インフルエンザについて

最終更新日:2013年6月26日

インフルエンザとは

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる感染症で鼻水・咳などの風邪様症状だけでなく、高熱・頭痛・筋肉痛などを起こし、気管支炎や肺炎を併発することもある重篤な全身感染症です。
インフルエンザは、毎年、冬季の12月頃から2月・3月頃にかけて流行しています。
患者の咳やくしゃみによる飛沫に含まれるウイルスによって感染が起きますが、症状が出る前からウイルスが排出されることや急激に発症して潜伏期が1から4日と短いこともあって、流行は爆発的です。

インフルエンザウイルスの種類

インフルエンザウイルスは、表面構造の違いなどからA型・B型・C型の3つに分類されます。季節性インフルエンザといわれているものは、A型、B型で、特にA型が過去に大流行を起こしてきました。

インフルエンザの世界的大流行一覧表

インフルエンザの世界的大流行
(パンデミックという)

流行の始まった年 ウイルスの型
スペイン風邪 1918年 A(H1N1)
アジア風邪 1957年 A(H2N2)
香港風邪 1969年 A(H3N2)
ソ連風邪 1977年 A(H1N1)
2009パンデミック 2009年 A(H1N1)

A型インフルエンザウイルスについて

A型インフルエンザウイルスは、表面に赤血球凝集素(ヘマグルチニン、H)とノイラミニダーゼ(N)をもち、これを使って細胞に感染します。
Hは、ウイルスが細胞に取り付き・中に入っていくときのカギのようなもので、形の違いから大まかに16種類あります。
Nは、増殖したウイルスが細胞から出る際の切断ハサミのようなもので、9種類あります。このHとNの組み合わせでウイルスを表記します(同じ番号でもウイルスや、その病原性なども異なります)。
このようなA型インフルエンザウイルスの組み合わせは、いろいろな動物の中で発見されており、特に鳥において多くの種類がみつかっています。

インフルエンザウイルスの変異

ヒトは、インフルエンザウイルスのHやNに対する抗体を作ることによって感染を防御しようとしますが、ウイルス側は遺伝子の突然変異を利用することにより防御をすり抜けて感染を繰り返しています。
これには次のような仕組みがあります。

抗原連続変異

インフルエンザウイルスは、一本鎖のRNAウイルスなので複製ミスの修復がなく、結果的に突然変異の頻度が高いとされています。

抗原不連続変異

遺伝子の鎖(ゲノム)が8つに分節していますが、分節の組み合わせが替わることによって全く新しいウイルスができます。

新型インフルエンザとは

過去の大流行からわかるように、HとNの組み合わせが変化する抗原不連続変異を起こしヒトからヒトへと感染するインフルエンザウイルスを「新型インフルエンザウイルス」と呼んでいます。
この場合、過去に経験がないHやNの組み合わせによって、抗体を持っているヒトがほとんどいないため世界的な大流行につながる可能性が高くなります。

鳥インフルエンザA(H7N9)について

2013年3月に鳥インフルエンザA(H7N9)によるインフルエンザ患者の発生が中国で報告されました。
1997年からの鳥インフルエンザA(H5N1)と同様に、これまでヒトでは経験のない組み合わせのウイルスであり、いまのところヒトからヒトへの感染は証明されていませんが、さらに変異してヒトからヒトに感染しやすくなると大流行を起こしかねないと心配されています。

インフルエンザウイルスの検査

インフルエンザの検査には、目的・対象によっていくつかあります。
(1) 迅速抗原検査 
医療機関などで主に行われるもので、免疫の手法によりA型、B型ウイルスの存在を検査します。この検査は迅速な治療に役立ちます。
(2) 遺伝子検査
インフルエンザウイルスの遺伝子配列の存在を検査します。A型、B型だけでなくHやNの種類なども分かり感度も(1)より良いとされています。また、検索する遺伝子配列の部位によっては薬剤(タミフルなど)への耐性の存否もわかります。
(3) 血液中の抗体検査
(4) ウイルス培養検査
イヌの腎臓尿細管上皮細胞やアフリカミドリザルの腎臓上皮細胞などを用いてウイルスを増殖させ、各種性状検査や遺伝子検査へとつなげます。

新潟市衛生環境研究所では、遺伝子検査やウイルス培養検査によるインフルエンザウイルスの収集を行っています。これは、インフルエンザの流行を把握し、来期のワクチン株の選定に役立てたり、薬剤に対する耐性株出現の把握のためには欠かせないものです。

関連リンク

新潟市内でのインフルエンザウイルスの発生状況など、保健所で収集・解析した情報を公開しています。

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