市長説明

最終更新日:2015年8月12日

 私から、BRT新バスシステムを今なぜスタートさせるのかについてお話しさせていただく。
 新潟はもともとマイカー依存率が非常に高い状況だったが、現在は70パーセントに近づいている。また、新潟市は県庁所在地の中でCO2排出量がワースト3に入っているので、もう少し鉄道、バスを利用してもらう必要があると思っている。ところが、バス利用者は、20年間で3分の1にまで減り、この10年間でも4割減っているという危機的な状況にある。路線も、便数が10年間で20パーセントにあたる31路線が廃止されている。営業路線が廃止されると、区バス・住民バスに頼る、あるいはバスの空白エリアになるところもある。この点について、早期に転換を図る必要があると思っている。利用者が減り、路線のサービスが維持困難になり、減便・廃止となり、サービスが低下してさらに利用者が減るという悪循環を早期に止める必要がある。
 新潟市は、県庁所在地の中でも公共交通が非常に脆弱で、もっとも心配なまちの一つである。そのうえ、65歳以上のお年寄りが増加しており、自動車を運転できなくなって免許証を返納するという事例が今後も増えていくと思われる。そのために、持続可能な公共交通、バス交通を構築していく必要がある。
 10年前は郊外路線の便数が多く、それがまちなかに入ってくるということで、まちなかはバスがひしめき合っていたという状況だった。今は、郊外線が減便・廃止されているにもかかわらず、まちなかの萬代橋では1日2,000台のバスが走っているという状況である。郊外線を増便してほしいというお話もいただいているが、全国的にバスの運転手が不足していることが大きな問題になっている。そのため、増便するには効率的なバスの運用が必要となる。新潟市の場合、2,000台走っていたまちなかのバスを700台ほど減らすのが今回の計画である。その減らしたエネルギーを郊外線の増便などに充てさせていただき、乗り換え・乗り継ぎをお認めいただければ、新潟交通は今後も持続可能なバス交通を頑張ると明言している。
 さらに、反復型意識調査で、新バスシステムのどこに不安やご懸念があるのかについて正確に把握することができたので、4つの大きな疑問に答えていく。
 最も多い声は、なぜ公共交通、バス交通を新潟市が支援するのか、その理由が分からないということである。今までは、道路を税金でつくることは日本の常識で、公共交通を自治体が支援することは、かなり限定的だった。
 しかし、最近は国も地方鉄道やバスに出資していかないと地方の公共交通は守れないと明確に打ち出している。富山市では、国の支援を受けてLRTの整備を行い、民間事業者が運行するという形の支援が始まっている。また、高知市では3社あったバス会社を1社にして、高知県や高知市などが10億円出資するという形で動いている。本市では、今の新潟交通の力やバスの利用者数からみるとここまでやる必要はないので、新潟市が国の力を借りて新潟交通がもっと仕事がしやすい環境をつくれば良いと思っている。
 二つ目の大きな疑問は、BRT新バスシステムを何のために導入するのか分からないという土台の部分である。これについては、悪循環を止め、サービスの低下に歯止めをかける、あるいは向上させていく、そして、利用者にバスに乗ってもらい、サービスをさらに向上させて利用者を増やすという好循環に変えていきたいというのが大きな方向である。
 ヨーロッパのまちでは、20万人、30万人のまちでもまちなかでお年寄りや子どもの姿が数多く見られる。新潟市も今ならこのようなまちに変えられる。将来もバス交通が使え、そしてお年寄りがそれぞれのまちなかで憩い語り合い、子どもたちの歓声も響いているというような新潟市を目指していく。
 三つ目の疑問は、BRT新バスシステムは本当に有効なのかというご意見である。新潟市はまず青山から新潟駅までを都心軸として第一次BRTで整備をする。第二次は駅南で、弁天線から公園線、市民病院線を整備する。そして市民病院と県庁、あるいはBRTの第1期区間を結んで、大きな環状線をできるだけ早く実現させる。笹出線を使うと小さな環状線もできる。そこに、郊外線を増便して多方面から結びつけることによって、新潟市民が多様な都市機能を利用しやすくするというのが本市の大きな方向である。
 四つ目の疑問は、市の中心部だけが良くなり、地域の生活交通が置き去りになるのではないかというご意見である。本市は、新潟交通と運行事業協定、細目協定を結び、新潟交通は今年度から5年間、今まで減らし続けてきたバスの営業走行キロを確保するということを約束した。これ以上路線が減らされ、それを住民バス・区バスで補う、あるいは路線バスに補助を出す方向でいくと財政面で大変な状況になってくる。昨年度は2億7,000万円ほど支出しており、これを放っておけばさらに支出が膨れ上がっていく。今回営業走行キロ数を5年間確保することを新潟交通は約束したので、一番お困りの人口密度が薄いところ、そしてその集落に行くまでには長い距離を走らなければならないところ、遠いところの住民バスの支援を充実させることにした。これまでは住民バスの支援を人口密度など関係なく、一律でやらざるを得なかったが、今後は質的に支援を改善、向上させていただく。
