市長説明

最終更新日:2014年7月17日

 今年度は合併10年目、政令指定都市に移行してから8年目ということで、政令市移行と同時に新・新潟市総合計画というまちづくり計画のもとで動いてきた。しかし、これも今年度で終了となるため、現在は来年度からの新しい総合計画策定の作業中である。そのような年度であるということを踏まえて、「安心政令市にいがたの成熟期に向けて」というテーマで、今年度の取り組みなどについて説明させていただく。
 まずは、政令市7年の振り返りについて。
 大合併を経て、2007年に政令市新潟が誕生し、総合計画に基づいて動いてきた。本市の新総合計画で8つの区すべてに区自治協議会を設置した。また、97の地域でコミュニティ協議会が立ち上がった。
 2008年にはG8労働大臣会合、2010年にはAPECの食料安全保障担当大臣会合と、レベルの高い国際会議を運営できるようになってきた。
 昨年は、本市の環境計画が他のモデルにふさわしいということで環境モデル都市に選定いただき、また、文化芸術創造都市分野では文化庁長官表彰をいただいた。この選定と表彰を両方いただいている都市は全国で横浜、神戸、新潟の3つだけである。
 安全については、学校の耐震化はかなり進んできたという状況であり、来年度で完了となる。
 特別養護老人ホームは、4年間で1,000床程度整備を前倒しすることで進んできた。このような形で順調に推移しているが、介護施設をこれ以上整備していくと介護保険料がさらに上がる。新潟市の介護保険料は政令指定都市の中で一番高いレベルまできているため、今後は施設から地域での医療・介護に進んでいきたいと思う。
 3年前の3.11大震災で新潟が最大の救援センターになったことを受けて、日本海国土軸が重要であり、これを整備していくことを前政権のときに認めていただき、現在の政権で整備が進み出した。
 がんばる農家支援も相当利用されており、当初の予算規模を4倍強に拡大したという状況である。
 特色ある区づくり予算も当初から増額をしている。区自治協議会提案事業も、予算は当初300万円でスタートして、現在は500万円まで増額している。地域と学校をつなぐ地域教育コーディネーターは8校のパイロット校で始めたが、今は全校に配置し、非常に大きな役割を果たしていただき感謝している。
 また、新聞社のシンクタンクが調査した全国812市町村のうち、本市の経営革新度は9位という高い評価をいただいた。これは2年に一度の調査であり、前回が14位だった。これは4つの分野で評価するのだが、透明度は全国1位。市民参加度は全国8位で、利便度も良い数字である。もう一つ、効率化度というものがあるが、これが全国で100位の中に入らなかった。この効率化度が全国で50位くらいになれば、本市はトップ3も視野に入るのではないか。ここまできたら経営革新度全国ナンバー1を目指すつもりで取り組んでいきたい。
 次に、今の本市を取り巻く課題の認識についてである。
 一番の課題は人口問題だ。前岩手県知事で総務大臣を務めた増田寛也氏が座長である日本創成会議が人口減少、特に20代、30代の若い女性がどうなるかという予測を立てている。これによると、2010年と2040年の比較で新潟県は30市町村あるが、そのうち18市町村で、若い女性が半分以下になる。50パーセント以上減少するという大変厳しい予測が出ている。国の人口推計と日本創成会議の推計が若干違っているが、それは国の人口予測のときに、今まで景気が悪いと人口が東京に集中し、景気がやや良くなると下がっていくというような東京の人口集中にはリズムがあったが、日本創成会議は、今の人口集中がそのまま高止まりしていくという予測である。
 その理由は、すでに日本の地方の中では高齢者まで減り始めている地域が出てきており、そうすると、地方での雇用の大きな部分であるお年寄りの医療・介護の部分が減っていく。若い方は働き場がさらになくなり首都圏に集中するという予測だ。
 本市の場合は、国の予測も日本創成会議の予測もあまり大きな違いがない。若干、日本創成会議の予測のほうが20代、30代の人口の減る率が大きい。人口減少はどのような対策をとるかによってこれから変わってくる。新潟市は人口減少をできるだけ緩やかにしたいと考えている。そのときにはターゲットを絞った対策を具体的にとらないかぎり緩やかにはできないと考える。
 まずは0歳児。本市がいかに子どもを安心して産んでいただけるまちになるか。そのための具体的な支援策はどのようなことを行うのかが問われている。特に本市は全県平均あるいは全国平均の特殊出生率をかなり下回っている状況である。
