(3-1-11)就学支援委員会の検討内容に係る情報公開の対応が不適切である

最終更新日:2022年3月28日

(3-1-11)就学支援委員会の検討内容に係る情報公開の対応が不適切である

令和3年10月13日 苦情申立受理

申立ての趣旨

1 就学支援委員会での討論内容が記録されていない。
2 個人情報開示請求への回答は中身が分からない。
3 就学支援委員会での討論内容は当事者に非公開とすべきでない。
4 当事者に対して、真摯に誠実に対応してほしい。

申立ての理由

 以下の問題を解決・検討して頂きたく、以下に述べます。よろしくお願い申し上げます。
(解決・検討してもらいたいこと)
1 就学支援委員会での子どもの処遇を巡っての討論内容は、後々の検証のために、かつ会議の主催者である教育委員会が責任を持つために、記録すべきであること。
2 申立人Aによる個人情報開示請求への回答が、内容がシンプルすぎて、中身が分からないので、詳細を答えていただきたいこと。
3 学校支援課は、当事者の教育の処遇を巡っての議論は、当事者に対しては非公開にすべきではなく公開すべきであることを確認すべきであること。確認後、速やかに討議過程を今回の当事者に説明をすべきであること。
4 教育委員会は、権利の主体者である子ども、子どもの保護者並びに支援者に、真摯に誠実に対応してほしいこと。
(具体的な内容と経過)
 経緯は1年以上前に遡ります。
 C氏の中学校入学に向けての令和元年12月とその後の就学支援委員会(令和元年度第2回D区就学支援委員会、令和元年度第2回新潟市・全体・就学支援委員会)の討議内容は、そもそも記録されていないことが、母による個人情報開示請求で判明しました。(本年2021年8月23日)
 就学支援委員会での意見・意思決定(令和元年12月)は、「病院内病虚弱学級への入学(入院ないしは、病院のある長岡市や吉田町といった遠隔地への通学前提)」との意見で、医療関係者との連携を図ることが結論の中では言われていましたが、主治医を含め入院先の医療関係者への相談なしで意見決定をした経緯があるなど、決定的に不備でした。かつ「就学支援委員会の意見を取りまとめるまでの討議過程の記録がない」とのことで、ますます教育委員会学校支援課の会議体制の不備が明らかになりました。最終的には学校支援課が就学支援委員会としての意見をまとめたと推測されますが、「誰が」「どこで」「どう」決定したかが分からない状態といえます。責任の所在がない不可解な意見が、その後ひとり歩き(当時学校支援課スタッフは当方側にうまく説明ができないままで、現在もそうです)しました。これは、当時も今も非常なる違和感を感じ、学校支援課担当者にその内容の不可解さと無責任さを伝えてきましたが、明確な回答がないままに、総括を教えてもらえることができていないままです。これらに対し、素直に不信感や怒りの感情が芽生えてもおかしくはないでしょう。これらの感情は、今も現在も申立て側にあります。不備があったのであれば、内容を説明し、謝罪に繋がる訳ですが、それらがないということは、修正すべき体制の不備があると考えるのが、社会通念上の常識と思っています。
 この就学支援委員会でのまとめとしての意見(直接に入院を勧めてきました。しかも相手先の病院との話し合いはせず、意見書を提出した主治医にも相談をせずにです)は現実的ではないことを家族と支援者から述べ、教育委員会はその後考えを改め、「地元に病虚弱学級を新設した」との経過と現実にはなりました(残念ながら、この経過過程も教えてもらえていません。現在でも説明責任はあると思います)。
 その後の地元中学校での本児の受け入れを巡って、申立て側と教育行政は個別支援会議を反復した経緯がこの間にあります。地元教育現場への本人の適応へ向けての受け入れの工夫が、行政・家族・支援者の個別支援会議の中でなされてきました。しかしながら地元への病虚弱学級新設の中での個別支援会議、又はそこへの不適応に関連しての他の教育現場との交渉などを巡ってのこの間の経緯の中でも(詳細は今回述べる余裕は書面スペース上ありませんが)、教育行政に対する不信/不満などがその都度芽生えることが多々あり、今もこれらはぬぐえていません。
