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第7回安吾賞受賞者

大友良英

選評

音・楽・家=大友良英

東日本大震災は、ミュージシャンを初めとし、小説家、画家、彫刻家、果てはお笑い芸人までに自存の是非を突きつけた。遊芸、愉楽の輩は、未曾有の大災害の果てに、果たして存在価値があるのだろうか…、と立ち尽くしたという。  

しかし、今こそが芸能の神通力を振るい、歓喜と命の瑞々しさを呼び戻す時。それが芸能の本来の姿。  大友さんのかざす指先から希望のメロディが生まれる。高価な楽器もいらない。立場も地域も越えて人々の心をつなぎ、傷ついた心を癒す。まるで魔法のように。  

音・楽・家=大友さんは、いつでもそこにいる。

本人コメント

新潟の皆さんありがとう

文学とはほとんど接点のないわたしが坂口安吾さんの名を冠した賞をいただくなど恐れ多いことと一瞬躊躇しましたが、単に文学ということではなく生き方にこそ焦点を当てたいという賞の趣旨を知り、さらには新潟のみなさんの情熱に打たれ、ありがたく受け取ることにしました。

地方と中央の問題に対して、文化ができること

今回の受賞は、とりわけ震災後の福島での活動が評価されたと聞いております。震災を経過し、自分が育った福島と向き合う中で強く感じているのは、震災や原発の問題だけではなく、戦後、いやもしかしたら明治の頃からずっとその背景にあり続ける地方と中央の問題にこそ、文化の側面からも向うべきなのではないかということです。そのことを抜きにわたしたちの未来はないのではないか。そのことは単に福島だけの問題ではなく、新潟も含めた日本の問題そのものだと思っています。NHKの朝のドラマ「あまちゃん」の音楽も、その視点抜きには考えられませんでしたし、福島でやっている活動の多くも、そのことに力点を置いています。

まだまだ、扉を開けたばかり

とはいえ、悔しいかな、まだなにも成し遂げていません。やっと扉をあけ出しただけ。これからなんです。いやいや、焦っているわけではありません。何十年も積み重なって来た問題が1年や2年で解決するはずもなく、なので今回の賞は、そうしたわたしたちの歩みへの激励と受け取らせてもらい、賞金もそのために使わせてもえらえればと思っております。

新潟のみなさん、本当にありがとうございました。

プロフィール

ギタリスト/ターンテーブル奏者/作曲家/プロデューサー。
1959年横浜生れ。十代を福島市で過ごす。常に同時進行かつインディペンデントに即興演奏やノイズ的な作品からポップスに至るまで多種多様な音楽をつくり続け、その活動範囲は世界中におよぶ。映画音楽家としても数多くの映像作品の音楽を手がけ、その数は70作品を超える。
示する音楽作品を手がけると同時に、障害のある子どもたちとの音楽ワークショップや一般参加型のプロジェクトにも力をいれている。
2011年の東日本大震災を受け、遠藤ミチロウ、和合亮一とともにプロジェクトFUKUSHIMA ! を立ち上げ、この活動で2012年には芸術選奨文部科学大臣賞芸術振興部門を受賞、現在も活動を継続中。2013年にはNHK朝の連続ドラマ「あまちゃん」の音楽を手がけ、数々の曲をヒットチャートに送り込む。
著書に『MUSICS』(岩波書店)、『大友良英のJAMJAM日記』(河出書房)、『ENSEMBLES』(月曜社)『クロニクルFUKUSHIMA』(青土社)『シャッター商店街と線量計』(青土社)等がある。

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