重症急性呼吸器症候群(SARS)
最終更新日:2015年6月26日
1 SARSについて
国立感染症研究所SARS診断グループ提供
重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome: SARS)は、中国広東省を発端に2003年に世界中で流行した感染症です。新型のコロナウイルスであるSARSコロナウイルスに感染することによって引き起こされます。
2 原因と感染経路
SARSを引き起こす病原体はSARSコロナウイルスと呼ばれ、ある種のコウモリが宿主となり、ハクビシンなどの動物に感染が広がり、そこから人に感染が広がったと考えられています。
またSARSコロナウイルスに感染した患者と接した医療関係者や同居の家族などが、患者のせきを浴びたり、痰や体液等に直接触れたり、濃厚な接触をした場合に感染します。空気感染はしないとされています。
3 症状
2日~7日、最大 10日間程度の潜伏期間を経て38℃以上の発熱で発症します。咳、全身倦怠感などのインフルエンザ様症状を呈し、呼吸困難を生じ、肺炎を起こします。80%の方は回復しますが、10~20%が重症化し人口呼吸器等が必要になります。致死率は10%前後とされています。下痢症状も比較的多くの方にみられるとの報告もあります。
4 検査方法
SARSコロナウイルスの検査は、原則として、一次検査は検査可能な全国の地方衛生研究所において行います。確認検査及び血清抗体検査は、国立感染症研究所において行います。
5 予防のポイント
多くの感染症に共通する予防法ですが、外出先から戻った時に手洗い、うがいを行うことが重要です。またSARSコロナウイルスは高温に弱く、一般に用いられている様々な消毒剤で不活化されることも報告されています。