市長説明

最終更新日:2017年7月28日

平成29年度 まちづくりトーク

市長説明

 私からは、今年度予算の主な取り組みと、健康寿命の延伸という二つのテーマについてお話させていただく。
 まずは予算についてである。一般会計が3,975億円ということで、前年度に比べて随分増えているが、これは今まで県の予算に計上されていた教職員の給与が政令市である本市の予算に計上されるようになったことで増えたものであり、それを除くと前年度並みである。この予算を使って、安心協働都市、環境健康都市、創造交流都市という三つの都市像を早期に確立していきたい。
 三つの都市像ごとの説明である。
 一つ目は、安心協働都市である。私どもは、妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援を充実させるため、身近なところで子育て相談や健康相談などができるネウボラというフィンランドの制度の新潟市版を作っていきたいと考えている。マタニティナビゲーター(母子保健相談員)、妊娠・子育てほっとステーションの機能を強化し、産後ケアや、子育てに不安を持たれる方への支援も実施していく。また、地域の茶の間モデルハウスなどに、毎月、曜日を決めて保健師を派遣して、健康相談などに応じていきたい。
 子ども・子育て支援については、保育環境の整備が重要である。現在、待機児童という言葉が毎日のようにマスコミに登場する状況である。新潟市は、ここ10数年、年度替わりの待機児童はゼロということで頑張ってきたが、このたびの年度替わりで2人の待機児童が発生した。1人は5月に入園が決定し、もう1人は、現在、新しい選択肢を検討していただいている。今後は、月替わりの待機児童のデータを取り、積極的に潜在的な待機児童も掘り起こして、早めに次善・三善の選択肢を検討していただけるようにしていきたい。
 また、放課後児童クラブ、ひまわりクラブの受け入れ環境を充実させる。そして、貧困の連鎖を断ち切るという意味で、子どもの貧困対策、子どもの未来を応援する計画を策定する予定である。
 次に、教育についてである。新潟らしい教育を充実させるため、すべての小学生に農業体験と食育を行う「新潟発わくわく教育ファーム」が定着してきており、さらに充実させていく。また、新潟の良さを伝え愛着を育む「大好きにいがた体験授業」を昨年度から小・中学校のモデル校に始めてもらっているが、今年度からは、中等教育学校、市立の高等学校へ拡充し、新潟の農業者を子どもたちに知ってもらう取り組みを強化していく。また、県からの権限移譲を生かし、今までは小学1・2年だけだった少人数学級を今年度からは3・4年に拡充する。そして、(仮称)新潟食料農業大学が来年度に開設を予定しているが、地元に学ぶ場があるということは非常に重要なので、県と一緒にこの大学創設を支援していく。
 次に、ずっと安心に暮らせるまちについてである。地域で医療・介護を受けられる、それを可能にする住宅リフォーム、そしてその土台としての生活支援、介護予防という地域包括ケアシステムに地域の方を含めて多彩な方に参画していただこうという取り組みである。これが健康寿命の延伸にもつながっていくということで、今日のスペシャルのテーマになる。これは後ほどご説明させていただく。
 二つ目は、環境健康都市の分野についてである。今年を健康寿命の延伸元年にしていくということである。これは後ほど説明させていただく。
 三つ目は、創造交流都市の分野についてである。地域に働く場があるということが人口問題にとっても大変重要なポイントだと思っている。新潟市は、昨年、中小企業の皆様の設備投資意欲を調査した。非常に意欲が高い企業が多かったので、それを後押しするため、設備投資の支援を強化し、生産性を向上していただく。企業立地についても、白根の第2工業団地が昨年売却され、すぐに使える大きな工業団地がなくなってきたため、次の工業団地をどこに造るかという基礎調査を開始する。そして、今すぐ拡張したいというニーズには、それぞれの事情に応じて迅速に対応し、企業立地を促進していく。また、創業・起業の支援も強化していく。