 次のターゲットは18歳人口で、高卒の方、新潟県の場合は大量の人口流出超過になっている。本市は大学、専門学校あるいは外国人留学生といった方が加わり、かなり充実しており、流入超過ということで県都としての役割を果たしていると思う。
 しかし、22歳人口、大卒はどうかということになると、新潟県は大幅な流出超過で、働く場の問題がある。特に新潟県、本市は技術系の大学卒あるいは大学院卒の働く場が極めて限定的だと言われているため、ここをどうしていくかというのが大きな課題だ。
 30代以上は、まず、Iターン、Uターンがポイントだ。ここは新潟県、新潟市は善戦しているが、もっと行うことがあるのではないかと考えている。
 生産年齢人口が減っている中で、女性、元気な高齢者、障がい者、引きこもりの方、あるいは若くして生活保護を受けざるを得なくなっている方たちが、どう社会参画していただけるか。これが活力を維持するうえで、また、一人一人の自己実現のためにも重要だと思う。人口減少の中で持続可能なまちを作っていくにはどうすれば良いかが次の総合計画の大きな課題になると思う。
 一方では、新潟が持っている役割、使命、ミッションも明確になってきている。3.11大震災で最大の救援拠点になった。環日本海のゲートウェイ、日本海側の拠点都市というものを、我が国における使命とし、国土強靱化の要は新潟だと言っても、永田町、霞が関の多くの方はそのとおりだと言われる。これから首都直下あるいは南海トラフなど太平洋側が大きく被害を受ける可能性があることを想定する中で、我々は防災救援首都を標榜して頑張らなくてはならない。
 また先日、本市は農業と農業関連の雇用の分野で国家戦略特区の指定をいただいた。これは全国の自治体あるいは団体、企業、240を超えるところから手が挙がり、本市は6つの中に選ばれたということで、この使命、役割を果たしていく。
 県都としての使命、役割については、先ほど言ったように、新潟県は大変な人口流出超過になる予定なので、これをどう食い止めるか、人口流入をどう増やすか。また、平時の拠点性を伸ばして新潟県域の発展を先導することは本市にしかできない、本市の役割ということである。
 安倍政権の看板政策である国家戦略特区と国土強靱化に適切に対応できているということで、本市提案の部分がいくつか認められた。本市が農産物の輸出基地にというミッションをいただいている。
 エネルギー戦略特区は県が事務方になったのだが、これは国土強靱化で必要だと思っている。本市を特区指定していただいたのは、これまで進めてきたニューフードバレー構想があったからだと思う。世界の農業、食品産業の拠点を創出し、多様な農地利用の推進、調和のとれた土地利用といったもののために必要な規制緩和を行い、推進していくという具体的なテーマをいただいている。
 そうした状況の中で、次のステージに向けた橋渡しの年が今年度の位置づけである。本市は安全の土台、市民主権の土台の上に助け合い政令市、日本海拠点都市、田園文化都市の三つの都市像を早期に確立し、安心政令市にいがたを実現するというのが大きな方向である。そのために今年は、一般会計予算、当初会計予算で3,663億円という過去最大の予算を組み、橋渡しの年をしっかり行っていこうと考えている。
 昨年度と今年度、10大プロジェクトの取り組みは良い形で進んでおり、今後、具体的なところでお示しする。
 安心安全の土台の部分について。
 新潟地震から50周年という節目の年である。市民の大半が新潟地震を体験していない方になってきたということで、新潟地震の教訓を後世に伝えていくために、6月14日から6月16日のメモリアルデーの3日間を最大限に盛り上げようと計画している。災害を一人一人が我がこととして考えていく新潟市民になっていこうということである。
 津波対策については、県の津波想定高がなかなか提供されず困っていたが、ようやく大きな方向が示された。中小河川については今後ということであるが、津波ハザードマップを順次作成、公開している状況である。
 災害時の情報伝達をより確実に多彩に伝えていく必要があるため、手段を強化している。
 そういう中で、先日、さいたま市と災害時の応援協定を締結させていただいた。また、前橋市、高崎市も協定の話しがあり、近く、この2市と結ぶことになると思う。そうなると、北関東、埼玉と我々はしっかりと連携軸ができる。これは災害対応だけではなく、さまざまな交流などでもこの軸は生きてくるだろうと考えている。

 次に、助け合い政令市の分野である。
