(26-1-3) 幼稚園には指導力の不足する教員を担任として配置しないでほしい

最終更新日:2014年8月7日

(26-1-3) 幼稚園には指導力の不足する教員を担任として配置しないでほしい

平成26年 5月15日 苦情申立受理

申立ての趣旨

幼稚園には指導力の不足する教員を担任として配置しないでほしい。

申立ての理由

 申立人は家族で本年3月に本市に引っ越してきた。申立人の次女(以下「次女」という。)は、年度初めから市立A幼稚園(以下「園」という。)に転入したところ、次女に対し入園直後から男女を問わず複数の同級生からいじめや嫌がらせに近い乱暴な行為が続いた。次女は、以前通っていた幼稚園では楽しそうであったが、園では雰囲気が暗くなり一人で遊んでいた。そして嫌なことに遭って悲しいと毎日のように訴えた。同じ子どもたちが、昨年度にも他の同級生を相手に同種のトラブルを起こして問題化したという話しを聞いたので、次女にとっては限度を超えるものであったと考える。
 そこで、園に迎えに行った時などの機会を通じ、乱暴な行為が続いていることを具体例を挙げて伝え、園として気をつけてほしいと繰り返しお願いをした。その後次女を巡る改善は見られなかったが、何らかの対策をとってもらえると思っていたので、園を信じて任せていた。

 そして、同年4月25日午前中、保育中のフルーツバスケットという遊戯(椅子取りゲームの一種)の最中に、次女が他の子どもとぶつかって怪我をしたとの電話があった。急いで駆け付けたら、上顎の前歯1本がグラグラし、その周辺の歯茎が紫色に内出血している状態であった。近所の歯科医に連れていくと、「前歯の根の部分が強くぶつかった影響で死滅してしまっているが、無理に抜くと生えてくるまでの数年間は痛みに耐えながら自由に物を食べられない状態を我慢しなければならない。」という診断を受けた。
 誰とどのようにぶつかったのか次女に聞いたところ、「フルーツバスケットのルールが良くわからず、動きについていけず立っていたら、男の子がぶつかってきた。男の子のおでこと自分の口がぶつかったので痛くて泣いたが、男の子はそのままゲームを続けた。自分は友だちに保健室に連れて行かれ、担任の先生は教室に残った。」と教えてくれた。
 申立人としては、担任の先生が怪我をした次女を自分で保健室に連れて行かなかったということについていかがなものかと思った。それを抜きにしても、フルーツバスケットは子ども同士が衝突する危険性が高く、事故前から乱暴な行為をされているから気をつけてほしいと繰り返し要望してきたのであるが、フルーツバスケットの動きについてきけなかった次女に対し、適切なフォローをしなかったことが事故の主な原因でないかと感じた。
 また、担任の先生が教室に残ったのであれば、子どもから経緯を聴取し、誰がどうしてぶつかったのかという状況を確認しているものと考えていた。なぜなら、加害者側の子どもに反省等をさせるために誰がぶつかったのかを特定しようとすること、そして、教室内で同種の事故が再発しないようにするため原因を突き止めようとすることは、教育者として当然だと思うからである。しかし、事故直後から次女が園に行きたくないと言い、そのために園長先生や教頭先生と話し合いをした過程で、担任の先生は次女に乱暴な行為が続いていたこと等を園側に全く伝えていなかったこと、事故後に教室に残ったのに経緯を一切確認しようとしていなかったことが明らかになった。
 一方で、B小学校(以下「小学校」という。)と園との交流授業が予定され、4年生と年長組の子どもがペアを組んで1年間交流することになっていた。4年生には長女がおり、そのペアの相手が怪我をさせた男の子であった。その事実を小学校に連絡したところ、小学校から園に連絡が行き、それから事故当時の話を子どもたちに聞いたということである。当方の連絡からぶつかった子どもの名前を認知するまで、担任の先生を含めて誰一人事実関係を調べようとしないことはお粗末な対応だった。
 以上のことから、担任の先生については、少なくとも現時点では幼児の担任を単独でさせるには指導力が不足していると考える。市立幼稚園に教員を配置する際には予め指導力が備わっているか確認し、指導力の不足する教員は十分な指導力が備わるまでは担任として配置しないことを徹底してほしい。

 また、それ以上、新潟市教育委員会の幼児教育軽視の姿勢に怒りを覚える。
 幼児は判断力や体力が小学生よりも未熟なので、丁寧に指導すべきであり、そのため、現在、1つの組に担任の先生以外の補助教員を置くことは珍しくない。しかし、園では、元々、補助教員が複数の組を担当させられていた上に、今年度から1人削減されて、次女が在籍していた年長組は補助教員のフォローがなく、担任の先生が常時単独で指導に当たる状態になっていた。落ち着きがないように感じられる子どもが多いにも関わらず補助教員を削減するとはどういう判断なのか。また、長女が通う小学校には園に比べて教員が多く在籍しているので、指導体制に差がつけられている理由がわからない。
 これらのことから、新潟市教育委員会の、市立幼稚園の指導体制を手厚くする必要性を軽視する姿勢が見える。次女の事故についても、遊戯中にもう1人指導者がいれば、全体の動きについていけずに立っていた次女が放置されることはなく、事故が起きるようなことはなかったと思う。
 ついては、どのような経緯と根拠に基づいて本年度から園の補助教員を削減するという判断に至ったのか教えてもらうとともに、今後、園を含む全ての市立幼稚園で補助教員を増員する考えの有無(考えがない場合にはその理由も)を教えていただくよう要望するものである。

