市報にいがた 令和元年7月7日 2698号 1面から3面
最終更新日:2019年7月7日
G20新潟農業大臣会合 「閣僚宣言」で閉幕
共同記者会見
本会合の様子
フォトセッション
G20新潟農業大臣会合が5月11日・12日の2日間、中央区の朱鷺メッセで開催されました。会合には34の国と機関の代表が参加。増え続ける世界の人口を支えるため、「農業・食品分野の持続可能性に向けて」をテーマに話し合いました。会合は、次世代の農業を担う技術革新の必要性などを盛り込んだ「2019年G20新潟農業大臣宣言」を採択し閉幕しました。今号では会合の様子を紹介します。
問いあわせ 2019年G20サミット推進課(電話:025-226-2139)
本市で開催された国際会合の中で最大規模となったG20新潟農業大臣会合を無事終えることができました。各国・機関の代表の方々をお迎えするに当たり、児童や生徒、ボランティアをはじめ多くの市民の皆さま、関係者の皆さまからご協力いただきました。本当にありがとうございました。
市民芸能や古町芸妓、日本酒、郷土料理などの新潟ならではのおもてなしは、会合参加者から非常に高い評価を頂きました。新潟の魅力を世界へ大いにアピールすることができたと考えています。
今回、農業を取り巻く新たな課題などが日本有数の大農業都市である本市で議論されたことは、非常に大きな意義があると思います。「2019年G20新潟農業大臣宣言」が示す方向性は、本市がこれまで先進的に取り組んできた“スマート農業”や“食と農の連携による農産物の高付加価値化”と合致します。今後も、農業の持続的な発展に向け、農業分野のトップランナーとしてこれらの取り組みを積極的に進めていきます。
新潟市長
新潟のおもてなし
会合でのおもてなしなどに協力していただいた皆さんの活動を写真で紹介します。
(1)ブラジルの代表へのウエルカムメッセージを制作する内野小学校の児童
(2)新潟駅から会場へ向かう各国代表らを見送るにいがた観光親善大使とボランティア
(3)朱鷺メッセで各国代表らを笑顔で出迎える万代長嶺小学校の児童と宮浦中学校の生徒
(4)朱鷺メッセで各国代表らを笑顔で出迎える万代長嶺小学校の児童と宮浦中学校の生徒
(5)朱鷺メッセで各国代表らを笑顔で出迎える万代長嶺小学校の児童と宮浦中学校の生徒
(6)朱鷺メッセ展望室からの景観や新潟の歴史を案内する同中学校の生徒
(7)本会合の合間に新潟の「ル レクチエ ウォーター」を紹介するボランティア
(8)展示ブースで市内産の農産物をPRする中原市長とボランティア
(9)本会合会場で「持続可能な農業・食料分野に向けての提案」を英語でスピーチする高志中等教育学校の生徒
(10)歓迎レセプションで演舞を披露する古町芸妓
(11)同レセプションで太鼓を通して各国の代表らと交流する万代太鼓の皆さん
(12)同レセプションで演舞を披露するにいがた総踊りの皆さん
(13)同レセプションで新潟米の魅力をPRするボランティア
おもてなしに協力していただいた方の声
各国・機関の代表の前で学びの成果を発表
持続可能な農業のための提言として、水資源を大切にすることや各国が互いに協力し合うことの重要性を発表しました。
私たちはこれまで、授業や討論を通して学年全体で農業のことを学んできました。今回の提言はこれまで学んできたことを基礎として、発表に向けて立ち上げた19人のプロジェクトチームが考えました。チームは「スピーチ原稿作成」「発表資料作成」「発表演出」の3班に分かれ、3カ月にわたり準備を進めました。
外国の農業の取り組みを調べる中で広い視野を持つことの重要性を学べたり、農家への取材を通して農業の“現場の声”を直接聞いたりする良い機会になりました。大勢を前にしての発表は少し緊張しましたが、何度も練習を重ねてきたので楽しみながらスピーチをすることができました。
今回の貴重な経験を将来に生かしていきたいと思います。
高志中等教育学校5年生(写真(9))
(写真左から福田 彩乃(ふくだ あやの)さん、西田 小倖(にした こゆき)さん、今井 瑞季(いまい みずき)さん)
交流を通して新潟の魅力を再発見
新潟が大好きで、新潟の良さを外国の方に伝えたいと思いボランティアに参加しました。新潟米を食べた外国の方から「おいしい。味に深みがある」と喜んでもらえたことがうれしかったです。自分では気付かなかった新潟の魅力や可能性を教えてもらうこともあり、新潟をもっと知りたいと思いました。