 先ほど申し上げたが、これから介護施設をこれまでのペースで造っていくというわけにはいかない。そういう中で本市は、地域で医療、介護を受けられる住まいを一体的につくっていく地域包括ケアシステムの構築元年だという位置づけをしている。今から取り組まないと、2040年、50万人近くの看取りの場所が不足すると国は言っている。東京では笑い事では済まない危機に立っている。本市は今から取り組めば看取りの場所がなくならないということで取り組んでいく。看取りまで在宅で行っていただける医療チームがすべての区で立ち上がったという状況だが、人口あたりではまだ不足しており、エリアも偏っているため、在宅医療提供チームの立ち上げをさらに支援していく。
 介護保険制度で今後、要支援は基礎自治体にお願いするというのが国の大きな方針転換である。これについて、要支援の部分をしっかりと行っていくためには、行政や社会福祉協議会がしっかり取り組むのは当然だが、地域の方にもぜひ要支援の掘り起こしなど、コミュニティ協議会などで行っていただければ大変ありがたい。今年はモデルとしていくつかの地域で行う。
 障がい者の就労支援も10大プロジェクトである。アイエスエフネットライフという全国で一番、精神障がい者の雇用実績がある企業が西堀ローサに昨年進出し、アイエスエフネットライフ新潟としてカフェ・お弁当センターを運営していただいている。その向かいではパソコン教室も行うなど、障がい者100人の雇用を創出するということで取り組んでいただいている。
 まちなかに拠点があるなら、住まいもその近くに、例えば下町などの空き家がグループホームとして活用されれば、働く場と住まいが歩いていけるような形でできるのではないか。こういったグループホームの整備も支援していく。
 空き家対策について。空き家は全国で問題になっている。放置すると場合によって大変危険な存在にもなってくるが、リフォームし活用していただくなど、地域の財産にもなり得るので、消費税増税後の買い控え対策も含めてリフォーム支援を充実していく。
 次に、日本海拠点都市の分野についてである。
 新潟港は空コンテナが減り、コンテナ数は増えているという非常に良い形になっている。
 新潟空港については、東区の関係者に協力いただいたおかげで年間利用者100万人を回復し、さらに利用増が見込めるということで反転攻勢の動きをより強めていきたいと考えている。
 持続可能な公共交通も、生活交通を確保するため、区バス、住民バスを従来以上に支援・拡充をしていく。必要なところはデマンド交通も社会実験を行い、最寄り駅から新潟駅へスムーズにアクセスできるように強化していく。
 65歳以上の方がバスを半額で利用できるシニア半わり制度を大幅に拡充する。
 まちなかには、新潟駅青山間、第1期のBRTを来年の夏前には開業するということで、新潟交通と運行事業協定を締結した。これまでも安易に路線を廃止、減便していたのではないと新潟交通は言うが、我々から見ると、減便、廃止のピッチが早すぎたのではないかと思う。今後は本市にしっかり相談していただき、そのうえで対策をとっていくということで、本市は新潟交通と運行事業協定を結んだため、拙速な廃止、減便は避けられる状況になった。まちなかの活性化も極めて重要ということで、まずは都心軸をしっかり整備していく。新潟駅の万代広場も整備する。
 21世紀を支える産業の一つとして、航空機産業をぜひ本市に集積したい。西蒲区に日本で初めてのエンジン部品を生産する共同工場が操業を開始した。大変高度な機械が導入されているが、国から20億円近い支援をもらい動き出した。
 第2弾は南区の白根地区に同じように共同工場を造る。こちらはエンジン部品ではなく、機体であるため、より広範囲に燕市、三条市周辺の地場産業とも連携が可能ではないかと思う。中小企業への支援も頑張って行く。
 次に田園文化都市の分野である。
 ニューフードバレーについて、昨年、農業活性化研究センターがオープンした。6月28日にはアグリパークもオープンする。そのアグリパークに食品加工支援センターができるので、農業活性化研究センターとあわせて6次産業化の司令塔としていきたい。
 鳥屋野潟南部のいくとぴあ食花は、すでに3つのセンターがオープンし、来場者は延べ150万人を超えている状況である。その隣接地に食と花の交流センターが加わり、6月21日にグランドオープンする。ここでは、こだわりの食材の直売所や、それを活用したレストランも楽しんでいただける。今まで食育・花育センターに行っても食事がとれないという意見があったが、これからは食事などの楽しみも味わってもらえる。この施設は全国的にも注目されており、先日、農林水産大臣から、昨年に引き続いてこの施設を視察していただいたが、農業特区とあわせて大いにアピールしていきたい。
 アグリスタディプログラムは、すべての子どもたちに農業体験学習をしてもらう事業である。いくとぴあ食花をメインステージに、学校の教育田、教材園も大いに活用し、地域の農家にも加わってもらって、子どもたちにいかに新潟の農業が素晴らしいか、大切かということをしっかり理解してもらう。
