(2-1-2)火災にあった家の固定資産税は減免にならないのか

最終更新日:2020年7月8日

(2-1-2)火災にあった家の固定資産税は減免にならないのか

令和2年4月27日 苦情申立受理

申立ての趣旨

 市税条例施行規則67条1項3号に「家屋、全焼、全壊・・により、家屋の原形をとどめないとき又は復旧不能のとき 減免割合全部」とあって、消防署のり災程度が「全損 建物の火災損害額がり災前の評価額の70%以上のものをいう」となっていりうので、私の家は固定資産税の減免対象ではないのか。

申立ての理由

 新潟市C区の自宅が、隣家の火災が燃え移り全損したため、住めなくなった。消防隊員が区役所に連絡を入れてくれ、市営住宅Eサービスセンターから市営住宅を紹介され2か月間居住することを許された。消防署り災証明書は「住宅1棟部分焼及び1世帯全損」となっていた。この間に資産税課A係長とB主査が火災にあった家に来て、「固定資産税は1円もまかりません」「見た目は関係ない り災証明書の部分焼しか見ない 全損は見ない」「生活保護なら簡単でいいけど」「隣家のように全焼なら全額免除だけど」「部分焼なら直せば住めるのではないか」などと言われ、この時のことを思い出すと悔しくて未だに涙が出てくる。私の家は復旧不能のため取り壊しが決まっている。

所管部署

財務部市税事務所資産税課(以下「所管課」という。)

調査の結果

令和2年7月6日 決定

 所管課の対応に非があるとは認められない。

調査結果の理由

 当審査会では、申立人及び所管課からそれぞれ資料を提出してもらい、申立人から聞き取りを行った。
 その結果、次の事実等が判明した。
1 火災による固定資産税の減免については、次のとおりに規定されており、これを基に運用されている。
(1) 固定資産税は家屋と土地に課税されるが、火災に係る減免については火災により被災した家屋のみが対象となる。
(2) 新潟市市税条例(以下「条例」という。)第67条第1項第3号では、「市長は、災害により著しく価値を減じた固定資産のうち必要があると認めるものについては、その所有者に対して課する固定資産税を減免する。」のように規定している。
(3) 新潟市市税条例施行規則(以下「規則」という。)第17条、第18条及び別表第4では、条例第67条第1項第3号で規定する固定資産税の減免に該当する場合として、家屋に関して次のように規定している。
1) 下壁、畳等に損傷を受け、居住又は使用目的を損じ、修理又は取替えを必要とする場合で、当該家屋の価格の10分の2以上10分の4未満の価値を減じたときは、固定資産税の5分の2を減ずる。
2) 屋根、内装、外壁、建具等に損傷を受け、居住又は使用目的を著しく損じた場合で、当該家屋の価格の10分の4以上10分の6未満の価値を減じたときは、固定資産税の5分の3を減ずる。
3) 主要構造部分が著しく損傷し、大規模な修理を必要とする場合で、当該家屋の価格の10分の6以上の価値を減じたときは、固定資産税の5分の4を減ずる。
4) 全焼、全壊、流出、埋没等により、家屋の原形をとどめないとき、又は復旧不能のときは、固定資産税の全部を免ずる。
(4) したがって、家屋が火災により被災した場合において、火災による被災で家屋の価格の10分の2以上(20%以上)の価値を減じたときは火災による被災の程度に応じて固定資産税の全部または一部が減免されるものの、価値の減額が家屋の価格の10分の2未満(20%未満)にとどまる場合、固定資産税は減免されないこととなる。
(5) 所管課においては、火災により被災した家屋の固定資産税の減免を判断する際は、同じ新潟市の機関である消防署で発行する「火災発生通知書」及び「り災証明書」における「焼損」の程度を基準とし、条例第67条第1項第3号及び規則第17条及び別表4(第17条、第18条関係)を適用することとしている。
(6) 新潟市消防署が発行する「り災証明書」では、「焼損」の程度と「罹災」の程度の判定結果が「証明内容」として記載されている。
  このうち「罹災」は建物(=家屋)だけでなく収容物を含む損害を判定したものであるが、「焼損」は火災前の建物の評価額に対する建物の焼き損害の割合等を判定したものであり、建物のみの損害を判定したものである。
2 本件における「り災証明書」では、「焼損」については「部分焼」と、「罹災」については「全損」と記載(証明)されている。
なお、所管課では、念のため本件の「焼損」の程度の判定について再確認し、「変更なし」との回答を得ている。
3 「り災証明書」において、「焼損」の判定結果として「部分焼」と記載されている場合は「建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント未満のもので「ぼや」に該当しないもの」を意味するとされている。
  したがって、本件では建物の焼損による減額が家屋の価格の10分の2未満(20%未満)にとどまることとなる。
4 ちなみに、「り災証明書」の「罹災」の判定結果として「全損」と記載されている場合は、「建物(収容物を含む)の火災損害額が火災前の評価額の70パーセント以上のもの」を意味するとされているが、これは収容物を含めた損害額についての判定であって、建物の固定資産税の減免の判断には関係しないものである。
 
 申立人の事情は気の毒と言わざるを得ず、その心情は察するに余りあると言うほかない。しかしながら、上記のことから、本件においては火災により被災した建物の固定資産税は減免の対象にはならないものである。 

よって、調査結果のとおり判断する。 

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