今回、世界から注目されている国際会合の運営を手伝うことができて、とても良い経験になりました。ボランティアに参加しようか迷っていた時に背中を押してくれた家族に感謝しています。またこのような機会があれば、ぜひ参加して新潟の魅力を発信していきたいです。
ボランティア
渡辺 健(わたなべたけし)さん(西区)(写真(13))
新潟の農業×情報通信技術
本市で行っている情報通信技術(ICT)活用によるスマート農業の実現に向けた取り組みを紹介します。
問いあわせ ニューフードバレー特区課(電話:025-226-1864)
有限会社 米八(こめはち)(南区味方)
代表取締役 加藤 誉士寛(よしひろ) 社長
田植えから収穫まで営農情報を一元管理
昨年度、本市で実施された「スマート農業 企業間連携実証プロジェクト」。有限会社米八の田んぼはその実証農場として選ばれました。このプロジェクトは民間企業が持つ革新的な技術を水稲(すいとう)栽培に活用するもの。ICTを搭載した「スマート農機」などを使い、そこから得られた作業量・内容などの営農情報を一元管理し、省力化や低コスト化を図ることが目的です。機器からの情報は営農支援システム「アグリノート」へ自動的に送られ、日々蓄積されていきます。
「プロジェクト参加前は、ICTによって農作業がどのように変わるのかイメージが湧かなかった」と語る加藤社長。ところが、スマート農機を使っていく中で、これまで経験を基に行っていた農作業などが、ICTの活用により大きく変わっていくことを実感したそうです。
米八の田んぼでスマート農業の技術を視察する各国・機関の代表(5月12日、G20新潟農業大臣会合現地視察)
作業負担の軽減、生産コスト削減に
実証実験では直進補助機能付きの可変施肥(せひ)田植機(土壌センサーで肥料の量を自動調節できる田植機)などが使われました。「GPS(人工衛星を利用して現在位置を把握するシステム)により自動で直進するので、田植機の運転に慣れていない人でも安心して操縦できる」と加藤社長は言います。自動的に必要な量の肥料をまいてくれるため余分な肥料を削減できたほか、土壌の養分が均一になり稲が倒れにくくなったことで収穫作業の時間短縮やコメの品質向上につながるなど、一定の成果が出ました。
実証プロジェクトは今年度も続きます。加藤社長は「スマート農業により農作業の負担軽減や生産コストの低減が進むことを期待しています。実証実験を通して、スマート農業のモデルケースとなれるよう頑張っていきたい」と語ってくれました。
ウォーターセル 株式会社(中央区笹口2)
代表取締役 長井 啓友(ひろとも) 社長
新潟発 農業を支援するITベンチャー企業
営農支援システム「アグリノート」を開発したのは、2010年に創業し本市に本社を置くウォーターセル株式会社です。アグリノートはスマートフォンなどの携帯端末に導入して使うアプリケーションソフト。航空写真で農地の位置を確認できるほか、田んぼごとに作業内容や生育状況などを記録することができます。さらにスマート農機などと連携させると、機器から送られてくる作業データが自動的に記録され、入力する手間が省けます。「営農情報をアグリノートに集約することで、コスト・品質・収穫量を田んぼ1枚単位で“見える化”でき、農業経営に役立てられる」と話す長井社長。現在は、出荷後の流通情報を取り込めるようにするなど、さらなる機能の強化に向けて開発を進めているそうです。
ICTの活用で農業を変える
アグリノートは農業の課題である「農家の高齢化による後継者不足」の解決にも役立てられるのだと話す長井社長。「アグリノートに蓄積されたデータを活用すると、これまで長年の経験と勘に頼ってきた『肥料が必要か』『いつ刈り取りをするか』といった判断を経験が浅い人でもできるようになります。これにより、若い人も農業にどんどん参入するようになってほしい」と期待を寄せています。
長井社長はICTの活用が“稼げる農業”への鍵であると続けます。「これからの農業は農地の集約・大規模化が進んでいくと思います。そこにICTをうまく活用することで、経営の効率化を図ることができます。アグリノートを通して、稼げる農業の実現に貢献していきたい」と意気込みを語ってくれました。
アグリノート
地図情報や航空写真を取り込んでいるため、自分の農地を視覚的に管理できるのが特徴
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