 次に、ニューフードバレー構想についてである。新潟は農業で戦略特区に指定されており、地道に取り組みを進めている。ローソンやJR東日本、セブン&アイなど、さまざまな日本を代表する企業に、新潟で農業に参画いただいている。そして昨年春には、3軒の農家レストランが相次いでオープンし、1年間でそれぞれの店に大体25,000人から30,000人の方からお越しいただいているという好調な状況である。そして、この3軒の農家レストランは、直売所や農業体験、ジェラートの販売などを行っているが、これらを合わせると、まちなかから田園地帯、農家さんへ43万人の人の流れが生まれている。
 健康づくりの応援食品認定制度も創設し、これから拡充をしていく。さまざまなアグリプロジェクトが行われており、NTTドコモの水田センサーなどのICT(情報・通信技術)を活用した革新的農業や、イセキやクボタなどが革新的な農機具開発を先進的に取り組んでいる。
 新潟市は、食と農と文化を融合させる食文化創造都市に取り組んできた。そして、ガストロノミー(食文化)をツーリズムにも生かそうということで、かなり姿が見えてきたと思う。そのシンボルというべきものがレストランバスである。
 昨年、バス会社のウィラーが日本で初めてのレストランバスを開発した。これは1階が調理場、2階が対面式の25席のレストランになっており、昨年はまず農業特区の新潟で運行するということをウィラーが決めてくれた。今年は2号車ができ、それをまず新潟市で運行するということで、6月まで新潟市で走っている。先日、このレストランバスに元スマップの香取慎吾さんたちが乗って楽しんでいる様子がテレビで放映され、大変な反響だった。現在、あのコースは満杯だが、大勢の方に楽しんでいただきたいと思う。
 また、シェフの日をぐるなびと提携して取り組んでいるが、生産者と料理人の結びつきを強め、消費者とつなげていくピースキッチン運動をさらに拡大していく。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、政府はこの4年間で20万件の文化プログラムを全国で実施することを約束している。その文化プログラムを良い形で推進するには司令塔が必要で、アーツカウンシル(芸術評議会)を昨年秋に設立した。基礎自治体では横浜市と新潟市だけが文化庁の支援をいただいて設立済みである。文化プログラムには三つの段階があるが、組織委員会が関与する大会公式ものが二つ、そして地元の民間団体なども申請できるビヨンドがある。ビヨンド2020をアーツカウンシル新潟が窓口となって、新潟市で認定できるという許可を国から得たが、基礎自治体でその認可を得たのは新潟市だけなので、まさに新潟市が文化プログラムを先導していくということである。
 続いてインバウンド(訪日外国人旅行)、特にクルーズについてである。昨年ようやく新潟東港に大型クルーズ船が接岸できるようになり、2,000人ほどが乗った大型クルーズ船がやってきて、新潟のまちなかも大いに賑わった。今年は、去年よりさらに大型のものがすでに1隻、そして7月にもう1隻入港する。クルーズ客船の誘致も推進していく。
 新潟開港150周年が近づいてきた。2019年1月1日が開港記念日だが、1月1日では式典なども行えないので、新潟市では来年7月から1年半、開港150周年を盛り上げていきたい。みなとまち新潟の姿をより明確にしていく取り組みである。
 次に、人口問題についてである。特にこれからはUIJターンが重要である。昨年、移住モデル地区の第1号に西蒲区の越前浜になっていただいた。現在、越前浜は、人口の14パーセント程度が移住者になっている。このような移住モデル地区の第2号、第3号にどんどん手を挙げていただきたい。そして県外からの移住者に対しては、住宅取得、家賃、転居費、リフォーム費用なども支援する。また、実際に移住された若い起業家の方などに情報発信をお願いしている。移住セミナー、移住交流体験ツアーも強化していく。以上が今年度予算の主な取り組みについての説明である。

 ここからは地域との協働で健康づくりを進めたいというテーマでお話しをさせていただく。
