、1日に多くの患者さんに対して看護をしますが、一人一人に接する時間は限られてしまいます。訪問看護では、利用者さん1人にじっくりと向き合い、ご本人やご家族のルールや価値観に合わせて看護を提供することができます。

訪問看護のやりがいは?

 同じ処置をするにしても、利用者さんやご家族の生活を見て、「この利用者さんにはどのような方法で処置をしたらよいか」と個別に考えることができます。訪問先との関係も徐々に深まり、感謝の言葉をもらったときの喜びはひとしおです。

訪問看護を利用してみたいと思っている方にひと言

 訪問看護は医師の指示があれば誰でも利用することができます。人生100年時代の今、住み慣れた家での自分らしい療養を、1つの選択肢として考えてみませんか。

訪問看護の様子を動画で紹介

 2月から動画配信サイト「YouTube(ユーチューブ)」で公開予定です。
※詳しくは新潟市ホームページに掲載

在宅医療市民フォーラム

 新潟市の在宅療養や訪問看護の現状などを、医療現場で活躍している医療・介護の専門職などが分かりやすく説明します。
 在宅療養について一緒に考えてみませんか。

日時 3月12日(日曜)午前10時から午前11時半
会場 市民プラザ(NEXT21・6階)
定員 先着150人
参加費 無料
申し込み 2月1日(水曜)から電話で市役所コールセンター(電話:025-243-4894)、または新潟市ホームページで申し込み

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