咽頭結膜熱(pharyngoconjunctival fever, PCF)
最終更新日:2016年1月12日
咽頭結膜熱とは
アデノウイルス 電子顕微鏡像(新潟市衛生環境研究所)
咽頭結膜熱とは、アデノウイルスによる急性ウイルス性感染症です。プールの水を介して流行することやタオルの共用により感染することもあるので、プール熱と呼ばれることもあります。通常、6月ころから徐々に流行しはじめ、7~8月にピークとなる夏期の病気ですが、季節的に地域で散発的に流行することもあります。
原因と感染経路
アデノウイルス3型が主であるが、他に4、7、11型などでも発症します。感染力が非常に強く、目の結膜や口、鼻、喉から体内に入ります。
患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスによる飛まつ感染、あるいは、ウイルスが付着した手やタオルなどの患者が触れたものを介す接触感染です。
症状
感染後5~7日間の潜伏期間を経て、発熱(38~39度)をもって発症し、頭痛、食欲不振、全身倦怠感とともに、咽頭炎による咽頭痛、結膜炎にともなう結膜充血、眼痛、羞明、流涙、眼脂を訴え、3~5日間程度持続します。眼の症状は一般的に片側から始まり、その後反対側にも出現します。また結膜の炎症は、下眼瞼結膜で強く、上眼瞼結膜では弱いといわれています。その他にも、後頚部のリンパ節の腫脹と圧痛、下痢、腹痛等を認めることもあります。
多くは上記のような症状でおさまりますが、まれに重症肺炎を合併することもあります。
検査
患者の鼻汁、唾液、喀痰、糞便、拭い液や洗浄液、胸水、髄液などを採取してウイルス分離を行うか、免疫クロマトキット等を用いてウイルス抗原を検出します。またPCR法やシークエンスといった遺伝子検査法もあります。
予防
- 感染者との濃密な接触を避ける(タオル、洗面器、食器は共有しない)。
- 流行時には、流水とせっけんによる手洗い、うがいを心掛ける。
- 衛生を保つため、プールからあがったときは、シャワーを浴びる。