 以上のような経緯の中で、以下のことを解決して頂きたいと思います。
 1について 教育行政として、あとあと今回のように検証作業が必要になる例がある訳であり、記録を保存すべきと考えます。内閣府からも公文書管理法が出されている中で、会議録を保存すべきと考えます。今回の様な事例では、保存をしなくて良いはずはないからです。今回の経緯からみると、教育委員会の会議録保存に対する考えは、権利主体側の利益を主体に考えるべき行政側としては怠慢と考えるがいかがでしょうか。権利主体を守る姿勢がないことになり、無責任と考えますがいかがでしょうか。住民側(権利を受ける主体側)としては受け入れ難く、不信を募らせても致し方ない事象と考えますがいかがでしょうか。
 2について 再度の確認をして頂きたいこととして、「この間新潟市が就学支援委員会の会議録をいつから記録していないのか」「就学支援委員会に関係者から提出された資料は保管してあるのか」「保管してなければいつ処分するのか、したのか」を教えて頂きたいと思います。今回母が個人情報開示請求し、「記録は録ってないので、公開する物がない」とのことでしたが、市民感覚としては、到底「記録がない」ということ、「資料が保管されてない」ということは考えられません。「今回提出した親や支援者の情報提供書がない」とすれば処分されたことになりますが、いつ、どのような根拠で処分されたのでしょうか。「提出された資料は保管してあるが、討議内容の会議録がない」ということでしょうか。誠意をもって担当者から明確に答えて頂ければと思います。個人情報開示請求への答えは、あまりにもシンプルでこの疑問への答えがなく、不親切と思いますがいかがでしょうか。
 3について 1月に、母と主治医が教育委員会に出向き、学校支援課長と教育委員会担当者と情報の公開を交渉した際、就学支援委員会の内容は「非公開」とされました。しかし当事者が自分の処遇を巡っての話し合いの内容を知らされないで、説明なしに結論だけを知らされること、不当と言わざるを得ない決定に至る話し合いの内容を知ることができないこと、これらは当事者側にとって理解できないことであり、公として個人の情報といったプライバシーを弄んでいるといえるのではないでしょうか。非公開の根拠を明確にしてください。会議に出席し、内容を承知している担当者は、内容を説明してください。新潟県の他市町村では、就学支援委員会での内容は記録してあり、かつ当事者に内容説明をしていることは聞いて知っております。
 4について 今回は、個人情報開示請求をして、「記録がない」と確認するまでは、学校支援課E課長(担当のF氏、G氏同席)と1月に行った話し合いでは、教育行政側も「文書は残っているもの」として認識していたことは直接交渉の中で分かっていました(E課長から「本人が請求するのであれば可能」という発言があったのでした)。個人情報開示請求後には、当の行政側が「元々記録をとっていない」と対応してきました。この経緯は、権利の主体者である子どもの後見人である母親並びに当該親子を支援する側の医療関係者としては、不信感と不快を感じさせられるに十分なものではないでしょうか。また1の話に戻りますが、文書を保存していない中で、就学支援委員会の意見決定が「根拠のないもの」となり、「責任体制がないこと」も明るみになった訳です。この問題は1年以上前の話ではありますが、「会議のあり方」「会議録のあり方」が問われており、「行政として不備であり、怠慢であると言わざるを得ない」と考えますがいかがでしょうか。また真摯に、行政は住民側に謝罪し、善処(記録を録るようにするべく議論を開始し、今年の就学支援委員会は記録を録る)すると表明し、前に進もうと確約すべきではないでしょうか。また記録がないならば、会議に出席していた学校支援課担当者が、現在も説明責任があるのではないでしょうか。今もって担当者から会議内容についての説明、発言はありません。「非公開」という理由ですが、「子どもの母が教えてもらえない」ということは理解できません。これらをして頂いてこそ、市民のための行政として評価されることになるのではないでしょうか。
 
