ヘルパンギーナとは
最終更新日:2015年9月4日
1 ヘルパンギーナについて
ヘルパンギーナは、発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性の発疹を特徴とした急性のウイルス性咽頭炎です。乳幼児を中心に夏季に流行し、いわゆる夏かぜの代表的疾患です。
2 原因と感染経路
ヘルパンギーナは、エンテロウイルス属に属するウイルスによって引き起こされます。コクサッキーウイルスA群と呼ばれるウイルスが原因の大半を占めますが、コクサッキーウイルスB群やエコーウイルスで発症する場合もあるため複数回感染する恐れがあります。
ヘルパンギーナを引き起こすウイルスは、ヒトだけに感染するウイルスです。よって感染経路は、手を介した接触感染を含む糞口感染と、くしゃみや咳による飛沫感染です。手足口病と同様に回復後にも数週間の長期にわたり、便からウイルスが検出されることがあるので注意が必要です。
3 症状
2~4 日の潜伏期を経て、突然の発熱に続いて咽頭痛が現れ、発症します。発熱時に熱性けいれんを伴うこともあります。咽頭粘膜が赤く腫れ、口腔内、主として軟口蓋から口蓋弓にかけての部位に直径1~2mmほどの水疱が出現します。水疱はやがて破れ、浅い潰瘍を起こし強い痛みを伴います。発熱については2 ~4 日間程度で解熱し、それにやや遅れて水疱も消失します。
口腔内に強い痛みがでるため、拒食や哺乳障害を起こし、それにより脱水症などを呈することがありますので、患者には喉越しのよい食品(ゼリーなど)を与えるなど、脱水症を防ぐようにしてください。
予後は良好な疾患ですが、まれに無菌性髄膜炎や急性心筋炎等を合併する場合があるので注意が必要です。
4 検査方法
患者の口腔内拭い液、特に水疱内容を含んだ材料、糞便からウイルス分離を行うか、あるいはウイルス抗原を検出する方法があります。遺伝子診断(PCR‐シークエンス法等)も可能ですが、実際には臨床症状による診断で十分なことがほとんどです。
5 予防のポイント
感染予防のためには基本的な手洗いや、うがいを行うことが重要です。家庭や集団生活においては、タオルの併用をしないことや、おもちゃなどの消毒を実施することも有効です。
また、日頃から食事や睡眠をきちんととり、ウイルスを寄せ付けない健康な体をつくることも大切です。