第297号(令和元年8月18日) 1ページ
最終更新日:令和元年8月18日
特集 秋葉区とチューリップ~「花のまち」の歴史を知って、育てて楽しもう!~
今年はチューリップ球根生産が発祥してから100周年を迎える節目の年です。
昔から花き・花木園芸の一大産地として全国的に有名な小合地区は、日本で初めてチューリップの球根の商業栽培に成功した歴史のある地域です。
今号では、奥が深い秋葉区のチューリップの歴史についてご紹介します。
問い合わせ 産業振興課(電話:0250-25-5340)
日本で初めてチューリップの球根栽培に成功した男
小田喜平太
(1878から1946)
新潟県では、明治37年(1904)に観賞用としてチューリップが育てられた記録が残っています。その後、大正8年(1919)に秋葉区(小合地区)で園芸種苗業を営んでいた小田喜平太によって日本で初めて商業用の大規模な球根栽培が始まりました。
この頃、チューリップの試作に取り組んでいた小田は、視察に訪れた中蒲原郡役所(現県庁)の農林技手であった小山重に将来有望な産業であると熱心な説得を受け、本格的なチューリップの栽培に乗り出します。小山は、小合地区がチューリップの栽培に適した気候風土であることや、市場価値が高いことを理由に、小合がチューリップの一大産地として成功することを確信していました。以降、2人は互いに協力し合って、精力的にチューリップの産業化に取り組んでいきます。
太田政弘県知事を迎えた小田氏のチューリップ畑。以降、歴代の新潟県知事が園芸視察に訪れるようになる。(大正12年4月撮影)
当初、チューリップはなじみが薄く「一時的な流行」と見る人も多かったため、生産の普及は難航しましたが、小田は生産技術を積極的に公開したり、専門家を招いた講演を開催し、次々と仲間を増やしていきました。
当時、チューリップ1反当たりの収入は、米の約20倍以上もありました。儲かる農産物となると、情報や技術を門外不出にし、独り占めしようとする場合も多かったそうですが、小田は「チューリップこそ地域の物産となり、繁栄を図る道である」と考え、地域を挙げたチューリップ生産に取り組んだのです。
こうした組織作りが安定した大規模生産の基盤となり、チューリップは県を代表する産業になるばかりか、国内で初となる「植物」の輸出産業としても成長を遂げました。
秋葉区とチューリップの「今」
秋葉区七日町にある「新潟県花卉球根農業協同組合集荷場」では、例年7月下旬から10月頃まで、県内で生産されたチューリップの球根を日本全国へ出荷しています。
チューリップ産業が広まった今でも、秋葉区は県内チューリップ市場の中心的な役割を担っているのです。
また、新潟県花き振興協議会球根部会は、チューリップの球根生産発祥から100周年を記念したイベントの開催も予定しています。
関連イベントの最新情報や、花に関する様々な情報をホームページで公開していますので、ぜひご覧下さい。
新潟県花き振興協議会ホームページ http://www.niigataflower.jp/
問い合わせ 新潟県花き振興協議会(電話:0250-43-7522)
新潟県花卉球根農業協同組合 集荷場の様子
県内各地から集まった球根
ひとつひとつ手作業で丁寧に梱包していま
チューリップを植えてみよう!
チューリップの秋植え球根は、8月末頃から市場に並び始めます。球根生産発祥から100周年を迎えたこの秋は、チューリップを植えて「花のまち 秋葉区」を支えた人々や歴史に思いをはせてみませんか。
きれいに花を咲かせるためのポイント
植えた後はたっぷり水を
あげてください!
◆球根1個分(約5センチ)以上の深さを目安に植えます球根の間隔は最低でも1センチ以上あけましょう
◆球根は秋のうちに根が出ます。肥料を混ぜて土づくりをしてから植えましょう。
◆球根は冬の間も成長します。植えた場所が乾かないように冬でも水やりをしましょう。
◆秋植え球根は寒さにあてることが重要です。植えた後は屋外に置きましょう。
県花卉球根農業協同組合の古谷さんに聞いてみました!
古谷 治郎さん(新潟県花卉球根農業協同組合)
Q.球根を選ぶコツやポイントは?
A.軽く握ってみて、しっかりと固く、重みのあるものが良い球根です。ぜひチェックしてみてください!
Q.人気の品種はありますか?
A.華やかな色の品種は人気があります。新潟産のオリジナルの品種ではピンク色が愛らしい「恋心」の人気が高いです。