A群溶血性レンサ球菌感染症とは
最終更新日:2016年4月20日
1 A群溶血性レンサ球菌感染症について
この感染症は、A群溶血性レンサ球菌(溶連菌と呼ばれることもあります)に感染することによって発症する感染症で、主に小児が罹患します。菌の侵入部位や組織によって様々な臨床病状を引き起こします。主な疾患としては発熱、急性咽頭炎を生じ、合併症として肺炎、化膿性関節炎などを引き起こします。
まれに、軟部組織壊死を伴う、敗血症性ショックを来たす劇症型溶血性レンサ球菌感染症(レンサ球菌性毒素性ショック症候群)を引き起こすこともあり、重篤な病態として問題となっています。
2 原因と感染経路
A群溶血性レンサ球菌は通常、患者との接触を介して感染します。また、患者のくしゃみや咳によるしぶきを吸いこむことでも感染します。ヒト-ヒトの接触の機会が増加するときに起こりやすく、家庭、学校などの集団での感染も多い疾患です。健康保菌者が15~30%あると報告されていますが、健康保菌者からの感染はまれであると考えられています。
3 症状
図1 典型的な苺舌(国立感染症研究所ホームページより)
潜伏期は2~5日ですが潜伏期での感染性については不明です。突然の発熱と全身倦怠感、咽頭痛によって発症します。苺舌(図1)や発疹がみられることがあります。主な症状は1週間以内に消失する予後良好の疾患ですが、菌が産生する毒素に免疫のない場合は猩紅熱に発展する場合があります。また、合併症として肺炎、髄膜炎などの化膿性疾患、あるいはリウマチ熱、急性糸球体腎炎などの非化膿性疾患を生ずることもあります。合併症を起こさないためにも処方された抗生物質をしっかり飲み切ることが大切です。
4 検査方法
咽頭ぬぐい液中のA群溶血性レンサ球菌抗原を検出する迅速キットによる検査の他、培養によって菌を分離し、検査する方法などがあります。
5 予防のポイント
患者との濃厚接触を避けることが最も重要です。うがいや手洗いなどの一般的な予防法を実施することも有効な方法です。また、周囲への感染予防として、咳やくしゃみなどの症状のある方は、咳エチケットを守ること(マスクをしたり、咳が出るときに口をハンカチで覆ったりするなど) により効果が期待できます。
関連リンク
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