麻しんについて

最終更新日:2014年12月12日

麻しんとは

麻しんは「はしか」とも呼ばれる、麻しんウイルスによって引き起こされる感染症です。
高熱とともに赤い発疹が全身に出現することが特徴です。麻しんに対する特効薬はないため、対症療法が中心となります。麻しんは特に感染力の強さと免疫抑制に注意が必要です。

感染力

麻しんウイルスはヒトからヒトへ空気(飛沫核)感染や飛沫感染、接触感染などの経路で感染します。そして感染力は極めて強く、麻しんの免疫がない集団に1人の発症者がいたとすると、12~14人の人が感染すると言われています(インフルエンザでは1~2人)。

免疫抑制

感染時には免疫抑制(免疫力の低下)が起こり、他の感染症に罹ると重症化しやすくなります。発症者の約30%が合併症を発症するとされています。合併症の約半数は肺炎であり、稀に脳炎を併発する例もあります。特に肺炎と脳炎は麻しんによる二大死因と言われています。

こうした麻しんの感染力や重篤性によって、流行した場合の社会への影響は非常に大きいことから、世界で麻しん排除の取り組みが行われています。

麻しん排除の取り組み

WHO(世界保健機関)を筆頭に世界各地で取り組まれている麻しん排除の取り組みについて紹介します。

麻しん排除の目標

2005年、WHO西太平洋地域事務局は日本を含む西太平洋地域(37の国と地域)において2012年までに麻しんを排除する目標を定めました。

麻しんに関する特定感染症予防指針

2007年、厚生労働省はWHOの麻しん排除の目標を達成するために「麻しんに関する特定感染症予防指針」を定めました。主な内容は次の3項目です。
・流行状況の把握
・検査、届け出体制の整備
・予防接種率の向上
予防接種は2008年から5年間限定で、中学1年生と高校3年生相当年齢の方を対象に接種機会が設けられました。その結果、2008年には11013件の麻しん発生報告がありましたが、2013年には293件と97%減少となりました。

日本の現況

2013年、日本では麻しん発生がゼロの県が28県であり、これらを含む35の道県(新潟県含む)で麻しん発生が人口100万人に対して1人以下となっています。そして現在日本で発生している麻しんウイルスのほとんどは、遺伝子検査によって海外由来であることがわかっています。
WHOは西太平洋地域の37の国と地域のうち日本を含む32の国と地域で、土着株による流行がなくなっている可能性があると表明しており、麻しん排除の認定が行われています。

麻しん排除計画によって、近年麻しんの発生は減少傾向にありますが、2014年はやや増加がみられるため注意が必要です。引き続き麻しん排除の状態を維持するために、一人一人が積極的に予防に努めましょう。そのためには予防接種が重要です。

予防接種

感染力が強く空気感染する麻しんは、手洗いやマスクだけでは十分な予防手段とは言えません。最も有効な予防方法は麻疹ワクチンの接種です。個人が感染しないためだけではなく、感染を広げないためにも予防接種は重要です。
ワクチンによる免疫獲得率は95%以上で、免疫の持続は約10年と考えられています。予防接種を受けたことのない人はもちろん、1度受けたことのある方も免疫を確実につけるために予防接種を受けましょう。予防接種に関する情報は新潟市保健所のホームページをご覧ください。

麻しんの検査について

麻しんの検査方法は、目的・対象によって主に3つの方法があります。検査には、患者の咽頭ぬぐい液、血液、尿などが用いられます。

(1) ウイルス分離培養検査
さまざまな種類の細胞に検体を接種し、ウイルスを増殖させ、各種性状検査や遺伝子検査へとつなげます。

(2) 遺伝子検査
麻しんウイルスの遺伝子の存在を検査します。遺伝子の存在が確認されたものに関しては、その遺伝子配列を調べることで、ウイルスの由来を調べることができます。

(3) 血清抗体検査
血清に含まれる抗体の量を測定し、ウイルス感染の有無を確認します。

新潟市衛生環境研究所では、保健所や県、国立感染症研究所などと連携して感染症の流行状況を把握し、新潟市感染症情報として発信しています。

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