 また、来年度以降、区バスを充実させる。かなり古いバスも走っているので、区バス車両をノンステップバスに更新していく。また、区バスと住民バスが営業路線のバスとしっかり結び付いていない部分がある。これについても、新潟交通と新潟市がパートナーとして毎年の路線などを決めていけることになったので、今後、大幅に改善できると思っている。
 生活交通の充実と郊外路線の増便、そしてまちなかの快適な運行を、乗り換え地点で結び付けていくというのが大きな方向性である。乗り換え・乗り継ぎは恐縮だが、可能な限り負担を軽減する。新潟市の新バスシステムは、これからの地方のバス交通のあり方を示しているため、国から支援を半分いただけるので、快適な乗り換え環境の整備が進んでいる。バスの乗り換えは確かに恐縮だが、このままの方式でいくと、路線が廃止されて、本当にバスでは動けないまちになってしまう。何とかバスの乗り換えをお認めいただいて、持続可能な公共交通、持続可能なバス交通にしていくことが本市の目指す方向である。
 新潟市は公共交通を考えるときに3つのステージを示している。まず、地域内の生活交通を確保、充実させていく。併せて都心アクセス、郊外路線の増便も含めて強化していく。そしてまちなかでの移動をBRTで円滑にしていくということである。
 それ以外の疑問も寄せられている。そもそも連節バスを見たことも乗ったこともないという方が大半だった。幅はほとんど普通のバスと変わらず、長さが6.5メートルほど長いので、その分、一人の運転手が一度に運べる人の数も多いというのが特徴である。まちなかで混雑しているバス2,000台を700台減らすときに、一度に多くの人数を運べる連節バスは非常に有効である。
 新潟は雪が降るが、雪のときに大丈夫かというご心配も寄せられている。太平洋側の都市でもかなり雪が降るが、連節バスを問題なく運行している。超低床バス、低床バスが運行できる路面状況なら、十分連節バスも問題なく運行できる。特に新潟市の連節バスは、北欧のスウェーデンの企業が車体をつくっているので、雪、氷には習熟している。
 6月7日には試乗会を行った。新潟市役所会場では、定員700人のところに1,100人ほどの方からお申し込みいただき、かなり関心を持っていただいている。そして、江南区会場では、アスパークの周りを連節バスが1周するという1回、5~6分のコースで、1,000人以上の方に利用していただき、イベントを盛り上げる効果が連節バスにはあることを確認できた。
 ダイヤが出るまで、自分の乗る路線がどうなるか分からないという疑問が寄せられていたが、BRTの運行ダイヤや停留所も示された。
 乗り換えで料金が高くなるのではないかというご心配も随分寄せられていた。基本的にりゅーとカードとのりかえ現金カードをご利用いただければ料金は変わらない。
 このように、計画をダイヤまでしっかりとお示しすることができるようになった。そして9月5日にBRT新バスシステムをスタートさせて、どのような改善点があるのか、どうすればもっと良くなるのか、サービスを改善できるのかを検証する。それはまず各区の生活交通改善プランを基にする。そして第三者委員会、強化委員会に地域の方、学識経験者に入っていただく。ここで検証し、来年度はこのように改善すべきだとご提言いただく。新潟交通と新潟市から成る運営協議会で提言を受け、どこの優先順位が高いか、どこを改善すれば効果が大きいかを検討した上で、来年度はこのように改善すると地域の方に報告するという形でやらせていただく。
 今まで、新潟交通は体力的に弱っていた時期もあって、なかなか新潟市民や市役所の改善の要望を叶えてもらえなかった。今後は新潟市も新潟交通と協働で運営協議会をやらせていただくことになるので、昭和40年代からずっと右肩下がりだったバスを来年度、あるいは今年度のスタート時点からいきなり良くするというところまでの力は無いかもしれないが、1年目よりは2年目、2年目よりは3年目というように改善をしていく。市民の声が新潟交通にしっかり届く、あるいは新潟市役所を経由して届けられ、それがどういう理由で改善案になったかについても含めて報告させていただくというシステムが動き出すので、1年1年、新潟のバスは良くなるという実感を、できるだけ多くの方に持っていただけるように前進していきたい。

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