第四回 株式会社Riparia

最終更新日:2020年3月13日

インタビュー概要

 株式会社Riparia(リペリア)は、2019年9月に創業したばかりのベンチャー企業です。創業者の一人でCEOの室田雅貴(むろたまさたか)さんは、現在24歳。新潟大学大学院に通いながら起業した学生起業家です。「どこでも暮らせる社会の実現」というビジョンの下、都会と地方を「副業」というキーワードでマッチングするサービス<ともるい>を立ち上げ、新潟市の創業サポート事業にも選ばれました。社会の構造を変えてしまうかもしれない勢いのある若手起業家の挑戦について、お話を聞きました。

インタビュー相手

株式会社Riparia
CEO 室田雅貴(むろたまさたか)さん


室田さん

「社会の課題とどう向き合うか」

 私は群馬県の出身で、大学進学時に新潟へ移住。今は新潟大学大学院に在籍中で、2019年9月に「Riparia」を創業しました。共同創業者は一緒にアプリ開発をしたころもある大学の同期です。ちょうど大学3年の終わり頃でしょうか、本当に漠然としたものですが、「お互いにこのままエンジニアとしてアプリやサービスを作り続ける将来もいいけど、せっかくなら社会や地方に貢献できることがしたいよね」と話していたんです。それで、人口の一極集中の解消や、もっと人間らしく生きるために場所に縛られず働ける未来を作ろうと考え、都会に住んでいながら副業として故郷に貢献したい人を、地方企業とプロジェクト単位でマッチングさせるサービス<ともるい>を2020年2月にスタートさせました。


ともるい画面イメージ


「学生のうちに起業する価値」

 学生が起業することについては、さまざまな意見があるかと思います。社会人に比べれば、時間の自由が利くこと、社会に出てからでは起業を決断するハードルが上がってしまうこと、学生起業家として注目を集めることができれば自分たちの事業を効率よく広められるかもしれないことなど、学生のうちに起業することに価値があると考えています。たとえ失敗したとしても、就職という道もありますしね。終身雇用が当たり前でなくなった今、大企業に就職したとしても将来のことはわかりません。自分でやりたいことを見つけて切り開いていくのも、これからの働き方の一つだと思います。もし、私と同じように起業を考えている人がいるなら、「今やらないのは損ですよ」と言いたいですね。



「大学院生と起業家の両立」

 もともと「悩んでいる時間がもったいない。とりあえずやってみよう」という性格もあり、起業を決意してから、事業計画の策定、リサーチなども含め、創業に至るまでの期間は7か月ほどでした。速いと思われるかもしれませんが、大学院での研究もあり、これでも時間がかかってしまったなという感覚です。大学院では、災害時に携帯電話が使えなくなってしまった時など、その代替として携帯電話同士でネットワークを構築し、情報共有を可能とする端末間通信についての研究をしています。だいたい毎日10時から17時までは研究をし、それから24時頃までは会社の仕事をしています。週に1から2回はアルバイトもしていますね。正直なところ、起業を決めてからサービスのリリースまでは、朝から晩まで仕事の方にかかりきりになってしまうことも多かったですね。それでも、自分の会社を作り、世の中に新しいサービスを打ち出していくことは、本当に毎日が面白く、充実した日々でした。


ともるい画面イメージ


「好きな人と好きな場所で、好きな暮らしができる社会の実現」

 私たちの事業である<ともるい>は、たとえば「地方企業が新規事業を立ち上げる際に、その分野に精通している人材をアドバイザーとして起用する」といった「副業人材」と、「外部視点が欲しい企業」とのマッチングを想定しています。「本当は故郷で働きたいけど、都会にしか仕事がない」という人たちをいかに解消できるかを課題としていて、私たちのサービスを通じて故郷の企業と結びつきが生まれ、Uターンにつながるケースが増えていけばうれしいですね。そして将来的には、仕事のせいで住む場所が限定されない「好きな人と好きな場所で好きな暮らしができる社会」を目指しています。実は起業以前から「地方を盛り上げるために何かできないか」とずっと感じていたので、地方の人材不足やノウハウ不足の解消につながるサービスになったことは、個人的な気持ちがうまく結びついてくれたなと思っています。


「副業ではなく、複業の時代へ」
 
 これから先、副業が当たり前になったりと、これまでにない新しい働き方が生まれてくるはずです。一つの会社にこだわる働き方は、もう難しいと思います。すでに副業は注目を集めていますが、いまの副業ではあくまでサブ的な意味での<副>でしかありません。これからは複数という意味での<複業>という形で、さまざまな組織やプロジェクトにかかわりながら、自分のキャリアやスキルを高めていく時代が来ると考えています。一つの会社にこだわらないということは、住む場所の制限も解消されていくでしょう。私たちの<ともるい>がそんな新しい働き方を後押しできるかもしれませんし、社会そのものを変えるサービスになるかもしれないというところに、大きなやりがいを感じています。もちろん、そういった社会が必ず来ると断言できるわけではありませんが、時代が変わりつつあることは間違いありません。


室田さん


「就職することがゴールじゃない」

 私の友人が何かに悩んでいたら、「とりあえずやってみたら」と声を掛けます。例えば、就職活動で言えば、今後の人生を左右する一大イベントのようなところがありますが、もうそんな社会ではなくなるだろうし、重要なのはそこじゃないぞ、と。就職することがゴールではなく、「入社してから何ができるか」「どんなスキルを身につけられるか」の方が大切なはずです。でも、それは入社してみないとわからないことです。アレコレと悩むより、行動あるのみ。私自身、一つの会社にこだわらなくてもいい社会の実現を目指していますし、私たちの<ともるい>はきっかけで、そんな働き方や選択がもっと簡単にできるようになればと思います。実は、私も今春の就職が決まっていますが、<ともるい>は続けていくつもりです。次は学生ではなく、エンジニアと経営者の両立になりますが、自分自身が<複業>を実践していければと思います。

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