 まずは、新潟市の人口についてである。人口はずっと増え続けてきたが、現在は横ばいから微減という段階に入っており、これからはかなり大きく減少していくというのが国の予測である。2010年の国勢調査の際に、国が2015年の新潟市の人口は80万人ちょっとになり、かなり減ると予測した。しかし、実際には81万人台を確保し、9,200人ほど上振れさせることができた。これからも適切に取り組んでいくことで、人口減少を極力緩やかなものにしていきたいと思っている。間違いなく言えるのは、当分の間、高齢者が増え続け、生産年齢人口が大きく減少していくということである。子どもも本当に減ってきているが、さらに減少するという予測が出ている。これを何とか緩やかなものにしていきたい。
 一方、要介護の状況(要支援・要介護認定者数)だが、平成21年に31,000人程度だったものが、昨年41,000人を超えた。1万人ほど増えている。特に要介護2以上の重い方が3,600人増加している。そこで、国は、これからは地域で医療、介護を行うという方向を打ち出している。
 新潟市は、これまで5年間前倒しで特別養護老人ホームなどの施設整備に力を入れてきた。今後も続けたいが、そこだけ頑張ると介護保険料も上がってしまう。現在、新潟市の介護保険料は政令市の中で大阪市に次いで2番目に高い。それだけ介護部門が充実しているということだが、これからは在宅、地域で医療・介護を受けられるようにするという方向に舵を切っていく。そのために、先ほど申し上げた住宅リフォームなども重要である。また、元気なお年寄り、健康なお年寄りが増えていくことはとても良いことなので、健康寿命の延伸をスペシャルのテーマとして取り組んでいきたい。そのために、地域と一緒に取り組みを充実させていく。
 なぜ新潟が健康寿命をスペシャルのテーマにしているのかについてだが、新潟市の女性の平均寿命は、政令市20市の中で一番長く、男性は大体全国平均並である。健康寿命を比べてみても、全国に比べて遜色はないが、平均寿命が長いだけに、健康でない期間も長くなっている。特に女性がそういう傾向にある。健康な状態でない期間が長いと、本人も家族も大変なので、健康寿命を大きく延ばしたいということである。
 では、どういう理由で介護が必要になるのかということについてである。一番の原因は脳血管疾患であるため、まずはこれに気を付ける必要がある。人の死亡理由を脳血管疾患、心疾患、胃がんなど、分野別に捉えた資料で、全国を100として比較すると、新潟市は、胃がんなども気を付けなければならない。
 一番特徴的なのが西蒲区である。脳血管疾患が多いので、西蒲区の場合、脳血管疾患を抑えれば平均寿命あるいは健康寿命が劇的に延びる可能性がある。
 では、どうして脳血管疾患など重症なものを発症するのかについてである。それは生活習慣の積み重ねであり、運動不足、食塩の取り過ぎなども影響している。食べ過ぎ、運動不足、喫煙、過度の飲酒、ストレス、食塩の取り過ぎも危険因子である。これを改善することが必要だが、改善しないと高血圧、糖尿病などを発症していく。さらに放置していくと、血管の弾力性がなくなって傷つきやすくなり、血液がドロドロになると重症な疾患に結び付くおそれがある。そのため、生活習慣に気を付けましょうということである。
 新潟市は男性も女性も塩分摂取量の目標値をかなり上回っている状況である。なぜそうなるかというと、食卓に原因がある。これを県庁所在都市と政令市等を合わせた52都市を比較した家計調査で見てみると、新潟市の食塩の購入額が全国第1位である。塩鮭、魚の干物も第1位であり、みそは第2位、たらこは、明太子が有名な福岡市、北九州市に続いて新潟市は3番目で、新潟市民の食卓にはしょっぱいものが並んでいるということである。これを少し頭に置いて、減塩、ちょいしお運動に自ら取り組んでいただきたい。
 運動不足も生活習慣病の引き金である。平均歩数を全国平均と比べると男性、女性、お年寄り、いずれも新潟市は全国平均を下回っている状況である。その原因は、マイカー依存度が高過ぎることが一番だと思う。平成23年度にはマイカー依存は7割弱であったが、28年度では71パーセントを超えた。一番減ったのが自転車であり、歩く方も少し減ったが、ありがたいことに、鉄道、バスは少し増えた。バスは、新バスシステムを運行させて以来、今まで10年間で40パーセント減ってきた利用者が、わずかだが0.8パーセント増加に転じた。特にこの4月、5月は前年度をさらに4パーセント程度上回っている。これは「シニア半わり」の効果も出ているのかもしれない。持続可能なバスの土台がようやく出来上がりつつあるということで、感謝している。
