クドアによる食中毒について

最終更新日:2013年3月26日

生鮮魚介類による原因不明の食中毒

 食後数時間程度で一過性の嘔吐や下痢を起こし軽症で終わる事例で、既知の病因物質が検出されず、原因不明とされた事例が近年全国的に報告されてきました。厚生労働省の調査では、同様の症状で報告された事例の食品について解析を行ったところ、生鮮魚介類が含まれていた事例が多く、その中でもヒラメを喫食したものが多く確認されました。国立医薬品食品衛生研究所、国立感染症研究所等による研究でヒラメについて遺伝子の解析をしたところ、粘液胞子虫(極嚢を有する胞子を多数形成する寄生虫)の一種であるクドア属のクドア セプテンプンクタータ(Kudoa septempunctata)に感染していることが確認されました。また、この寄生虫については、動物を用いた試験等により病原性を有していることが確認されました。これらの結果から、ヒラメを喫食したことによる事例については、この寄生虫の関与が強く示唆されました。
 平成23年6月、厚生労働省からの通知に基づき、クドア セプテンプンクタータが原因であると考えられた有症事例は、食中毒として取り扱うこととなりました。

クドア セプテンプンクタータとは

 クドア属はこれまで一般にゴカイ等の環形動物を介して魚に寄生し、魚の筋肉(身)をゼリー状にしてしまうなど、商品価値を下げてしまう種類はあるものの、ヒトには寄生しないため、公衆衛生上は無害とされてきました。クドア セプテンプンクタータは、特定の条件下で養殖されたヒラメに感染していることが確認されており、天然では感染する可能性は低いと考えられています。また、養殖されたヒラメであってもこの寄生虫が寄生している率はおおむね低く、寄生していたとしても胞子の数は必ずしも多いとは限りません。胞子の大きさは約10μm(0.01mm)と小さく、肉眼で観察することはできません。病原性については、胞子を多数摂食した場合にのみ発症するのではないかと考えられています。

症状

 食後数時間程度(4~8時間程度)で、下痢、嘔吐、胃部の不快感等が認められます。症状は軽度であり、速やかに回復し、翌日には後遺症もないとされています。これまでの有症事例では、発症した本人以外に、家族等からの二次感染は報告されていません。

検査

 ヒラメを対象として、リアルタイムPCR法によりクドア セプテンプンクタータの遺伝子を検査し、顕微鏡により胞子数を計測します。

参考資料

平成23年6月17日 食安発0617第3号 厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知
「生食用生鮮食品による病因物質不明有症事例への対応について」
平成23年7月11日 食安監発0711第1号 厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長通知
「Kudoa septempunctataの検査法について(暫定版)」

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