カンピロバクター(Campylobacter jejuni/coli)

最終更新日:2014年12月25日

 カンピロバクターは、家畜の流産あるいは腸炎原因菌として獣医学分野で注目されていた菌で、ニワトリ・ウシ等の家きんや家畜をはじめ、ペット・野鳥・野生動物などあらゆる動物が保菌しています。
 カンピロバクター属の菌は、細長いらせん状の桿菌(形が棒状や円筒状の細菌)で鞭毛(運動性の糸状構造)を持ち活発に活動します。
 カンピロバクター(Campylobacter)の語源は、ギリシャ語の“campylo”(カーブしたという意味の形容詞)と“bacter”(棍棒の意味の名詞)に由来しています。

菌の特徴は?

 発育には「微好気性(酸素3~15パーセント)」という特殊な条件が必要です。
 また、熱や乾燥に非常に弱いのですが、低温(10度以下)や水中では概ね3~10日間ほど生き続けることができます。
 カンピロバクターは、現在17菌種が確認されていますが、食中毒の原因として重要な菌種は、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)とカンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)です。下痢症患者から検出されるのは、ほとんど(95~99パーセント)がカンピロバクター・ジェジュニです。

カンピロバクター食中毒の現状

 一般に、細菌による食中毒は、10万~100万個の菌を摂取しないと発症しませんが、カンピロバクターは、100個程度の少ない菌数でも食中毒を引き起こします。
 発生時期は、5~7月にかけてピークとなりますが、年間を通じて散発事例が多い食中毒でもあります。

感染した場合の症状は?

 潜伏期間は、2~7日とやや長いという特徴があります。
 通常、初期症状として発熱・倦怠感・頭痛・筋肉痛等が現れます。風邪に似ていることもあり食中毒と気づきにくいのです。次いで吐き気・腹痛がみられます。主な症状は、腹痛・下痢・発熱です。初期症状の後、数時間から2日後に下痢症状が現れ、下痢は1日10回以上に及び、1~3日ほど続きます。腹痛は下痢よりも長期間継続し、発熱は37.5~39.5度程度と言われています。
 また、カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合があります。

食中毒の原因となる食品は?

 鶏肉や牛レバー等の肉類およびその加工品が多くを占め、肉の生食や加熱不十分が主な要因です。
 また、調理過程における二次感染による食中毒が起こりやすい傾向もあります。

食中毒の予防策は?

・食肉は、十分に加熱調理(中心部を75度以上で1分間以上加熱)を行うこと。
・加熱不十分な食肉やその臓器あるいは食肉等の生食を避けること。
・熱や乾燥に弱いので、調理器具は、使用後に良く洗浄し、熱湯消毒・乾燥すること。 
・食肉から他の食品(サラダ等)への二次感染防止のために
 (1)食肉は、ほかの食品と調理台・調理器具・容器を分けて処理や保存を行う。
 (2)食肉を取り扱った後は手を十分に洗ってから次の作業にうつる。
 (3)汚染を防止するために食肉は専用の蓋付き容器にいれるか、ラップをかけること。
・ペットと遊んだあとは、手を十分に洗うこと。


 カンピロバクターによる食中毒は、近年増加傾向にありますが、理由ははっきりしていません。鶏肉の汚染率が高まっているのではないかと思われます。
 美味しくいただくためにも、予防策を参考にしていただければと思います。 

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