 早期発見、早期治療には健診を受けていただくことが重要であるが、受診率は4割弱であり、6割以上の方が健診を受けていない。目標は60パーセントなので、かなり下回っている。重症疾患で急に倒れる方の6割が健診を連続して受けていない方で、健診は大事だといろいろな方に口コミ的に伝えていただきたい。
 この健診受診率中学校区別一覧表は受診率を中学校区別で見たもので、良い校区トップ10を青色の表示で示している。現在、新潟市では国保と後期高齢者、協会けんぽを加え、81万人の市民のうち51万人の加入者の健康データを分析し、中学校区の健康度や受診率などをお示しできるようになった。
 次に、問診の結果である。喫煙の習慣、運動習慣、飲酒頻度、おやつなど、夕食後に何か食べてしまう率もデータ化した。このようなデータから、新潟市の全市的な課題、ポイントを三つに絞らせていただいた。それは、健診の受診率を上げることを土台とし、食塩摂取量の抑制を心掛けていただき、運動習慣を定着させるという三本柱でこれから大いに頑張っていきたい。
 認知症も大変スペシャルのテーマであり、認知症の予防ポイントも分かってきた。一つは青魚や野菜、果物が予防には効果があり、水分を十分に取ることも重要である。また、運動習慣を見直し、頭を使う趣味を持つことも良いようだ。さらに、人との絆を大切にし、地域社会との接点が大きい方は心を豊かにするので、地域との関わりも非常に重要である。
 認知症は早期発見、早期治療が大事で、今年度、北区でもの忘れ検診をお医者さんグループの協力を得て、区づくり事業で行う。簡単な3項目ほどの質問に的確に答えられるかを試し、異常なし、ちょっと様子を見た方がいい、すぐにお医者さんに行かなければならないなどを判断する。おそらくこれは成果が出ると思うので、来年度以降、全市展開していきたい。
 次に、地域ぐるみで健康寿命を延伸するために、どのようなことを心掛けていけばいいかについてである。社会参加をしている人ほど健康になる。運動についても、一人でやるのもありがたいが、みんなでやるほうが体にも心にも良い。友だちと会うことで死亡リスクが下がるようだ。地域への信頼が強いと「うつ」になりにくい。多くの人が健康で元気に長生きをするということはみんなの願いであり、それを実現していくことである。そのときに、地域で誰もが気軽に集まり、交流することができる場、人と人がつながり、自分を生かす場所、例えば地域の茶の間モデルハウスのような形で交流をしていくことが健康にも良いと証明されているので、今後これらを全域で展開したい。また、これまで新潟市は、健康寿命延伸に関わる活動について未来ポイントを個人に差し上げてきた。この地域版を作った。健康に良いことをしている地域に、一活動当たり5,000ポイントを差し上げる。上限は1万ポイント。優れた活動には2万ポイントを加算する。コミュニティ協議会などで健康を競い合う新潟にしていきたいので、ぜひお申し込みいただきたい。
 また、地域で競い合うということで、健康寿命延伸アワードという表彰制度を作った。最も良い活動をしているグランプリには10万ポイント、準グランプリには5万ポイント差し上げる。コミ協部門と一般の部門があるので、ぜひ、アワードを目指して競い合っていただきたい。
 そして、健幸すまいリフォームについては、暖かい住宅が健康に良いということも分かってきたので、そのような部分も支援する。また、高齢者世帯を対象に追加したので、ぜひご活用いただきたい。
 平成29年を健康寿命の延伸元年にしようと考えており、さまざまな取り組みがあるので、まず自分が参加しやすいものから取り組んでいただきたい。特定健診はぜひ受診いただき、周りの方にも受診を呼びかけていただきたい。住み慣れた地域で安心、元気に暮らすということを実現するためには、地域の皆様との協働が大事である。健康寿命の延伸をみんなで目指して、日本一健康な新潟市をつくっていきたい。

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