所管部署

教職員課、学校支援課

調査の結果

平成26年 7月23日 決定

 当審査会として個々の教員の指導力や教員配置の適否についてまでは判断できない。
 また、要望のあった市立幼稚園で補助教員を増員する考えの有無、理由等については直接所管部署に問い合わせていただきたい。

 しかしながら、申立てに至った背景を調査、考察した結果、以下の点について要望する。

1 園に対して
 事故発生時の対応、その後のフォロー、確認や連絡の不備などに問題があったと考えられる。結果として、申立人には多大な不信感を抱かせて次女を退園させるまでに至ったことが推測される。
 日頃の担任の先生と保護者との情報交換や意思疎通、対応の在り方、また万が一事故が発生した場合の対応マニュアルを充実させ、教職員間で有効活用してもらいたい。
 また、園と園児の家族(以下「家族」という。)の思いに乖離があったように思うので、今後、一層、家族との信頼関係を築くことに注意を払ってもらいたい。

2 教育委員会に対して
 幼稚園教育を充実させる観点から、各市立幼稚園の状況を踏まえて、園児に適切に対応できるように人的配置を行うなど、環境整備に配慮してもらいたい。

調査結果の理由

 申立人が説明するように、一般的には、園に指導力の不足する教員を担任として配置しないでほしいという申立ては理解できるものである。しかし、教員配置は教育委員会において配置基準に基づいて決められ、政策的な判断を要することも理解できるものであり、当審査会として教員配置の適否についてまでは判断できない。
 なお、市立幼稚園で補助教員を増員する考えの有無、理由等についても政策的判断を要すると考える。

 次に、申立人が申立てに至った背景などを踏まえ、「調査の結果」の中で要望した理由について説明したい。

1 園について
 日頃、申立人は、複数の同級生からいじめや嫌がらせに近い乱暴な行為が続いていると具体例を挙げて担任の先生に繰り返し適切な対応をお願いしてきた。それに対して担任の先生は、4月に入園したばかりの次女が園になじめないと心配して対応してきたつもりであったが、申立人にはその思いは伝わっておらず、サポートできていなかったと反省している。
 事故は、4月25日(金曜)月1回の誕生会の日、ゲームで園児たちも興奮している中で発生した。ぶつかった際に歯茎から出血していたため、すぐに養護教諭に見てもらうよう配慮した。うがい後は出血も止まっており、歯茎が紫色に腫れた様子も見られなかったが、園では念のため申立人に連絡し園医に受診してもらった。園医の診察から戻った次女は、誕生会のケーキを食べることができて降園したこともあり、園として、その後の様子をうかがう等の配慮もなく、降園時刻と重なったこともあり、ぶつかった相手の確認がなされないまま週末が過ぎた。
 これらのことから、申立人が次女の永久歯が生えるまでの歯のことをずいぶん心配をしていたが、園ではそれほど大きな事故とまでは捉えていなかったと思われる。さらに、園には事故対応時の一定のマニュアルがあると聞いているが、それが生かされていなかったとも考えられる。
 日頃、園では、毎日親が園児を迎えに来ている。その毎日の親との関わりがお互いの信頼の構築の場となっている。しかし、担任の先生は、以前勤務していた幼稚園や小学校ではそうしたことがなかったので、4月からの異動ですぐには降園時に親に話しかけて、コミュニケーションをとるようなことが難しかったようである。園長からは、その点について指導されたばかりであったという。
 これらの事情などを踏まえ、当審査会から、上記のとおり園に対して要望するものである。

2 教育委員会について
 小学校に入学したばかりの1年生が集団行動をとることが難しいなど、いわゆる「小1プロブレム」の問題等の解決を図るため幼・小連携の必要性が高まり、その体制づくりを進めるために実施された「新潟市立幼稚園・小学校教員の交流人事に関する要綱」に基づき、幼稚園の教諭免許もあり、勤務経験もある担任の先生が、この4月A幼稚園に異動した。
 申立人は「元々、補助教員が複数の組を担当させられた上に、今年度から一人削減されて、次女が在籍した年長組は補助教員のフォローがなく、担任の先生が常時単独で指導に当たる状態になっていた。課題のある子どもが多いにも関わらず補助教員を削減するとはどういう判断なのか。」と言われているが、本年度、園で一人減とされた理由は、
 (1) 平成24年度には、園側の諸事情により暫定的に正規職員を1名加配した。
 (2) 平成25年度には、暫定加配職員の代わりに1年間限定で短期臨時職員を配置した。
 (3) 平成26年度には、短期臨時職員も外し、従来の職員数に戻した。
とのことである。
 また、補助教員のほかに幼稚園の先生をサポートする介助職員が配置されているが、その介助職員についての配置基準は各園に1名であり、園にも現在配置されている。
 しかしながら、申立人は、幼児教育が軽視されているものと捉えている。
 また、受け入れる側の園でも、課題のある子どもを多く受け入れている中で、小学校との交流事業の実施について懐疑的であったこと、介助員の配置も安全面から1・2階にそれぞれに配置してほしいなど、園側の現状、課題を教育委員会の所管部署に説明し、要望していたとのことである。
 これらの事情などを踏まえ、当審査会から、上記のとおり教育委員会に対して要望するものである。

 以上のことから、調査結果のとおり判断する。

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