(5-21)公共施設における喫煙所の在り方

最終更新日:2024年1月15日

(5-21)公共施設における喫煙所の在り方

令和5年8月28日苦情申立書受理

申立ての趣旨

公共施設における喫煙所の在り方

申立ての理由(要約)

A区内に所在する「B館」では、以前、施設の建物内にあった喫煙所を屋外(敷地内駐車場の一画)に移設させた経緯がある。
喫煙所を移設した理由について、8月〇日に当施設を訪れた際、職員に問い合わせたが、2020年に施行された健康増進法に基づいて対処した結果とのことであった。
健康増進法における受動喫煙防止の項目は、施設管理者に課せられる努力義務と位置づけされているものである。努力義務とは守るべきものという程度のことであり、他者(喫煙者)の自由を強制するほどの権限は与えられていない。
このように、職員が誤った法律の解釈をすることにより、当施設では喫煙所が移設されるという、自身の喫煙の権利を含め、人権を無視、軽視した対応に納得がいかない。

所管部署

A区産業担当課(以下「所管課」という。)

調査の結果

令和6年1月12日決定
所管課の対応に非があるとは認められない。

調査結果の理由

当審査会では、所管課から資料を提出してもらうとともに、申立人及び所管課から聞き取りを行いました。
その結果、本件に関する事実経過等として以下のような事項が認められました。
1.「B館」(以下「本件施設」という。)は所管課が所管する施設であり、指定管理者制度が導入され、指定管理者が管理・運営している。
2.新潟市は、法により受動喫煙対策を総合的かつ効果的に推進するよう努める責務が課されている(健康増進法第25条)こと等を踏まえ、令和元年6月、市有施設等における受動喫煙対策の基本方針を制定した。同方針により、本件施設は「屋内喫煙禁止、屋外は受動喫煙が生じないよう配慮したうえで喫煙場所設置可」の施設となった。
3.本件施設では、従前、建物に付属する形で屋内喫煙所が設置されていたが、上記方針に従い、令和2年3月31日をもって屋内喫煙所は閉鎖され、その後、解体された。代わって受動喫煙が生じないよう配慮した屋外喫煙所(現行の喫煙所)が設置された。
4.従前、設置されていた屋内喫煙所の入り口(現在は館内から中庭への出口)には「喫煙は、玄関出て左側の駐輪場・喫煙スペースをご利用下さい」との案内文が掲示されている。
5.申立人は、令和5年8月〇日、本件施設を訪問・利用し、従前、屋内喫煙所が設置されていた場所(現在は中庭の一部)で喫煙した。申立人が中庭で喫煙しているのを目にした本件施設の職員は、申立人に対して所定場所で喫煙するようにとの趣旨を申し向けたところ、申立人は屋外で喫煙するのは自由ではないのかとの趣旨を主張する等して口論となった。
他方、申立人が主張する喫煙の権利(喫煙の自由)については次のとおり思料されます。
1.煙草は違法薬物等のように法律で使用が禁じられているものではなく、したがって、一般論として個人に喫煙の自由が認められることに異論はないと考えます。
2.但し、喫煙に限らず、個人に認められた権利(自由)は無制限に認められるものではなく、他者の権利(自由)と対立する場合や、他者を害する危険性があるような場合に制約を受けることがあることについても異論はないと考えます。
3.この点、喫煙については、いわゆる副流煙によって受動喫煙者の健康を害する危険があること等が指摘されており、相応の制約を受けることは止むを得ないと考えます。健康増進法も、そのような観点から制定されており、また、新潟市の「市有施設等における受動喫煙対策の基本方針」も同様と思料されます。
そして、新潟市の「市有施設等における受動喫煙対策の基本方針」の内容は相当であり、特段、問題点が存するとは考えられません。よって、所管課が同基本方針にしたがって本件施設の屋内喫煙所を閉鎖するとともに、受動喫煙への配慮のもと、屋外の特定の場所に喫煙所を移設したことに問題はないと判断されます。
また、施設の秩序を維持するため、本件施設の職員が、指定した場所以外における喫煙を制限する旨の発言を行ったことについても問題がないと判断します。
しかしながら、申立人と本件施設の職員とのやり取りについては、詳しい状況は把握できないため、その発言内容や態度について良否を判断することはできません。
以上より、当審査会としては、所管課の対応に非があるとは言えないと考えます。
ところで、本件施設は、新潟市の「市有施設等における受動喫煙対策の基本方針」により「屋内喫煙禁止、屋外は受動喫煙が生じないよう配慮したうえで喫煙場所設置可」の施設に指定されているところ、これによれば、屋外であっても設置された喫煙場所以外は禁煙であると理解できます。そして、本件施設は、このことを踏まえて「喫煙は、玄関出て左側の駐輪場・喫煙スペースをご利用下さい」との案内文を掲示しているものと考えられます。
但し、同案内文は、喫煙スペースでの喫煙を推奨(要請)するものではあるものの、喫煙スペース以外の屋外での喫煙を禁止するものではないとの意味に受け取られる可能性があると思われます。申立人も、そのような理解をして中庭で喫煙したのではないかと推察されます。
所管課においては、喫煙に関する無用のトラブルを防止する意味で、より分かりやすい説明・案内等を工夫されることを希望します。

このページの作成担当

市民生活部 広聴相談課

〒951-8550 新潟市中央区学校町通1番町602番地1(市役所本館1階)
電話:025-226-2094 FAX:025-223-8775

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