市政運営3年間を振り返って

最終更新日:2022年2月22日

 令和2年2月29日に新型コロナウイルス感染症が本市で初めて確認されて以降、日々感染症対策を最優先に取り組んでおります。私はこれまで市民や市議会の皆さまとの対話を大切にし、市政にとって難しい課題であっても、避けることなく誠実かつ真剣に向き合い解決することを心がけてまいりました。市長就任から3年が経過し、私のこれまでの市政運営の取り組みを振り返り所感をまとめました。

 平成30年11月から市政運営をスタートさせ、まず取り組んだのが「行財政改革」です。市の貯金にあたる財政調整基金に頼った財政運営を行ってきたことで、基金の残高は大幅に減少していました。今後の財政運営が憂慮されたことから、持続可能な行財政運営へ転換するため、令和元年度から3年度までの集中改革プランを策定し、これまで行財政改革を着実に進めてきました。
 この計画は3年間で376事業を対象とし、効果額は58.1億円となりました。さらに5年間連続で基金に頼らない収支均衡した当初予算を組むことができています。また基金残高については、平成29年度の33億円から令和3年度末時点で約107億円まで積み増すことを見込んでおり、自然災害や緊急的な対応への備えができつつあります。
 そして、その改革の効果を活用し、企業誘致の推進や園芸産地の拡大、大きな転換期を迎える都心エリアのまちづくりなど市政の重要課題に取り組んできました。特に、これまで財源不足で実現できなかった「こども医療費助成の通院助成」を2回拡充させ、小学校6年生までだった助成対象を令和元年度に中学3年まで、令和3年4月からは高校3年生までとし、子育て世帯から「安心して子育てができる」と喜んでいただいています。

 新バスシステム・BRTについては、「大幅見直し」の公約に沿って、利用者アンケートや検証会議を開催するなど課題検証に着手し、その結果、直通便の増便や連節バスの追加購入凍結、専用走行路整備の見合わせなどの見直しを進めていました。しかし、その最中の令和2年2月末に新型コロナウイルス感染症の発生によって、それ以降バス利用者が大きく減り、バス事業者の経営が厳しくなったことで、それ以上バス問題の改善を進められる状況ではなくなってしまいました。
 新型コロナウイルス感染症の影響によって、令和2年9月に「大幅見直し」という私の公約を転換せざるを得なくなったのは極めて残念です。今後、新潟駅の駅直下バスターミナルの完成や「にいがた2km」の活性化で生み出す賑わい、駅中の商業施設の完成など、回遊性や利便性の向上による新たな人の流れやまちの変化を見据え、バス交通についても今後の新たな展開を考える必要があります。

 新型コロナウイルス感染症への対応については、令和2年2月29日の市内初の感染確認から現在の第6波まで、市役所をあげてコロナ対策に取り組んできました。速やかな濃厚接触者の特定や、全国に先駆け実施したドライブスルー方式のPCR検査、県と連携した医療体制の構築など、市民の命と健康を守る感染症対策を最優先に進めました。コロナ禍でダメージを受けた飲食業や観光業、宿泊業などに対し、迅速に対策を講じるため「新潟市経済社会再興本部」を設置し、これまで200を超える事業を実施してきています。

 ワクチン接種については、令和3年5月から接種を開始したものの、スタート時に接種枠を大きく超える予約申し込みが殺到し、電話がつながらなかったり、つながっても予約がとれないなど、市民の皆さまに大変ご不便とご迷惑をおかけしました。市役所として初めての対応だったとはいえ、高齢者の早期接種への期待や、個別医療機関の慎重な対応などを踏まえた情報共有や体制づくりが不十分だったことが要因でした。これを受け、接種を希望する方の割合を7割から9割へ上方修正し、集団接種枠の拡充を図るとともに、私自身も個別医療機関を回り改めて協力依頼を行ったほか、各区に「予約お手伝い隊」を配置するなど体制強化を行ったことで、その後の接種は順調に進みました。令和3年の秋以降、感染状況は比較的落ち着き、第5波までまん延防止等重点措置の対象地域にならずに済みました。これは、医療従事者の皆さまのご尽力に加え、市民、事業者の皆さまの感染症対策へのご協力や、9割近くの市民の皆さまからワクチンを接種いただけたこと、県との円滑な連携などが効果を発揮したと考えています。なお2回目のワクチン接種率は政令市の中でトップになりました。

 発生から2年以上続くコロナ禍によって、市民生活や経済活動などは閉塞感に包まれました。一方で、コロナ禍をきっかけとしてデジタル化の進展やテレワーク、在宅勤務など、これまでとは違った働き方や生活スタイルが定着してきています。こうした変化は首都圏などから地方への新たな流れを生み出すチャンスでもあります。
 このような状況を踏まえ、令和3年2月に私は、まちづくりのビジョン「選ばれる都市 新潟市」を取りまとめ公表しました。
 現在、都心エリアを中心に、まちづくりの大きな転換期を迎えています。新潟駅から万代、古町をつなぐ都心エリア「にいがた2km」を活性化するため、今後取り組むべき方向性を「にいがた2kmの覚醒」としてまとめました。具体的な一歩として、国から指定された都市再生緊急整備地域の制度活用により、老朽化したビルの建て替えを促進し「高度で災害に強いまちづくり」や、デジタル化に対応した「高機能オフィスの整備」などによって新たな企業の誘致を目指し取り組んでいます。

 令和4年度からは、オフィス整備に新たな市独自の支援制度を設けると同時に、デジタル技術の集積、産業のDX化などによる新事業の創出、高付加価値化を支援することで、IT事業者の進出など魅力ある雇用の場の創出を図り、若者の県外流出を抑え、新たな流入につなげていきたいと思っています。
 さらに、本市の強みである「食」と「農」を最大限活かし、都心エリアと市内8区の企業や人材を「事業ネットワーク」で結ぶことで、都心エリアで生まれた活力、成長エネルギーを市全域に波及させていきたいと考えています。

 一方、最重要課題である人口減少については、「進学や就職などで若い世代が県外へ流出すること」や「子どもの出生数が少ないこと」、「高齢化率が高くなっていること」が人口減少の要因だと考えられます。
 そこで若手職員からなる「人口減少対策チーム」を設置し、組織横断的に課題整理や施策立案に取り組み、これまで「男性の育児休業取得奨励金の増額」や「保育士宿舎借り上げ費用助成」などの事業化につなげてきました。
 人口減少問題には特効薬はなく、すぐに解決できない課題ではありますが、引き続き、安心して子どもを産み育てられる環境づくりや、若者に選ばれる魅力ある雇用の場の創出など、自然減と社会減に的確に対応したまちづくりを進めてまいります。

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