ジカ熱(Zika fever)
最終更新日:2016年2月8日
ジカ熱(Zika fever)とは
ジカウイルスは、1947年にウガンダのZika forest(ジカ森林)のアカゲザルから初めて分離され、ヒトからは1968年にナイジェリアで行われた研究の中で分離されました。ジカウイルスはデングウイルスと同じフラビウイルス科に属し、症状はデング熱に似ていますがそれより軽いです。
日本では海外感染で3例が報告されていますが、国内感染はありません。しかしながら、近年感染地域、患者数共に拡大傾向にあります。
感染経路
国立感染症研究所Hpより (ヒトスジシマカ)
ジカ熱は、ジカウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることによって生じる感染症です。日本では、ネッタイシマカの生息は確認されていませんが、ヒトスジシマカは生息するため注意が必要です。ヒトからヒトへの直接感染は極めてまれですが、血液等による感染も指摘されています。
症状
潜伏期間は3~12日です。感染しても約80%の人は症状が出ないと言われています。おもな症状としては、発熱(38.5度を超える高熱は比較的まれ)、皮膚の赤みやぶつぶつとした発疹、関節痛・関節炎、結膜充血、筋肉痛・頭痛 、倦怠感というものです。その他にめまい、下痢、腹痛、嘔吐、便秘、食欲不振などをきたす場合もあります。しかし、ギラン・バレー症候群や神経症状を認める症例も報告され、ブラジル保健省は、妊娠中のジカウイルス感染と胎児の小頭症に関連がみられるとの発表をしています。胎児が小頭症と確認された妊婦の羊水からジカウイルスRNAが検出され、小頭症で死亡した新生児の脳の病理組織からもウイルスが検出されています。ジカ熱そのもので健康な成人が死に至ることはまれですが、基礎疾患があり免疫力が低下している場合は死に至ることもあります。
検査
RT-PCR法によるウイルス遺伝子の検出やIgM抗体検査や急性期血清および回復期血清による、中和抗体検査など、血清学的診断を行います。
予防
蚊に刺されないために
- 虫よけ剤を適切に使用する。
- 蚊が室内に入らないよう戸や窓の開け閉めを減らし網戸やエアコンを使用する。
- 渡航の際は設備が整った(網戸の設置や必要な清掃が行われている等)宿泊施設を利用する。
- 妊婦あるいは妊娠の可能性のある女性は ジカ熱流行地を避けることが望ましい。
- 戸外に出るときは肌の露出をできるだけ避ける。
蚊を増やさないために
- 蚊の繁殖を防ぐため、雨水タンクに蓋をしたり、古タイヤに溜まった水・ペット用の水・鉢植えの下皿の水を放置しない。
- 室内の花瓶の水などは最低週1回は交換する。