 やはり本市の強みは食である。昨年、ユネスコの無形文化遺産に和食が登録されたことで、日本全体がかなり明るくなったような感じがしたが、今年は本市から日本を明るくしたいので、ユネスコ創造都市ネットワークに食の分野で日本初の認定を目指し、現在申請中である。おそらく11月ころに結論が出ると思う。米を中心とした豊かな食文化を育んでいる都市が新潟だと言っていただき、交流人口の拡大、6次産業などの振興に結びつけていく。
 定住人口を増やすことが困難な中で、交流人口は非常に重要性を増している。本市は宿泊人口が2009年の大観光交流年の年から増えているところであるが、今回もデスティネーションキャンペーンのなかで様々な取り組みを行っている。さらに新津鉄道資料館も7月にグランドオープンするので、さらに交流人口の拡大も図りたい。
 それと関連して水と土の新潟についてである。
 水と土のシンボルは潟ではないかと思う。鳥屋野潟は、新潟県がすべての湖底地権の整理を終え、本格的に整備が動き出すことになった。福島潟は治水面から新潟県が70ヘクタールほどの水田をまた潟に戻すという大工事を行って、新しいステージに進める状況になった。一方で佐潟、上堰潟も含めて、徹底的に潟環境研究所で生物多様性の問題などを調査して、地域の方にはさらに活用をお願いする。それぞれの取り組みをネットワークし、新潟の誇りとなる潟にしていきたいと考えている。
 次に市民主権都市の分野である。
 本市にふさわしい新しい都市制度について、今年度3つの分野でしっかり取り組むということを申し上げてきた。そういった中で、4つの区で公募区長を任命した。これはかなり刺激になっている。
 そして、区自治協議会とどのように協働を深化させていくか。コミュニティ協議会とも、より活動しやすい運動体として機能できるように支援を強化させていく必要があると思っている。そういった中で、放課後児童クラブについては大変な苦労の中、東区では2つのコミュニティ協議会から取り組んでいただいている。また、南区でも取り組みが進み、子育ての大変大きな役割を果たしていただいている。今後、さらにコミュニティ協議会が動きやすく支援していく必要があると考えている。
 教育委員会については、全国で問題が起きると対応できない、あるいは問題が起きるところに教育委員会の体質があるのではないかという指摘がある。本市はできるところから改善していくため、今年度、今まで6人だった教育委員を9人に増員した。このうち1人は教育長で、8人が教育委員である。今年度は4人で1区、1人の委員が4区を担当し、来年度からは2人で1区、1人の委員が2区を担当し、地域の方に区の教育のレベル、あるいは現在の問題点など、状況をしっかり説明できるようにしていく。また、地域の教育窓口の充実を図るため教育支援センターを全区に配置した。
 このような取り組みを踏まえて、本市はどのような方向へ進んでいくのかを決めていくのは次期総合計画であり、現在、策定作業が本格化している状況である。
 次期総合計画を作るときの問題意識、大きな時代潮流をしっかりと踏まえて、人口減少の中でどのように持続可能なまちをつくっていくのか。それを可能にする持続可能な財政運営を行うためにはどうするのか。いろいろな施設を現状のまま全て抱え込んでいたのでは、施設の維持管理費だけでまちづくりの予算の半分以上が消えてしまう状況である。持続可能な財政運営のために、ファシリティマネジメントを推進していく。
 市政創造、新潟のミッションといった課題も加えて、次期総合計画を今年度中に策定し、来年度からは新しい総合計画で動き出す。各区の区ビジョン、まちづくり計画も一緒に作る。市民の皆さま、特に自治協議会の皆さま、あるいは若い人たちにもワークショップなどを行ってもらい、多くの声を聞いていく。
 今回は議会の方から大きな役割を発揮していただいている。議長を除くすべての議員から総合計画の特別委員会に入ってもらい、4つの分科会で議論をいただいた。
 現時点での到達点については、先日、議長、副議長から報告をいただいたので、それを踏まえて、行政が総合計画審議会に諮問する案を作る。総合計画審議会は6月中に発足するので、その前に勉強会をできるだけ早く開きたい。
 そして総合計画の策定となるのだが、今年は市長選もあるため、秋ごろには中間報告的なものを提出してもらい、市民の皆さま、議会からもご意見をいただく。そして最終的には議会で議決されて、来年4月から新しい総合計画でまちづくりが進むというような形である。このようなことから、今年度は非常に重要な年と考えている。

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