追記 今回苦情申立てをした2人のうちの1人である申立人Bは、新潟県や新潟市の発達障害体制整備へ向けての会議構成メンバーを長年務め、かつ新潟市の教育委員会への協力を行ってきた立場であり、現在まで児童精神科として仕事をしてきた者です。新潟市の就学支援委員会への専門医師派遣を、平成28年まで長年にわたり組織し、新潟市に協力してきた立場です。この立場にいた者として、今回の教育委員会の一連の対応は看過しがたく、これまでの医療者として新潟市教育委員会へ協力してきた医療側の立場を否定された感覚、このような対応では医療者として信頼して教育行政をバックアップすることは困難になるとの感覚を持つに至っています。その思いの中で、ここに母と主治医が共同で、本文章を書くに至ったことを申し添えます。

所管部署

 教育委員会事務局学校支援課(以下「所管課」という。)

調査の結果

 令和4年3月18日 決定

 申立ての趣旨1項及び3項については、調査しない。
 申立ての趣旨2項及び4項については、所管課の対応に非があるとは認められない。

調査結果の理由

 当審査会では、申立人及び所管課から資料を提出してもらうとともに、それぞれから聞き取りを行った。
 調査の結果、以下のような事項が認められた。
(1)令和元年12月、Cについて、就学支援委員会で「(近隣にはなく、遠隔地に存する)病弱特別支援学校」に進学させることが相当との判断結果が出る。
  なお、所管課に対しては、「C についてはH特別支援学校へ進学させることが相当」との趣旨が記載されたCの主治医(申立人B)作成の書面が提出されていた。
(2)その後、上記判断結果が、Cの在籍校と保護者(申立人A)に通知される。
(3)その後、所管課と申立人A、所管課と申立人Bとの間で面談、電話協議などを実施する。申立人Aは、CをH特別支援学校へ入学させることを希望する。
(4)その後、所管課は、CをH特別支援学校へ入学させることを検討する。しかしながら、Cに大きな知的な遅れはなく、H特別支援学校の教育課程とも合わないと判断される。そこで、Cが入学することを前提として、新潟市の市立中学校に「病弱特別支援学級」を設置することを決定する。
  これを受け、所管課はI中学校校長に病弱特別支援学級の設置を依頼する。
(5)その後、所管課と申立人Aとの面談、申立人AとCによるI中学校見学等を経て、CがI中学校に入学する。
(6)入学当初は順調に推移したものの、しばらくすると各種トラブルが発生し、CがI中学校に通学することは困難な状況となる。
(7)所管課、申立人A、申立人B、その他の関係者らによる協議、面談等を経て、その後、CはJ中学校に通学することを決定する。
(8)その後も、所管課と申立人A及び申立人Bとの折衝、文書の授受等がなされる中、令和3年7月、申立人Aから、Cの就学先の判断に係る就学支援委員会の出席者と同委員会の判断にかかわる会議の記録の開示を求める個人情報開示請求がなされた。
  これに対し、同委員会出席者については委員名簿が開示されたが、会議の記録については「請求に係る個人情報を保有していないため」との理由で不開示となった。
  なお、会議の記録(会議録や会議概要など)は作成したものの廃棄したのではなく、元々作成していないために所管課において保有していないものである。
(9)同年8月、所管課、申立人A、申立人B、その他の関係者らによる支援会議が行われるなどしたが、同年10月、本苦情申立てがされた。
(10)なお、申立人は、当初、CをH特別支援学校へ進学させることが相当と考え、また、そのようにすることを希望していたが、現在も、その点に変更はない。

(申立ての趣旨1項及び3項について)
 上記より、申立ての趣旨1項及び3項の内容は、令和元年度の就学支援委員会における検討内容に関すること(保護者や医療関係者が関われなかったこと)やその会議記録に関すること(会議録が作成されていなかったこと)についての苦情であることから、新潟市行政苦情審査会規則第11条第1項第3号(苦情の申立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している場合)に該当することが判明した。
 よって、これ以上の調査は行わないこととする。
 なお、申立ての趣旨1項に関して、所管課としては、今後、会議概要形式の書類を作成する取扱いとすることに変更したとのこと、参考までに付言する。

(申立ての趣旨2項及び4項について)
 申立ての趣旨2項について、申立人Aが開示を求める書面(会議の記録)が所管課に存在しない以上、個人情報開示請求に対する回答は「請求に係る個人情報を保有していないため」を理由として不開示とするほかない。
 また、申立ての趣旨4項に関して、所管課は申立人と複数回にわたって面談等の機会を設け、加えて、申立人の要望を受けて、病弱特別支援学級を設置することを決定するとともにCが通学する中学校を変更する等、一定の対応をしていることが認められる。
 このように、所管課が一定の対応をしていることに鑑みれば、所管課に非があるとまでは認められない。
 よって、調査結果のとおり判断する。

 もっとも、次の事情も認められる。
(1)申立ての趣旨2項に関して、一般の市民の立場としては「請求に係る個人情報を保有していないため」を理由として不開示決定を受けたとしても、その意味を直ちに正確に理解することは難しいことが予想される。
(2)仮にCを遠隔地に通学させる、または通学のために入院等をさせることになるとすれば、申立人Aにとっては極めて大きな負担となることが明白であるところ、申立人Aに対しては、当初、何らの説明もなく「Cを(遠隔地に存する)病弱特別支援学校に進学させることが相当」との就学支援委員会の判断結果が記載された書面だけが送付されている。保護者としては、何らの説明もなく、このような書面を受け取れば、非常に困惑することが予想される。
(3)所管課は、令和元年12月時点では、Cについて(遠隔地に存する)病弱特別支援学校に進学させることが相当と判断していたものの、申立人からの申入れや申立人との協議を踏まえ、翌月には新潟市の市立中学校に病弱特別支援学級を設置することに方針を変更している。この点は、市民の意見・希望等を踏まえて柔軟な対応がなされていると評価できる面もあるが、他方において事前の検討や関係者との協議等が充分であったと言えるのか、疑問の余地なしとしない。
(4)申立人は、所管課が「CはH特別支援学校の教育課程と合わない」と判断したことについて、現在も納得していない。換言すれば、申立人を納得させることができるだけの説明等がなされていない。
 これらに鑑みれば、所管課においては、より丁寧な対応をすることが期待される。 

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市民生活部 広聴相談課

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